公開日: 2025.06.26
【2025】特定技能の「送り出し機関」にかかる費用は?費用項目と選定ポイントを解説
特定技能の「送り出し機関」にかかる費用は?費用項目と選定ポイントを解説

「特定技能で外国人材を採用したいけれど、送り出し機関にどれくらい費用がかかるのかわからない」「どの国の人材でも、費用に違いはない?」など、実際に特定技能外国人の採用を考える際に不安を感じる企業の採用担当者や経営者の方は多いでしょう。送り出し機関の費用は国や契約内容によって大きく異なり、一人当たり10万円〜60万円を超えるケースもあります。

そこで今回は、在留資格「特定技能」における送り出し機関の費用について、企業側が知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。費用の内訳や国別の相場、支払いのタイミング、注意すべき契約条件まで、採用前に押さえておきたい実務知識を網羅的に紹介します。特定技能制度を活用した円滑な採用と、適正なコスト管理のために、ぜひ最後までご覧ください。

目次

特定技能制度における「送り出し機関」の概要

特定技能制度で外国人材を受け入れる際、技能実習制度とは異なり、必ずしも送り出し機関を利用する必要はありません。ただし、政府間で二国間協定を締結している国の中には、政府認定の送り出し機関を経由した採用を義務づけている場合があります。ここでは、送り出し機関の役割や制度の仕組みを解説します。

送り出し機関とは

特定技能の送り出し機関とは、日本で就労を希望する外国人材を現地で募集・選考し、日本の受入れ機関(受入れ企業)に紹介する役割を担う機関です。

技能実習制度とは異なり、制度上は必須ではありませんが、送り出し機関の利用が義務づけられている国もあります。一部の国では制度上義務づけられていないものの、採用の円滑化やサポート体制を理由に、送り出し機関を通じて採用を進める企業も多く見られます。

送り出し機関の役割

送り出し機関は、単なる仲介業者ではなく、現地での人材確保から教育、選考、書類整備、渡航手続きまで一貫してサポートする存在です。以下に示すような多様な機能を持ち、採用全体の成否に大きな影響を与える重要なプレイヤーといえます。

  • 特定技能として就労を希望する外国人材の募集
  • 技能評価試験・日本語能力試験の合否確認
  • 日本国内の受入れ機関への紹介
  • 渡航手続きや書類準備の支援

特定技能として就労を希望する外国人材の募集

現地で就労を希望する人材を集めることが、送り出し機関の第一の役割です。公的な求人媒体の利用や地域コミュニティとの連携により、信頼性の高い人材を集めるのが主な役割です。地元の教育機関や職業紹介所などと協力して、就労意欲の高い候補者を効率的に確保します。

技能評価試験・日本語能力試験の合否確認

送り出し機関は、採用候補者が必要な資格(技能評価試験・日本語能力試験)を保有しているかの確認と、受験支援を行います。受験の申込や試験対策講座の提供など、合格に向けた支援を実施する機関もあります。適切な試験対策が実施されているかどうかは、候補者の質を判断する上での大きなポイントです。

日本国内の受入れ機関への紹介

送り出し機関は、試験に合格した人材を日本企業のニーズに応じて紹介し、面接やマッチングを実施します。企業とのやり取りや日程調整を代行することで、採用担当者の負担軽減にもつながります。特定技能制度においては、受入れ機関との相性や業務内容のマッチ度が人材の定着率に大きく影響するため、マッチングの質が重要となります。

渡航手続きや書類準備の支援

パスポート申請やビザ取得、出国前健康診断、航空券手配などの手続きも、送り出し機関によってはフルサポートされます。入国に必要な書類の整備や、在外公館との調整など、煩雑な行政手続きも対応範囲に含まれます。出国までの準備が円滑に進めば、入国後の業務開始もスムーズに行えます。

送り出し機関の利用が義務となる国の例

ベトナム、ミャンマー、インドネシアなど、特定技能に関する「二国間取決め(BA)」を日本と締結している国では、相手国政府が認定した送り出し機関を通じた人材紹介が制度上の運用として義務づけられています。

これらの国においては、認定外の機関を利用した場合、在留資格の申請が受理されないこともあり、制度に適合した機関の選定が不可欠です。また、認定機関には相手国の規定に基づく報告義務や契約条件が定められており、事前の確認が重要です。

送り出し機関を選定する際の判断基準となるポイント

特定技能人材の採用を考える時、送り出し機関の選定は、採用コストや人材の質に直結する重要な意思決定です。信頼できるパートナーを選ぶためには、次のような視点から複数の機関を比較検討することが求められます。

  • 政府認定の有無
  • 担当者の日本語対応能力と支援体制
  • 教育・研修の内容と実施状況
  • 送り出し機関の規模や実績

政府認定の有無

送り出し機関が政府から正式な認定を受けているかどうかは、信頼性の大きな指標となります。認定制度がある国では、一定の条件を満たした機関のみが認定され、制度的な違反やトラブルのリスクが低くなります。契約を結ぶ前に、必ず認定番号や証明書の提示を求めましょう。

担当者の日本語対応能力と支援体制

外国人材の受け入れには、文化や言語の違いを越えてのコミュニケーションが求められます。送り出し機関の担当者が日本語で的確に意思疎通できるかは、スムーズな業務遂行のカギを握ります。また、問い合わせ対応のスピードや支援体制の整備状況も重要な判断ポイントです。

教育・研修の内容と実施状況

送り出し前の研修内容は、外国人材の即戦力化と定着率に直結します。日本語の教育時間、ビジネスマナー、生活マナー、安全衛生に関する研修がどの程度行われているかを具体的に確認しましょう。内容が形だけになっていないか、実施報告や教材を見せてもらうことも有効です。

送り出し機関の規模や実績

過去の送り出し実績や提携企業数は、送り出し機関の信頼性や安定性を測る上での重要な指標です。長年の経験がある機関や、多様な業種に人材を送り出している実績を持つ機関は、予期せぬトラブル時の対応力にも優れています。採用企業としては、安定供給が見込める実績のある機関を優先的に検討すべきです。

送り出し機関に関する主な費用項目

送り出し機関の利用には、選考や教育、渡航手続きなど、さまざまなプロセスに応じた費用が発生します。それぞれの費用項目を理解することで、見積書の妥当性を判断でき、予算計画を立てやすくなります。ここでは、主な費用項目ごとに具体的な内容を解説します。

  • 選考・面接
  • 教育・研修
  • 渡航準備・ビザ取得

選考・面接

候補者の選考や面接に関する費用には、現地での面接会場の手配費、通訳者の手配費、資料の準備費などが含まれます。また、企業が現地を訪問して面接を行う場合には、交通費や宿泊費も企業側負担となるケースがあります。

オンライン面接を選択した場合でも、接続環境の整備や通信費、サポート人員の確保が必要となることがあるため、どんな費用がかかるのか細かく確認しましょう。

教育・研修

教育・研修に関する費用は、日本語教育やマナー研修、生活指導、安全衛生教育など、渡日前に実施される教育にかかる費用です。教育時間が長く内容が充実している機関ほど、費用も高くなる傾向にあります。

たとえば、日本語教育で150時間、ビジネスマナー研修で40時間など、詳細なカリキュラムを提示してもらうと比較しやすくなります。自社の業務に必要なレベルはどの程度か、しっかり確認するようにしましょう。

渡航準備・ビザ取得

渡航準備・ビザ取得に関する費用は、パスポートの取得費、査証(ビザ)申請手数料、ビザの発給を受けるための健康診断費用、航空券の購入費などが含まれます。さらに、出入国管理局が指定する必要書類の整備費用、現地公証や認証手数料も発生することがあります。

こうした実費項目は見落とされがちですが、事前に把握しておくことで不測の出費を防げます。

送り出し機関との契約締結における注意点

送り出し機関を利用する際には、契約内容や費用支払いのタイミングなど、事前に確認しておくべき実務ポイントが複数存在します。書面での契約や見積の整備を怠ると、後のトラブルや追加費用の原因になりかねません。ここでは、契約締結前後に押さえておくべき注意点を解説します。

  • 採用前後で費用発生のタイミングを確認する
  • 見積書や確認書を作成してトラブルを防ぐ
  • 重要事項を確認し契約書を作成する

採用前後で費用発生のタイミングを確認する

送り出し機関への支払いは、面接実施時、内定後、ビザ発行後、渡航前といった複数のタイミングで分割して発生することが一般的です。

どの段階で、どの費用が、誰の負担で発生するのかを明確にしておくことで、想定外の出費や誤解を防ぎやすくなります。見積もりには「支払いタイミング別」の費用内訳が記載されているかも確認しましょう。

見積書や確認書を作成してトラブルを防ぐ

契約前には、必ず見積書を取り寄せ、費用の妥当性と内容を確認してください。さらに、契約内容について企業側と機関側の認識が一致しているかを明文化する「確認書」や「議事録」を作成することが望ましいといえます。これらの書類を残すことで、後になって食い違いや誤解が判明したり、追加で請求されたりなどのリスクを大幅に軽減できます。

重要事項を確認し契約書を作成する

契約書には、費用の詳細な内訳、提供されるサービス内容、支払い方法、キャンセル時の対応、返金ポリシーなど、トラブル回避に不可欠な事項をすべて盛り込むことが大切です。

書面化された契約内容を交わすことで、万が一のトラブル時にも証拠として活用できます。口頭での約束や曖昧な合意は避け、必ず文書で合意を残しましょう。

特定技能の送り出し機関にかかる費用の例

送り出し機関に支払う費用は、対象国や地域、提供される支援内容によって大きく異なります。同じ業種・職種であっても、サービスの質や研修内容の違いにより、費用差が生じるのが実情です。ここでは、主要な国別の費用相場と、サービス内容による費用の違いについて解説します。

二国間協定を結んでいる主要な国別の費用相場

二国間協定のある国のうち、実際の採用件数が多い国に関して、一般的な費用相場は次のとおりです。

国名費用相場(目安)特徴・補足事項
ベトナム20万~40万円政府認定機関の利用義務があり、制度整備が進んでいるが費用はやや高め。
フィリピン15万~30万円人材供給が安定しており、費用相場も比較的安定している。
インドネシア18万~30万円地域差があり、地方の機関では費用を抑えられるケースもある。
カンボジア15万~25万円シンプルな支援体制でコストを抑えられる傾向にある。
ミャンマー20万~35万円政府主導の研修体制が整っているが、支援体制の地域差に注意が必要。

上記の費用は、候補者1人あたりにかかる送り出し機関関連の目安です。実際の見積もりは、面接形式や教育期間、現地物価の変動などによっても左右されるため、事前に複数の機関から情報収集することが重要です。

サービス内容の違いにより費用は異なる

同じ国の送り出し機関でも、提供されるサービス内容によって費用に差が生じます。

たとえば、日本語教育の時間が100時間程度か200時間以上かで費用は異なり、技能評価試験の対策講座の有無も金額に影響します。また、生活マナーや文化研修の範囲、たとえば食事・住まい・ごみ出しなどの日常生活への指導内容によっても費用差が出ます。

さらに、ビザ申請や渡航手続きなどの行政対応をどこまで代行してくれるかも重要な要素です。サポートが充実している機関ほど費用は高めになりますが、その分、トラブルが少なく企業の負担も軽減されます。

一方、最低限の支援にとどまる機関では費用は抑えられる反面、定着支援に不安が残る可能性があります。コストだけでなく、内容の質とのバランスを見て判断することが大切です。

特定技能の送り出し機関にかかる費用が適正か判断するためのチェックポイント

見積もられた費用が妥当であるかどうかを判断するためには、金額そのものだけでなく、費用に含まれる内容や他の関連費用とのバランスを含めた総合的な視点が必要です。ここでは、費用の適正性を判断するために押さえておきたい3つの視点を紹介します。

  • 登録支援機関の費用も含めたトータルコストで考える
  • 提供されるサービスが費用に見合っている
  • 相場から大きくずれていない

登録支援機関の費用も含めたトータルコストで考える

送り出し機関の費用だけに目を向けるのではなく、登録支援機関にかかる費用や、入国後に必要な生活支援費、住居手配にかかる初期費用など、外国人材受け入れ全体のコストとして考えることが大切です。特に、登録支援機関を利用する場合には、毎月定額で支援費用が発生することもあり、それを含めての比較検討が必要です。

提供されるサービスが費用に見合っている

サービス内容と金額が見合っているか確認するには、他の機関と比較したり、具体的なサポート項目を確認したりすることが有効です。

たとえば、「技能試験対策講座」「生活ガイド冊子の提供」「空港送迎」など、どこまでが費用に含まれているかを明示してもらいましょう。同じ金額でも、サポートの範囲が狭いと、割高である可能性があります。

相場から大きくずれていない

相場と比べて極端に安い、または高い見積もりには注意が必要です。安すぎる場合は、教育やサポートが不十分である可能性があり、高すぎる場合は中間手数料が過剰に乗せられているケースも考えられます。複数の機関から見積もりを取り、料金の根拠やサービスの違いを比較して、適正な水準を見極めましょう。

特定技能外国人採用にかかる費用を抑えるための実務的アプローチ

費用を抑えつつ、一定の品質を確保した人材を受け入れるためには、実務上の工夫や選定方法が大きな鍵を握ります。ここでは、無理のないコスト管理と円滑な採用を両立するための現実的なアプローチについて解説します。

  • 複数の送り出し機関から相見積もりを取得する
  • 信頼できる紹介ルートを活用する

送り出し機関の選定や費用交渉においては、事前の情報収集と比較検討が重要です。自社の受入れ体制や必要とする支援内容に合わせて、最適なパートナーを選びましょう。

複数の送り出し機関から相見積もりを取得する

見積もりを1社のみに依頼するのではなく、複数の送り出し機関から相見積もりを取得することが、費用の妥当性を見極めるうえで有効です。サービス内容が類似した条件で比較することで、「価格の相場観」と「過不足のあるサービス内容」が浮き彫りになります。

また、相見積もりの結果を各機関にフィードバックすることで、価格交渉に応じてもらえるケースもあります。

信頼できる紹介ルートを活用する

過去に取引実績のある登録支援機関や人材紹介会社を通じて、信頼できる送り出し機関を紹介してもらう方法も有効です。

紹介を受けることで、手数料の優遇やサービスレベルの保証が得られることもあります。特に、支援業務に精通した専門家とのネットワークを活用すれば、事前確認やトラブル対応も円滑に行えるため、結果的にコストとリスクの両方を抑えることができます。

外国人材の支援サポートは「外国人材採用ラボ」をご活用ください

はじめて外国人材を受け入れる企業や、送り出し機関や登録支援機関との調整に不安を感じる企業にとっては、包括的な支援サービスの利用が大きな助けとなります。「外国人材採用ラボ」では、採用から支援、アフターフォローに至るまで、一貫したサポート体制を提供しています。最後に、当社クレイプラスが運営する「外国人材採用ラボ」を紹介します。

外国人材採用ラボとは

外国人材採用ラボは、外国人材雇用に関する実務支援に特化したサービスです。

複雑な在留資格の手続きや、送り出し機関・登録支援機関との調整、必要書類の整備など、採用の初期段階から企業をトータルで支援します。法務省や出入国在留管理庁の制度変更にも迅速に対応し、常に最新情報を提供する体制が整っています。

送り出し機関との連携によるトータルサポート体制

外国人材採用ラボは、現地の優良送り出し機関との強固なネットワークを持ち、企業が求める人材像にマッチした候補者を確保します。また、面接調整や必要書類の整備、ビザ申請のサポートまで一括して対応可能な体制があり、企業側の負担を大幅に軽減できます。渡航前の研修体制や定着支援においても、実績のある提携先を活用して円滑な受け入れを実現します。

費用面でも安心できる採用支援サービスの魅力

「外国人材採用ラボ」では、事前に明確な料金体系を提示することで、費用の透明性を確保しています。見積もりはサービスごとに分かれており、必要なサポートに応じて柔軟に選択が可能です。

料金にはサポート内容の詳細や対応範囲も明記し、不明瞭な追加費用が発生する心配がありません。コストを抑えつつ、必要な支援を受けられる体制が整っている点も、企業から高く評価されています。

まとめ

特定技能制度を活用して外国人材を採用する際、送り出し機関の役割と費用構造を正しく理解することは、適切な人材確保とコスト管理の両立に不可欠です。

制度上の義務がある国では政府認定機関の選定が求められ、費用やサービス内容も大きく異なります。送り出し機関の選定、契約時の注意点、そして費用の適正性を見極めるための比較検討が、採用活動全体の成功に直結します。

「外国人材採用ラボ」では、こうした複雑な判断が必要な場面においても、専門家が企業に寄り添いながら実務をサポートいたします。送り出し機関との連携からビザ申請、採用後の定着支援まで、すべての工程を一貫して支援できる体制を整えています。

外国人材の採用を初めて検討する企業はもちろん、既に受け入れ経験のある企業であっても、新たな国や職種への対応において不安や疑問を感じることがあるかもしれません。そのようなときはぜひ、「外国人材採用ラボ」にご相談ください。制度理解から実務対応、コスト最適化まで、貴社の採用活動を力強くサポートします。

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