公開日: 2025.06.16
【比較】「特定技能」と「技能実習生」の受け入れ条件とは?各制度をしっかり理解しよう
「特定技能」と「技能実習生」の受け入れ条件とは?各制度をしっかり理解しよう

「特定技能」と「技能実習生」の違いがわからず、どちらを選べば良いのか悩んでいませんか?外国人材の採用を進める上では、受け入れ条件や必要な体制にどんな違いがあるのか、明確に理解することが重要です。

「特定技能制度」と「技能実習制度」では、目的や条件、企業側に求められる体制が大きく異なります。制度の選択は、採用後の支援体制や人材の定着に大きな影響を与えるため、両者の違いをしっかり把握しておくことが不可欠です。

そこで今回は、特定技能と技能実習の受け入れ条件を比較し、各制度の特徴や企業が準備すべき体制について、実務に役立つ形でわかりやすく解説します。

「特定技能制度」と「技能実習制度」の違い

外国人材を受け入れる際に、多くの企業が「特定技能」と「技能実習」のどちらを選ぶべきかで悩んでいます。ここでは、両制度の根本的な違いを明確にし、制度の背景・設計意図・雇用実態を理解することで、自社にとって最適な制度を見極めるための基礎を固めます。

制度の目的と成り立ち

特定技能制度は、即戦力となる外国人材を受け入れるために2019年に創設されました。特に深刻な人手不足が続く産業分野に焦点を当て、外国人材を活用することが目的です。技能や日本語の水準によって、就労可能な分野や在留期間、家族帯同の可否の違いがある「特定技能1号」と「特定技能2号」に分かれています。

一方、技能実習制度は1993年に始まり、開発途上国への技術移転と国際貢献を目的とした制度です。この制度では、就労が主目的ではなく、技能の習得を通じて技術を母国に持ち帰ることが重視されています。入国からの技能の習熟の段階によって、「技能実習1号」「技能実習2号」「技能実習3号」と最大5年まで移行することができます。

両制度は目的自体が異なり、その結果、労働時間、報酬基準、キャリア形成の支援に大きな差が生まれています。

雇用期間・就労範囲の違い

特定技能制度と技能実習制度では、在留期間、更新の可否、家族帯同の有無、就労可能な職種において明確な違いがあります。

制度区分在留期間更新の可否家族帯同就労範囲
技能実習1号1年間
(実習1年目)
技能実習2号への移行のみ可不可母国で技能習得が困難な職種
(ただし、技能実習2号、技能実習3号への移行対象職種あり)
技能実習2号2年間
(実習2年目、3年目)
技能実習3号への移行のみ可不可対象職種のみ可能
技能実習3号2年間
(実習4年目、5年目)
原則不可不可対象職種のみ可能
特定技能1号最大5年可能 (1年単位など)不可16分野
特定技能2号無期限
(更新可)
可能可能 (配偶者・子)11分野

参照元:技能実習制度移行対象職種一覧(厚生労働省)

これらの違いは、企業が外国人材をどれだけの期間雇用できるか、またどの職種に就かせるかという実務面で大きな影響があります。長期的な雇用を見込む場合、特定技能2号への移行が可能な特定技能制度の方が有利です。

受け入れ企業に求められる体制

両制度には、企業の受け入れ体制に関する違いがあります。技能実習制度では監理団体との連携が前提となるのに対し、特定技能制度では企業が直接支援を行うか、登録支援機関に委託する形を取ります。

項目技能実習制度特定技能制度
支援の主体監理団体企業または登録支援機関
生活支援原則として監理団体が対応法定10項目の支援が義務
(特定技能1号の場合)
実習計画/支援計画の作成必須(監理団体と作成)特定技能1号は必須
(企業が作成/委託可能)
入国・帰国時の送迎監理団体が対応企業または登録支援機関が対応
(特定技能1号は義務)

この体制の違いは、企業のリソースや支援ノウハウに影響します。企業が選ぶ制度によって、必要な人員体制やコスト、業務の範囲が大きく変わるため、違いをしっかり理解し、自社の運用能力に合った制度を選ぶことが重要です。

人材の定着・キャリア形成への影響

外国人材の定着率が低いことは大きな課題です。日本語や生活習慣の違い、将来のキャリアが見えにくいことが、離職や早期帰国の原因となります。

技能実習制度は、原則として帰国が前提となり、長期雇用やキャリア形成が難しいため、昇進の機会が限られ、モチベーション維持が困難です。一方、特定技能制度では「2号」への移行や他の在留資格への変更も可能で、定着や永住を見据えたキャリア設計が可能になります。

企業側は、教育・研修体制を整備し、スキルアップや役割拡大の道筋を示すことで、人材の定着と戦力化を促進できます。また、特定技能2号では家族帯同が可能で、生活の安定や地域とのつながりを支援することができ、双方にとって持続可能な雇用関係の構築が期待できます。

「特定技能制度」の概要と受け入れの基本

2019年に創設された特定技能制度は、急速に進行する日本の少子高齢化と、それに伴う労働力不足を解消するために導入された仕組みです。この制度は、外国人労働力を効果的に補完することを目的としており、企業は単に外国人を雇用するだけでなく、彼らの就業、生活、キャリアを中長期的に支援する体制が求められます。

ここでは、特定技能制度の背景、区分、対象業種、企業に求められる役割や支援体制について、実務的な観点から解説します。

特定技能制度が創設された背景

日本では少子高齢化により労働力人口が年々減少しており、特に介護、建設、農業、宿泊業などの労働集約型産業では、人材確保が困難になっています。この課題に対処するために設けられたのが「特定技能制度」です。

従来の技能実習制度が「人材育成」や「国際貢献」を主目的としていたのに対し、特定技能制度は「労働力の補完」に重きを置いた、より現実的かつ実務的な外国人労働力の受け入れを目指しています。

特定技能1号・2号の違い

特定技能制度は、2つの段階に分かれています。まずは「特定技能1号」で入国し、その後一定の条件を満たすことで「特定技能2号」への移行が可能です。それぞれの特徴を理解し、企業が求める人材像や業種に応じて適切な選択が求められます。

分類特定技能1号特定技能2号
在留期間通算5年まで制限なし
(更新可能)
家族帯同不可可能
(配偶者・子)
就労できる業種16分野11分野
技能水準基本レベル
(試験合格で可)
高度な技能
(経験・実績重視)
日本語能力JLPT N4以上
(業種により異なる)
不問
(技能評価が中心)
移行要件技能実習2号修了で試験免除あり特定技能1号からの移行可能

企業が特定技能人材を受け入れるために準備すること

特定技能人材を受け入れるには、単に求人を出して外国人材を雇うだけでは不十分です。制度上、企業は多くの法的および実務的な準備を行う必要があります。ここでは、受け入れ前に確認すべき業種・業務の範囲と支援体制について詳述します。

  • 受け入れ可能な業種と業務内容を確認する
  • 支援計画の策定や登録支援機関の活用を検討する

受け入れ可能な業種と業務内容を確認する

企業は、まず自社の業種・業務内容が特定技能制度の対象であるか確認することが重要です。

2025年現在、特定技能1号では16業種、特定技能2号では11業種が対象となっており、業種だけでなく「就業内容」にも制限があります。事前に国のガイドラインを確認し、自社業務が対象かどうかをチェックしましょう。

項目特定技能1号特定技能2号
対象業種16分野 (​​介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業)11分野 (​​ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)

支援計画の策定や登録支援機関の活用を検討する

特定技能1号で人材を受け入れる場合、法定支援10項目を含む「支援計画」の策定が義務付けられています。企業が自ら実施する場合も、登録支援機関に委託する場合も、この計画内容は法的に整合性が取れている必要があります。

支援内容(法的に義務付けられている主な10項目)は次のとおりです。

  1. 事前ガイダンス(入国前の制度説明)
  2. 入出国時の送迎
  3. 住居確保・ライフライン契約支援
  4. 生活オリエンテーションの実施
  5. 公的手続きの同行支援
  6. 日本語学習の機会提供
  7. 相談・苦情への対応体制
  8. 日本人との交流支援
  9. 転職支援(やむを得ない場合)
  10. 定期的な面談と通報義務

登録支援機関を活用することで、これらの支援を月額2〜3万円程度で外部に委託することができます。初めて外国人材を受け入れる企業にとっては、制度運用の安定化やリスク軽減につながります。

「技能実習制度」の仕組みと受け入れ条件

技能実習制度は、1993年に創設され、日本の優れた技術・技能・知識を開発途上国の人材に移転し、その国の経済発展を支援することを目的としています。しかし、近年では、制度が「労働力確保」の手段としての性格を強く持ち、実際の運用においてさまざまな課題が指摘されています。

ここでは、技能実習制度の目的や位置づけ、受入れ手順について解説します。

技能実習制度の目的と制度の位置づけ

技能実習制度は、あくまで「人材育成」「技能移転」「国際貢献」を目的とした制度であり、単なる就労を目的とするものではありません。実習生は「労働者」ではなく「研修生」として日本に来日し、企業にとっても単なる労働力の確保ではなく、教育的な受け入れが求められます。

しかし、実際には建設業、農業、食品製造業など、単純労働が必要な業種で多くの実習生が受け入れられ、制度上の目的と現実の運用との間に乖離が生じているケースも多く見受けられます。

一方で、技能実習制度は各分野で「3年間の実習→評価試験→2年間の延長」という段階的な構造を持ち、実習生の技能習得の進捗が明確に位置づけられています。この点が、教育制度としての特徴を強調しています。

技能実習生の受け入れ手順

技能実習制度を利用するには、所定の手続きと体制整備が必要です。特に中小企業にとっては複雑に感じられることもありますが、重要なポイントを押さえれば対応可能です。

技能実習制度では、企業単独での受け入れができないため、必ず「監理団体」との連携が必要です。また、実習内容や教育方針をまとめた「技能実習計画」を作成し、その認定を受けることが求められます。

監理団体との連携体制を整える

技能実習制度における監理団体は、実習生の募集や受け入れから日常生活のサポート、制度運用の監督まで広範囲にわたる支援を担います。企業がこの制度を適切に運用するには、監理団体との協力体制をしっかり築くことが前提となります。

監理団体は、企業に代わって次のような実務支援を行います。

  • 実習生の選考、送り出し国との調整
  • 渡航・入国準備のサポート
  • 住居の手配や生活指導
  • 日本語教育や文化理解の支援
  • 行政手続き(在留資格・健康保険等)のフォロー
  • 実習中の巡回監査や問題発生時の対応

これらの支援を受けることで、企業は実習の指導や職場教育に集中でき、実務負担を大幅に軽減できます。監理団体との連携が不十分な場合、制度違反やトラブルの原因となるため、信頼できる団体を選定し、継続的な情報共有や連絡体制の構築が非常に重要です。

実習計画の作成と認定を取得する

技能実習制度では、実習の目的や内容、教育体制を明記した「技能実習計画」を作成し、外国人技能実習機構(OTIT)からの認定を受ける必要があります。この計画は、単なる形式的な申請ではなく、制度に基づく正当な受け入れのための指針として重要な役割を果たします。

実習計画には、次の内容を盛り込む必要があります。

  • 実習の対象となる技能・作業内容
  • 実習期間と段階ごとの教育目標(1号・2号・3号)
  • OJT・OFF-JTの実施方法と時間配分
  • 指導体制(担当者の資格や役割)
  • 労働時間・休日・安全衛生管理の体制
  • 定期的な評価・改善の方針
  • 実習生の成長を見える化する仕組み

実習計画の作成は受け入れ企業が主体となりますが、監理団体が作成を支援するのが一般的です。認定には数週間から1ヶ月以上かかる場合もあるため、事前準備と専門的なチェックが不可欠です。

技能実習制度の「育成就労制度」への移行の概要

長年にわたり、技能実習制度に関して制度的な矛盾が指摘されてきました。これを受け、2023年以降、政府は抜本的な見直しを進め、その中心となるのが新制度「育成就労制度」の創設です。この新制度は、従来の技能移転や国際貢献の理念を踏襲しながら、より現実的な労働力確保と人材育成を両立させることを目指しています。

ここでは、技能実習制度の育成就労制度への移行の概要について解説します。

制度改正の背景と育成就労制度の概要

技能実習制度は、「技能移転」を主目的としながらも、実際には低賃金労働力を受け入れる形となり、人権侵害や転職制限など多くの問題が指摘されてきました。これを受けて、政府は新たに「育成就労制度」を創設しました。

育成就労制度では、段階的なキャリア形成を支援し、転職制限を一定条件下で緩和します。また、評価基準として日本語能力や技能の客観的な指標が採用され、監理団体から登録支援機関への管理体制移行も進められる予定です。

区分技能実習制度育成就労制度(予定)
制度の目的技能移転・国際貢献人材育成+就労
転職の可否原則不可一定条件下で可
(同職種・同分野など)
滞在期間最大5年
(段階制)
同程度または緩和の可能性
評価方法技能実習計画による評価日本語能力・技能試験等で客観評価
管理体制監理団体中心登録支援機関モデルへの移行も想定

企業が制度変更に向けて準備すべきこと

「育成就労制度」の創設により、企業の外国人材の受け入れに対する姿勢や体制に大きな転換が求められます。これまでのように一時的な労働力としてではなく、将来を見据えた人材育成と継続雇用の視点が強調されるようになります。

したがって、企業はこの制度移行に備え、受け入れ体制の見直しと必要な準備を段階的に進める必要があります。ここでは、企業が今のうちから取り組むべき4つの主な準備事項について解説します。

  • 自社での外国人材活用方針の明確化
  • キャリア形成を意識した体制整備
  • 登録支援機関等との連携強化
  • 日本語教育支援の拡充

自社での外国人材活用方針の明確化

育成就労制度では、外国人材を単なる人手不足の補充ではなく、将来的な戦力として育成し定着させる視点が重視されます。企業はまず「なぜ外国人材を受け入れるのか」「どのような役割を期待するのか」といった採用目的を明確にし、それに基づいた中長期的な人材戦略を策定する必要があります。

たとえば、特定の業務領域で専門性を高めてもらいたいのか、将来の現場リーダー候補として育成したいのかによって、教育方針や配置計画も変わります。育成就労制度の趣旨に沿ったビジョンを持つことで、制度活用の効果を最大限に引き出せます。

キャリア形成を意識した体制整備

外国人材を育成するには、職場内での段階的なスキル習得と評価の仕組みが不可欠です。

育成就労制度では、OJT(On-the-Job Training)だけでなく、OFF-JT(講習・eラーニング・外部研修など)を通じて補完的な教育体制も整備することが求められます。そのためには、業務内容に合わせた教育プログラムの設計、定期的な評価・フィードバック、昇格のルール設定など、キャリアステップを明確に示しておくことが重要です。

このような仕組みが整備されていれば、外国人材のモチベーション向上や職場定着に繋がります。

登録支援機関等との連携強化

制度移行に伴い、監理団体中心の運用から、登録支援機関との協働体制にシフトする可能性が高まっています。

特定技能制度では、すでに登録支援機関が生活支援や入管手続きを担っており、このノウハウは育成就労制度にも活かされると見られています。今のうちから、外国人材支援に実績のある登録支援機関との関係構築を進めておけば、制度変更後もスムーズに対応できます。

また、社内に十分な支援リソースがない企業にとっては、外部機関の活用による負担軽減というメリットもあります。

日本語教育支援の拡充

育成就労制度では、日本語能力の可視化と評価がより重視される方向にあります。たとえば、JLPT(日本語能力試験)のN4レベル以上が就労条件となる可能性が高く、日本語教育体制は企業にとって重要な課題です。

外国人材が業務を円滑に遂行し、社内での意思疎通を円滑にするためにも、入社前の語学教育、入社後の継続的な学習支援が不可欠です。学習教材の提供、日本語教師の手配、社内勉強会の実施、オンライン学習の導入など、実践的かつ継続的な支援策を取り入れることで、職場環境の改善と人材の定着につながります。

特定技能と技能実習生の受け入れ条件の比較

これまでに解説した両制度の特徴や運用方法を踏まえ、ここでは実務における受け入れ条件の違いを整理し、比較します。制度の目的、対象となる人材、在留条件、支援体制、転職やキャリア形成の可能性などを総合的に比較することで、企業としてどちらの制度を選択すべきかの判断材料にしてください。

制度の目的と位置

最初に理解しておくべきことは、それぞれの制度が持つ「目的と役割」です。制度の成り立ちや設計思想が異なるため、対象となる人材の性質や活用方法が企業の受け入れ戦略に大きく影響します。下の表では、両制度の目的や対象人材の違いを比較しています。

項目技能実習制度特定技能制度
制度の主目的技術移転による国際貢献
(教育制度)
労働力確保
(就労制度)
対象となる人材日本の技術を学び、母国へ持ち帰る人材即戦力として現場で活躍する人材
制度の運用主体外国人技能実習機構(OTIT) 監理団体出入国在留管理庁 登録支援機関または企業
キャリアパス原則帰国が前提特定技能2号・永住・介護福祉士などへ移行可能
ポイント教育プログラム要素が強い
(人材育成>労働力)
実務力重視、即戦力の雇用が前提
(実務>教育)

在留資格や就労期間の違い

在留資格の期間、更新の可否、家族帯同の有無など、「制度的な条件」は企業の人材計画や受け入れ体制に直結します。下の表では、両制度の在留資格に関する基本的な条件を比較しています。

比較項目技能実習制度特定技能1号特定技能2号
在留期間最大5年
・1号:1年
・2号:2年
・3号:2年
通算5年
(更新あり)
制限なし
(更新可能)
更新の可否不可(段階移行のみ)1年・6ヶ月・4ヶ月単位で更新可更新可 (要件を満たせば無期限)
家族帯同不可不可
(配偶者・子)
帰国後の再来日原則不可再申請により可能長期滞在・定住を前提

企業に求められる対応や支援体制

実際に外国人材を受け入れる際、企業に求められる対応や支援体制は制度によって異なります。特に、誰が支援を担当するのか、義務として対応すべき範囲がどこまでかといった点は、実務上の負担やコストにも影響します。

支援・管理項目技能実習制度
(監理団体)
特定技能制度
(登録支援機関 or 自社実施)
支援主体監理団体登録支援機関 or 自社
支援計画の策定実習計画書を監理団体が作成支援計画を企業が作成
(委託可)
法定支援項目明確な一覧はない
(ガイドラインによる)
法定10項目の支援が義務
生活支援内容住居・生活指導は監理団体経由で実施企業が住居手配、日本語教育、苦情対応などを実施
言語・文化支援必須ではないが実施推奨日本語学習機会提供・地域交流の促進が義務化
離職時の再受け入れ対応制限あり
(転職困難)
転職先紹介や退職時対応が企業に義務付け

移行制度としての関係性

技能実習制度と特定技能制度は、完全に別個の制度ではなく、両者には移行の仕組みが設けられています。特に技能実習から特定技能への移行は、企業および外国人材にとって重要な選択肢です。ここでは、移行条件について解説します。

技能実習から特定技能への移行条件

技能実習2号を修了した外国人は、同じ業種であれば特定技能1号に移行する際に技能試験および日本語試験が免除されます。

移行の条件・技能実習2号を良好に修了していること(出入国在留管理庁の定義あり)
・同一業種・同一作業であること(例:農業→農業、介護→介護)
・実習期間中に法令違反がないこと
・企業側が特定技能人材の受け入れ条件を満たしていること

この移行制度は、技能実習終了者にとってキャリアの延長線として位置付けられ、企業にとっては長期雇用を視野に入れた人材確保の手段となります。

外国人材の採用における制度選びのポイント

外国人材を採用する企業にとって、「技能実習制度」と「特定技能制度」の選択は重要な決定です。両制度の違いを理解した上で、自社に最適な受け入れ体制を整えることが、スムーズな採用と定着支援の第一歩となります。ここでは、採用目的や業務内容、社内体制に基づいて制度選定のポイントを解説します。

  • 採用目的や業務内容に応じて制度を使い分ける
  • 長期雇用を見据えて在留資格を選定する
  • 企業の体制やリソースに合わせた制度を選ぶ

採用目的や業務内容に応じて制度を使い分ける

外国人材を採用する際、まずはその「目的」や「業務内容」に焦点を当てて制度を選定することが不可欠です。特に「教育的意義を重視するのか」「現場で即戦力を求めるのか」によって、最適な制度が異なります。

採用目的別に、適切な制度の選定例を示します。

採用目的に応じた制度の選定例

採用目的に応じて選ぶべき制度は異なります。たとえば、国際貢献としての技能移転を目的とする場合、教育的要素が重視される「技能実習制度」が適しています。逆に、純粋な労働力の確保を目的として業務に即戦力を求める場合、試験合格が求められる「特定技能制度」が適しています。

さらに、長期的な人材の定着やキャリア形成を考える企業にとっては、「特定技能制度」を活用し、将来的に「特定技能2号」への移行を視野に入れることが現実的な選択肢となります。これにより、企業は安定した人材確保を実現できます。

一方、業務の期間が限定的であり、採用コストを抑えたいと考える企業には、初期費用や給与水準が比較的低く抑えられる「技能実習制度」が適しているといえます。

業務内容・業種に応じた注意点

次に、実際に従事してもらう業務内容や業種によって適した制度が異なる点について考えます。現場の業務特性に合わせて制度選定を行うことが重要です。

工場のライン作業や農業など、比較的「定型的な業務が中心」であれば、監理団体主導で運用される「技能実習制度」でも十分に対応可能です。一方、「顧客対応」や「柔軟な判断を求められる業務」には、一定の日本語能力や自主性が必要となるため、「特定技能制度」の方が適しています。

また、介護業界など資格が必要な業務においては、「特定技能制度」を通じて「介護」などの専門分野にステップアップすることも可能で、将来的な人材育成を視野に入れた選定が求められます。

長期雇用を見据えて在留資格を選定する

外国人材を単なる短期労働力としてではなく、将来的に戦力として現場リーダーや管理職候補として育成したい企業も増えています。そういった場合には、在留期間の上限や更新の可否、家族帯同の可否など、長期雇用に影響する要素を重視して制度を選ぶことが求められます。

在留資格ごとの長期雇用適性

各在留資格には、長期雇用に適した条件があります。

「技能実習制度」は最長5年までの更新となり、家族帯同も認められないため、基本的に帰国を前提としています。

「特定技能1号」は最長5年で更新が可能ですが、家族帯同は認められず、長期雇用には「特定技能2号」への移行が前提となります。

「特定技能2号」は、在留期間に制限がなく、更新や家族帯同も可能で、定住や永住を視野に入れた長期雇用に最も適しています。2025年には、建設業監督者などの専門資格への移行も可能となるため、長期的な人材確保に有利です。

ただし、特定技能1号で特定技能2号の対象外となる業種では、特定技能2号への移行はできませんが、条件によっては「介護」や「技術・人文知識・国際業務」など、他の在留資格への変更で長期雇用が可能なケースもあります。長期的な雇用計画を立てる際は、制度の枠を超えて在留資格の移行可能性も検討することが重要です。

企業の体制やリソースに合わせた制度を選ぶ

制度選定にあたっては、企業のリソースや支援体制が重要な判断材料となります。

たとえば、外国人材への日本語教育や生活支援、相談対応を自社で行える体制が整っている企業では、「特定技能制度」を自社実施型で運用することも可能です。この場合、登録支援機関を利用せず、コストを抑えた運用が可能になります。

一方、社内に多言語対応や生活支援のリソースがない中小企業では、「技能実習制度」や、登録支援機関と連携する形での「特定技能制度」が適している場合があります。技能実習制度では、監理団体が多くの制度運用を代行してくれるため、受け入れに伴う実務負担が軽減されます。また、特定技能でも登録支援機関を活用すれば、法定支援項目を外部委託でき、社内リソースに不安がある企業でもスムーズに制度を導入できます。

このように、制度ごとに企業の負担や対応すべき範囲が異なるため、自社のリソースと制度の特性を考慮し、最適な運用方法を選ぶことが、外国人材の安定的な受け入れと定着につながります。

外国人材の採用には「外国人材採用ラボ」をご活用ください

技能実習制度と特定技能制度には、それぞれ異なる特性と要件があり、企業が自社に合った制度を選ぶこと、そして安定的に外国人材を受け入れるための体制を整備することが重要です。

しかし、実際には複雑な手続きや支援体制の構築が必要であり、多くの企業は自社だけで進めるには限界を感じています。そんな企業にとって、外国人材採用の専門サービスである「外国人材採用ラボ」の活用が非常に効果的です。最後に、外国人材採用ラボの概要と、提供するサービスを紹介します。

外国人材採用ラボとは

「外国人材採用ラボ」は、株式会社クレイプラスが運営する外国人採用専門の支援サービスです。

製造業、介護業、建設業など、特に人手不足が深刻な業界に焦点を当て、特定技能や技能実習を活用した採用支援を行っています。これにより、全国の中小企業へ即戦力となる外国人材を安定的に提供しています。

採用ラボの支援内容と利用のメリット

「外国人材採用ラボ」は、単なる人材紹介にとどまらず、制度選定から入社後の定着支援までをワンストップで提供しています。企業が抱える実務負担を軽減し、特に初めて外国人材を受け入れる企業でも安心して運用を進められるため、利用することで大きなメリットを得ることができます。

制度選定から書類作成、定着支援まで一貫対応

「外国人材採用ラボ」では、特定技能か技能実習か、どの制度が自社に最適かの選定支援から始まり、在留資格に関する書類作成、行政手続きの代行、生活インフラの整備支援、さらには就労後のフォローアップまでを包括的に行います。

また、通訳手配や文化・言語のギャップを考慮した事前教育も充実しており、ミスマッチやトラブルの予防にもつながります。

登録支援機関との連携による安心のサポート体制

特定技能制度では登録支援機関との連携が不可欠ですが、「外国人材採用ラボ」は豊富な経験を活かし、支援計画の作成から10項目の法定支援の実施まで、企業の負担を最小限に抑えつつ、高品質な支援を提供しています。

まとめ

外国人材を採用する際に最も重要なのは、各制度の違いをしっかりと理解し、自社の目的や体制に最適な制度を選択することです。技能実習制度と特定技能制度には、それぞれメリットと制約が存在しますが、特に長期的な雇用の確保や即戦力の活用を目指す企業にとっては、これらの制度を適切に活用し、強固な受け入れ体制を整えることが不可欠です。また、制度選定から支援実行に至るまで、一貫したサポートを受けられることが重要です。

初めて外国人材を採用する企業にとっても安心して進められる「外国人材採用ラボ」の利用は、大きな助けとなるでしょう。豊富な経験を持つ専門スタッフが貴社の人材課題を解決するために、全面的にサポートいたします。外国人材を採用したいけれど、どのように始めたら良いのかわからない、「技能実習」と「特定技能」のどちらが良いのか悩んでいるという方は、お気軽に外国人材採用ラボまでお問い合わせください。

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