公開日: 2025.06.04
【2025】特定技能は「無期雇用」は可能?受入れ企業が知っておくべきポイントを解説
特定技能は「無期雇用」は可能?受入れ企業が知っておくべきポイントを解説

特定技能外国人材を長期的に雇用したいと考える企業にとって、「無期雇用契約が制度上可能なのか」は重要な検討ポイントです。実際、多くの企業担当者が「制度上、無期雇用にできるのか」「制度との不整合が生じないか」といった疑問や不安を抱えています。

結論として、特定技能1号では「有期雇用」が制度上の原則であり、無期雇用契約は想定されていません。これは、契約満了時に外国人材が確実に出国できるよう制度設計されているためです。一方で、特定技能2号への移行や在留資格の変更により、長期雇用が可能となるケースも存在します。

今回は、特定技能制度における無期雇用の可否や法的な制約、特定技能2号への移行条件、必要書類、そして実務対応のポイントを体系的に解説します。制度を正しく理解し、将来的な無期雇用を見据えた戦略的な人材活用を実現するために、ぜひ最後までご覧ください。

特定技能制度とは

特定技能制度を正しく理解することは、「無期雇用」が制度上可能かどうかを判断するうえでの出発点です。ここでは、制度の基本構造と導入の背景を整理し、その目的や意義を明確にします。

即戦力の外国人材を受け入れるための制度

特定技能制度は、慢性的な人手不足が続く産業分野において、一定の技能と日本語能力を有する外国人材を受け入れるために、2019年4月に創設されました。現場で即戦力として働けることを前提としており、従来の技能実習制度に比べて、雇用の自由度が高く設計されている点が特徴です。

本制度は「労働力としての外国人受け入れ」を明確に認めており、企業が外国人材と直接労働契約を結ぶ形式で運用されます。

特定技能1号と特定技能2号の違い

特定技能制度は、「1号」と「2号」の2種類の在留資格に分かれています。

特定技能1号は、技能実習を良好に修了した人材や、分野ごとに定められた技能試験・日本語試験に合格した人材を対象とし、通算で最長5年間の就労が可能です。ただし、家族の帯同は原則として認められておらず、短期的な就労を想定した制度となっています。

一方、特定技能2号は、より高度な技能と実務経験を持つ人材が対象で、在留期間の上限がなく、更新を重ねることで実質的に長期就労が可能です。加えて、一定条件下で配偶者や子どもの帯同が許可されるなど、生活の安定や定着を見据えた制度設計となっています。

このように、特定技能1号と特定技能2号では制度目的や在留要件が大きく異なるため、企業としてどの段階の人材をどのように活用するかが、採用計画に直結します。特に長期雇用を前提とする場合は、特定技能2号への移行を視野に入れた段階的な人材育成戦略が求められます。

特定技能1号の雇用期間は「有期」が基本

特定技能1号は、あくまで「一時的な労働力の確保」を目的とした制度であり、在留期間は1年・6ヶ月・4ヶ月単位の更新制で、通算5年が上限とされています。この「帰国を前提とした制度設計」により、無期雇用契約を結ぶことは制度の趣旨に反する行為となります。

仮に無期契約を締結した場合、在留資格の更新審査において「出国の確実性がない」と判断されるおそれがあり、更新や在留資格変更が不許可となるリスクが高まります。そのため、企業は在留期間に合わせた有期契約を結び、更新時に適切に見直すという対応が求められます。

特定技能2号の場合は無期雇用も可能

特定技能2号は在留期間に制限がなく、無期雇用契約が制度上可能となる在留資格です。人材確保の安定化を図りたい企業にとって、長期的な雇用戦略を実現できる重要な選択肢といえるでしょう。ここでは、特定技能2号の制度概要と、長期雇用に活用できる理由について詳しく解説します。

在留期間に上限がないことが特定技能2号の最大の利点

特定技能2号では、在留資格の更新に回数制限がなく、更新を繰り返すことで実質的に永続的な就労が可能です。この特性により、企業側も無期雇用契約を制度上問題なく締結できます。

さらに、一定の条件下においては配偶者や子どもの帯同が認められており、永住権や定住者資格へのステップアップも視野に入ることから、特定技能外国人にとっても生活基盤の安定が期待できます。企業としては、特定技能1号から特定技能2号への計画的な移行を支援することで、長期的な人材活用と育成の両立が図れます。

対象分野の拡大によりより多くの業種で活用可能になっている

当初は建設分野および造船・舶用工業の2分野のみが対象でしたが、2023年には製造系の3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)などが加わり、2025年時点では合計11分野が対象となっています。

このような対象分野の拡大により、無期雇用を前提とした活用が多くの業種で現実味を帯びてきました。今後もさらなる分野追加が見込まれており、制度としての柔軟性も向上し続けています。

特定技能2号への移行には実務経験と試験合格が必須

特定技能2号へ移行するには、まず特定技能1号として一定期間就労し、実務経験を積むことが求められます。この必要年数は分野ごとに異なるため、事前の確認が不可欠です。加えて、移行には各分野で定められた「特定技能2号技能評価試験」に合格することが条件です。

日本語能力試験(JLPT)の受験は義務づけられていませんが、技能評価試験の内容によっては高い日本語力も実質的に求められます。そのため、企業側は採用段階から特定技能2号移行を視野に入れた教育・支援体制を整えておくことが重要です。

特定技能の雇用契約における実務上のポイント

特定技能外国人を雇用する際は、在留資格の制度趣旨に反しないよう、契約内容や就業条件を丁寧に整備することが不可欠です。特に無期雇用を視野に入れる企業にとっては、制度との整合性を十分に理解したうえで、段階的な準備を進める必要があります。ここでは、契約締結時に企業が押さえるべき実務の要点を解説します。

  • 契約期間は「在留期間」との整合を最優先する
  • 無期契約を視野に入れる場合は特定技能2号への移行を見据え
  • 書類の記載内容は在留資格との整合性に注意する

契約期間は「在留期間」との整合を最優先する

特定技能1号の雇用契約は、在留資格の有効期間に応じて契約期間を設定することが基本です。たとえば、在留カードの有効期限が1年であれば、契約期間も同様に1年とし、「在留資格の延長に応じて契約更新の可能性あり」といった文言を添えることが適切です。

一方で、「期間の定めなし」や「退職時期未定」などの表現は、「帰国の予定が不明確」と見なされ、在留資格の更新・取得が不許可となるリスクがあるため、慎重な表現設計が求められます。

無期契約を視野に入れる場合は特定技能2号への移行を見据える

外国人材を長期戦力として迎えたい企業は、いきなり無期雇用とせず、まずは特定技能1号での有期契約を基本としつつ、特定技能2号への移行を見据えた体制整備を進めることが重要です。

特定技能2号は無期雇用が制度上認められるため、企業はスキル向上支援や試験対策、日本語教育などを通じて、移行を後押しするキャリアパスを設計する必要があります。こうした支援は、人材の定着と戦力化を両立する鍵となります。

書類の記載内容は在留資格との整合性に注意する

雇用契約書や労働条件通知書、雇用理由書などの関連書類では、在留資格の制度趣旨に沿った記載が求められます。次のような文言は特に注意が必要です。

  • 「正社員登用を前提とする」
  • 「無期限雇用」
  • 「定年まで雇用」

これらは特定技能1号の「一時的就労」という前提に反しており、入管審査で不許可となる可能性があります。

また、契約期間のほかにも、給与額や社会保険加入状況、労働時間などの就労条件を適切に整備することが重要です。外国人材に対して不利な待遇とならないよう、日本人と同等以上の条件を明記することが信頼確保の前提となります。

特定技能外国人を長期雇用につなげるための支援体制

特定技能外国人材を無期雇用につなげたい企業にとっては、制度上の整合性を踏まえるだけでなく、長く安心して働ける環境づくりが不可欠です。ここでは、スキルの習得支援、処遇の改善、日本語や生活面での支援といった、長期的な定着を実現するための取り組みについて解説します。

  • 特定技能2号移行に向けたスキル支援を充実させる
  • 処遇や評価制度を整えて定着率を高める
  • 日本語教育・生活支援も併せて実施する

特定技能2号移行に向けたスキル支援を充実させる

特定技能2号への移行には技能評価試験の合格が前提となるため、企業は計画的な育成体制の構築が求められます。具体的には、現場でのOJT、模擬試験の実施、外部教育機関との連携などを通じて、技能の向上を支援することが重要です。

特に中小企業では自社内での対応に限界があるケースも多いため、登録支援機関や外部専門機関と連携し、効率的かつ実践的な教育体制を整えることが現実的な選択肢となります。

 処遇や評価制度を整えて定着率を高める

外国人材が長く働き続けたいと感じる職場には、公平で透明性のある評価制度と、納得感のある処遇改善の仕組みが整っています。昇給・昇格の基準明示、成果や能力に応じた役割の拡大など、日本人と同様のキャリア形成の機会を提供することが定着の鍵となります。

また、離職の原因として多い「将来への不安」や「待遇への不満」に対応するためには、定期的な面談やフィードバックを通じて、本人の意向や不安を把握し、信頼関係を築くことが重要です。

日本語教育・生活支援も併せて実施する

業務上の理解不足に加え、生活上の不安や孤独感も離職の一因となるため、日本語教育や生活支援は企業の大切な責務です。日本語学習の機会提供に加え、生活ガイダンスや地域交流の促進など、職場外での支援も重要です。

たとえば、生活オリエンテーション、通訳の手配、行政手続きのサポート、日本人従業員への異文化理解研修などを通じて、外国人材が安心して暮らせる環境を整えることが、長期的な定着につながります。

外国人材の支援サポートは「外国人材採用ラボ」をご活用ください

特定技能制度に対応した支援を外部機関に依頼することで、受け入れ企業は制度対応の不安を軽減でき、スムーズな人材活用が可能になります。最後に、「外国人材採用ラボ」が提供する主なサポート内容を紹介します。

外国人材採用ラボとは

外国人材採用ラボは、株式会社クレイプラスが運営する、特定技能外国人材の紹介に特化したサービスです。企業と外国人材双方にとって最適なマッチングを実現し、採用後の定着までを見据えたサポートを提供しています。

人材会社として中小企業の人手不足解消にむきあい続けた歴史を持つ

株式会社クレイプラスは、全国の企業が抱える深刻な人手不足問題に長年向き合ってきた実績があります。そのため、単に労働力を補充するだけでなく、企業のDNAに合う人材を厳選し、長期的な活躍を前提とした丁寧なマッチングを心がけていることが特徴です。

また、全業種対応の人材紹介事業も展開しているため、さまざまな業種業態に対する深い理解があることも強みです。外国人材採用ラボは、企業ごとの細かなニーズを的確に把握し、最適な人材をご紹介します。

マーケティングの力により、幅広く人材を探し出す

外国人材採用ラボは、独自のマーケティング戦略により、国内外から優秀な特定技能外国人材候補者を幅広く集めています。安定した採用ルートを確保しつつも、それに甘んじることなく、常に質の高い人材を維持・拡大するための努力を続けています。

これにより、特定の国や地域に偏ることなく、多様なバックグラウンドを持つ候補者の中から、企業のニーズに最も合致する人材を選び出すことが可能です。変化する採用市場の動向を的確に捉え、常に最善の人材獲得を追求することで、企業の採用成功確率を高めています。

一人ひとりと丁寧に面談を実施している

候補者一人ひとりとの丁寧な面談を徹底していることも、外国人材採用ラボの特徴です。豊富なネットワークの人材の中から、スキルや経験だけでなく、人柄や価値観、日本での就労意欲などを徹底して確認します。「書類選考だけでいきなり紹介」ということは決してありません。

複数回の面談を通じて候補者の適性を慎重に見極め、企業とのミスマッチを防ぎます。特に、文化や習慣の違いから生じやすいトラブル(例:喫煙習慣、宗教上の配慮、食事制限、集団生活への適性など)については、事前に細かくヒアリングし、情報を明確にした上でご紹介しています。事前の丁寧なすり合わせが、高い定着率につながっているといえるでしょう。

外国人材の紹介サービス

外国人材採用ラボでは、特定技能外国人材の採用に関する総合的なサポートを提供しています。ここでは、各種サービスを紹介します。

特定技能外国人材の紹介

外国人材採用ラボでは、特定技能の在留資格に必要な要件を満たした、即戦力となる外国人材を紹介しています。特定技能外国人材紹介の概要は次のとおりです。

項目内容
紹介人材の要件・各分野で定められた「技能試験」に合格している
・日本語能力試験(JLPT)N4以上を取得している
・専門知識や実務スキルを保有している
期待できる効果・即戦力としての活躍が期待できる
・採用後の教育コストや時間を削減できる
対応分野・介護、建設、製造業、外食業など、人手不足が深刻化している多くの産業分野に対応できる

企業の皆様が求めるスキル、経験、日本語レベルなどを丁寧にお伺いし、最適な特定技能外国人材をご提案します。

一括支援

特定技能外国人材の紹介以外にも、受け入れに伴う複雑な手続きや多岐にわたる支援を一括して代行・サポートします。主なサポート内容は次のとおりです。

サポート内容概要
手続きの代行複雑な在留資格関連の申請手続きを代行する(ビザの申請など)
生活基盤の整備採用後の教育コストや時間を削減できる
入国時のサポート空港~貴社(アパート)間の送迎代行を行う
定着支援日本での生活ルールやマナーを伝える生活オリエンテーションを実施する

これらのサポートを通じて、企業の人事担当者や現場では、外国人材の受け入れに関する負担から解放され、コア業務に集中できる環境を整えられます。

まとめ

特定技能制度は、即戦力となる外国人材を確保する手段として非常に有効ですが、制度の仕組みを正確に理解し、適切な運用を行わなければ、思わぬトラブルや人材の早期離職といったリスクにつながります。たとえ優秀な人材を採用できたとしても、制度上の制限により最長5年で契約が終了してしまえば、再度の採用活動や育成の手間が発生し、企業側にとっては大きな負担となります。

こうした課題を回避し、安定的かつ継続的に人材を活用していくには、「無期雇用」が制度上可能となる特定技能2号への移行を見据えた長期的な戦略が不可欠です。特定技能1号と特定技能2号の制度的な違いや、移行に必要な要件をあらかじめ把握したうえで、育成・支援体制を整備することが、企業と人材双方にとって望ましい未来を築く第一歩となります。

制度運用に不安がある場合や、自社単独での対応に限界を感じる場合には、「外国人材採用ラボ」にご相談ください。採用から育成、定着支援、さらには特定技能2号への円滑な移行まで、専門的な知見と実績をもとに、安心して外国人材を活用できる体制構築を全力でサポートいたします。少しでもご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。