「3年間、現場で手塩にかけて育てた技能実習生が、来月で帰国してしまう……」
「新制度(育成就労)も気になるが、まずは今の戦力を確実に引き留めたい」
人手不足が加速する自動車整備業界において、経営者様が抱える「最大の痛み」は、ようやく一人前になった人材の流出ではないでしょうか。
本記事では、2027年施行の「育成就労制度」に対する解説のほか、整備士を「生涯の戦力」にするための方法について、統計データに基づき徹底解説します。
目次
1.業界最新動向:今後5年間で123万人の外国人材受入れへ
政府は2024年度からの5年間で、最大約123万人の外国人材受入れを見込んでいます。政府の試算では、「特定技能」の受入れ上限枠が約82万人に設定されました。これは全産業において、育成枠(育成就労)よりも即戦力枠(特定技能)を主力としていく国の方針を明確に示しています。
分野別受け入れ上限(2028年度末まで)
| 分野 | 特定技能 | 育成就労 | 分野全体(合計) |
| 介護 | 12万6900 | 3万3800 | 16万0700 |
| ビルクリーニング | 3万2200 | 7300 | 3万9500 |
| 建設 | 7万6000 | 12万3500 | 19万9500 |
| 造船・舶用工業 | 2万3400 | 1万3500 | 3万6900 |
| 自動車整備 | 9400 | 9900 | 1万9300 |
| 宿泊 | 1万4800 | 5200 | 2万0000 |
| 自動車運送業 | 2万2100 | ー | 2万2100 |
| 農業 | 7万3300 | 2万6300 | 9万9600 |
| 漁業 | 1万4800 | 2600 | 1万7400 |
| 飲食料品製造業 | 13万3500 | 6万1400 | 19万4900 |
| 外食業 | 5万0000 | 5300 | 5万5300 |
| 製造3分野* | 19万9500 | 11万9700 | 31万9200 |
| その他(航空・鉄道等) | 合計に含む | 合計に含む | 各数千人規模 |
| 合計 | 80万5700 | 42万6200 | 123万1900 |
【参考:出入国在留管理庁】分野別運用方針について(案)
【参考:出入国在留管理庁】第12回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議
2. 「育成就労」と「特定技能」:制度の本質的な違い
2027年4月からスタートする「育成就労制度」は、従来の技能実習に代わる新しい育成枠です。新規受け入れの際、どちらのルートを選ぶべきかは企業の戦略的な選択になります。
A. 育成就労制度(人材育成・確保が目的)
・コンセプト: 3年間で「特定技能1号」レベルまで技能を引き上げる。
・教育の義務: 「育成就労実施者(受入れ企業)」は、育成就労計画に基づき計画的に指導する義務あり。
・入国時要件: 技能試験は不要。日本語は「N5(A1相当)」合格または100時間以上の講習受講。
【参考:出入国在留管理庁】 育成就労制度Q&A(令和6年度公表資料)
B. 特定技能1号(即戦力の確保が目的)
・コンセプト: 一定の専門性・技能を持ち、即戦力として現場に従事する。
・メリット: 教育コストを抑え、入国直後から実務に従事可能。
・入国時要件: 自動車整備技能評価試験および日本語試験(N4/A2相当以上)の合格が必須。
| 比較項目 | 育成就労(新制度) | 特定技能1号(現行) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 人材育成 + 人材確保 | 即戦力の確保 |
| 在留期間 | 原則3年 | 5年(更新可) |
| 入国時の技能 | 不要(未経験可) | 試験合格が必須 |
| 日本語(入国時) | N5(A1)相当(講習可) | N4(A2)相当(合格必須) |
| 家族の帯同 | 原則不可 | 不可 |
3. 「育成3年+特定5年=最長8年」プランに潜む3つの落とし穴
「特定技能1号の5年間だけでなく、まずは育成就労で3年育成し、その後に特定技能へ切り替えれば合計8年間も働いてもらえる。これが一番おトクだ」と考える経営者様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、現場の実務と人材心理を考えると、以下の3つの注意点を無視することはできません。
注意①:受け入れ時点での「能力とやる気」の差
育成就労(現技能実習)は「これから学ぶ」未経験者が前提です。一方、特定技能は「すでに試験に合格した」技能・日本語共に一定水準以上。入国直後から実務に入り、改善提案まで期待できる特定技能に対し、育成就労は数ヶ月〜数年の教育コスト(時間・労力)が重くのしかかります。
注意②:「転職可能」になった新制度のリスク
現行の技能実習制度との最大の違いは、本人の意向による転籍(転職)が認められたことです。 ※自動車整備業界では「2年間」の制限が設けられる見通しですが、逆に言えば2年経てば、より条件の良い他社へ流出する権利を本人が持つことになります。3年かけてようやく一人前に育てたタイミングで、他社に「特定技能」として引き抜かれるリスクは、旧制度より格段に高まっています。
【参照:出入国在留管理庁】 育成就労制度Q&A 第1版(問42)
注意③:賃金格差と「優秀な人材」の偏り
経営上のコスト面では「育成就労」が魅力的に見えるかもしれませんが、外国人材の視点に立つと、「稼げる特定技能」こそが、優秀でハングリーな人材が集まる主戦場となります。「月々の手取り額」の差は、彼らにとって日本で働く最大のモチベーションです。賃金を低く設定しすぎると、能力のある人材ほど「最初から特定技能として雇ってくれる企業」を選び、結果として現場に「意欲の低い人材」しか残らないという悪循環に陥る危険があります。
【コストの裏側】 監理団体への月会費+送り出し機関への手数料が二重にかかる育成就労に対し、特定技能の登録支援機関への委託相場は月額2〜4万円程度です。トータルコストで比較すると、その差は意外に小さいのが実情です。
4. 今いる実習生をそのまま「特定技能」へ。最短・最速の切り替えルート
新たに外部から人材を探すコストやリスクを負う必要はありません。現在または過去に貴社の工場で活躍していた技能実習生は、「技能実習2号」を良好に修了していることで、技能試験・日本語試験ともに免除で特定技能1号へ切り替えることが可能です。
切り替える方法
以下のステップで、スムーズな移行が可能です。
・在留資格変更申請: 出入国在留管理局へ「特定技能1号」への変更を申請。
・修了確認: 実習生が「技能実習2号」を良好に修了(3年間の実習を完遂)しているか確認。
・雇用契約: 日本人と同等以上の給与条件で雇用契約を締結。
・支援計画の作成: 登録支援機関と共に、生活支援や学習支援の計画を策定。
特定技能なら、さらに在留期間を伸ばすことができる
特定技能1号としての5年間を終える前に、さらなるステップがあります。それが、家族帯同や永住も視野に入る「特定技能2号」への移行、すなわち「自動車整備士技能検定2級」への合格です。
5.特定技能2号評価試験について:立ちふさがる「日本語」の壁
特定技能1号で在留できるのは最大5年です。この期限を撤廃し、家族を呼んで永住も視野に入る「特定技能2号」へ進むには、評価試験への合格が実質的な条件となります。
受験者数と合格者数の推移(令和7年6月末時点)
最新の統計(令和7年6月末時点の速報値)を確認すると、特定技能試験の合格者は着実に増加しており、特に「特定技能2号」への移行が本格化し始めていることがわかります。
■ 試験結果の累計データ(令和7年6月末時点)
| 区分 | 受験者数 (人) | 合格者数 (人) |
| 特定技能1号 | 8,370 | 5,979 |
| 特定技能2号 | 1,321 | 433 |
| 合計 | 9,691 | 6,412 |
■ 合格者数の推移(累計ベース)
- 令和7年6月末: 6,412人(1号: 5,979人 / 2号: 433人)
- 令和6年12月末: 4,679人(1号: 4,595人 / 2号: 84人)
- 令和6年6月末: 3,449人(1号: 3,449人 / 2号: 0人)
【参照:出入国在留管理庁】特定技能制度運用状況
【参照:日本自動車整備振興会連合会(JASPA)】特定技能評価試験詳細
徐々に増え始めた「2号合格」と、依然として高い専門性の壁
現在は400名を超える人材が「永住への切符」を手にしつつあります。しかし、1号と比較すれば2号のハードルは依然として高く、その主な原因は以下の3点に集約されます。
- 原因①:日常会話とは別次元の「整備専門漢字」の壁
日常の日本語(N4/N3レベル)が話せても、「懸架装置」「制動倍力装置」といった特殊な専門用語を、日本人と同じ条件(ふりがな無し)で読み解くのは至難の業です。 - 原因②:高度な理論と診断ロジックの難解さ
2級試験レベルの理論、電気回路の計算や複雑な故障診断のロジックが問われます。これらを独学で身につけるのはほぼ不可能です。 - 原因③:学習環境の欠如
日中のハードな実務のあと、適切な指導者がいない環境で一人で勉強を続けるのは限界があり、対策なしでは5年の期限を前に諦めて帰国してしまいます。
6.特定技能外国人材の日本語教育サポートなら「外国人材採用ラボ」をご活用ください
株式会社クレイプラスが運営する「外国人材採用ラボ」は、貴社の人手不足解消と事業成長を強力にサポートします。最後に、特定技能外国人材の日本語教育に不安をお持ちの企業様に向けて、外国人材採用ラボの概要と、提供するサービスを紹介します。
外国人材採用ラボとは
「外国人材採用ラボ」は、株式会社クレイプラスが運営する外国人材紹介サービスです。単なる紹介にとどまらず、採用前後のトラブルを未然に防ぐ丁寧な支援と、高品質な人材マッチングを実現しています。また、登録支援機関として、日本語学習の機会提供に力を注いでいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 義務的支援、 「日本語学習の機会提供」とは? | 特定技能1号外国人が、日本での安定した生活と業務遂行を実現するため、受け入れ企業側は、日本語を学ぶ機会を、義務的に提供しなければなりません。 具体的には、地域の日本語教室の情報を教えたり、オンライン教材を紹介したり、外国人の合意のもと日本語講師を契約して講習を行ったりする等の方法があります。なお、これらの情報提供や手続きの補助にかかる費用は企業が負担する義務があります。 |
| よくある課題 | ・外国人材の主体性に任せると、どうしても日本語学習があとまわしになってしまう ・教育を管理するリソースがない ・登録支援機関が「情報の提供」にとどまり、学習の遂行にコミットできていない |
| クレイプラス 「外国人材採用ラボ」の場合 | ・特定技能2号評価試験突破を目的とした最短三カ年計画でカリキュラムを作成 ・1年以内に日本語能力検定3級取得を目指す ・日本語学習用のアプリケーションを用いて、自律学習の環境を整える(アプリの契約料の法人様負担はなし) ・週次の進捗報告会を開催し、周囲と競わせ、学習の遅れを予防する ・定期面談の際も日本に在留する目的・モチベーションを管理して学習の継続を促す ・その他、適宜オンライン講師による指導を実施 ・上記を内定直後(来日前)から開始。面接時の熱意をキープしたまま日本での就業を実現する |
通常、受け入れ機関・登録支援機関には、「日本語の学習機会の提供」が義務付けられていますが、例えばカリキュラム管理や勉強会開催等、「教育を実施する義務」はありません。しかし、私たちは、地方中小企業向けの紹介会社として、長く働ける外国人材のご紹介を目指しています。そのためには、特定技能2号評価試験突破や、それ以外の必須項目を満たすための「日本語能力の獲得」が欠かせません。
仕事への取り組み方、寮・アパートでの生活の仕方、周囲の人、同僚の皆さんとのコミュニケーションのとり方。そのすべての土台となるものが、日本語能力です。私たちは登録支援機関として、報酬をいただいて受け入れ機関の皆様の義務的支援を代行する以上、肝心要の日本語教育から逃げないことを決めています。
「受け入れた外国人材に、できるだけ長く勤めてもらいたい。」
「信頼できる登録支援機関に、学習まで巻き取ってもらいたい。」
そのような希望をお持ちの法人様は、ぜひ一度私たちにお問い合わせくださいませ。
外国人材の一括支援サービス
外国人材採用ラボでは、特定技能外国人材の受け入れに伴う手続きや法律で定められた支援義務をまとめて代行する「一括支援サービス」も、もちろん提供しています。
在留資格関連の申請書類作成から、住居の確保、入国時の空港送迎、生活オリエンテーションの実施といった多岐にわたる業務をワンストップでサポートいたします。その結果、企業の担当者は複雑な事務作業や支援業務から解放され、外国人材の受け入れ準備や現場での指導など、コア業務に専念できるでしょう。
ほか、はじめて外国人材を受け入れる皆様向けには、「特定技能とは?」「よくあるコミュニケーショントラブル」「管理者側のマインドセット」等、受け入れ側にとっても重要となる情報をお伝えする無料レクリエーションも開催しています。
中でも、「外国人材採用」に不安をお持ちの方向けには、まずは受け入れを決める前に、外国人材の日本語能力を事前にチェックしたり、制度の理解を深めたりできる、個別説明会の開催も行っています。ぜひお気軽にご参加ください。