公開日: 2025.06.16
【2025】特定技能「介護」の取得に必要な試験は?試験内容と形式をわかりやすく解説
特定技能「介護」の取得に必要な試験は?試験内容と形式をわかりやすく解説

人手不足に悩む介護業界では、外国人材の活用が現実的な選択肢となっています。中でも、「特定技能」の制度を活用して外国人介護人材を採用したいと考える企業は年々増加しています。

しかし、「特定技能介護の取得にはどういった試験が必要?」「どのような手続きを踏めば良い?」といった疑問を抱えている採用担当者も多いのではないでしょうか?そこで今回は、外国人が特定技能「介護」の在留資格を取得するために必要な試験の概要や出題内容、さらに採用に向けた実務の流れをわかりやすく解説します。

特定技能「介護」とは

はじめに、外国人介護人材を受け入れる上で最も基本となる「特定技能制度」について理解を深めましょう。介護分野での採用を成功させるには、この制度の目的・背景・仕組みを正しく把握しておくことが不可欠です。

特定技能制度の概要

特定技能制度は、深刻な人手不足が続く産業分野において、一定の技能と日本語能力を備えた外国人材を即戦力として受け入れることを目的に、2019年4月に創設された在留資格制度です。

制度開始当初は12分野14業種が対象でしたが、2024年の制度改正により、対象は16分野へと拡大されました。具体的には、既存の介護や外食業などに加え、新たに「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が追加されています。

さらに、より高度な業務に従事できる「特定技能2号」の対象分野も拡充されて11分野となっています。特定技能2号は、特定技能1号と異なり在留期間の制限がなく、家族帯同も可能となる点が特徴です。

特定技能制度は、技能実習制度と異なり、日本の労働力確保を直接的な目的とするため、企業にとっては即戦力の外国人材を中長期的に受け入れやすい制度設計となっています。

介護分野における特定技能制度創設の背景

急速な高齢化により、日本では介護サービスの需要が年々高まる一方、現場では慢性的な人材不足が深刻化しています。厚生労働省の推計によると、2025年には介護職員が約30万人不足する見込みです。

こうした背景を受け、特定技能制度は介護分野における外国人材の受け入れを可能にし、現場の労働力確保と質の高いサービス提供の両立を目指しています。

参照元:2025年に向けた介護人材の確保(厚生労働省)

介護分野で特定技能が必要とされる理由

介護分野で特定技能制度が重要視されるのは、他の業種と比べて労働力不足が深刻だからです。

介護職は体力的・精神的負担が大きい一方、賃金水準は必ずしも高くなく、若年層の応募が少ないうえ、離職率も高い傾向があります。このような状況を改善するには、職場改革と併せて新たな人材の導入が必要です。

特定技能制度により、実務能力と日本語力を備えた外国人材が現場で即戦力として活躍できるようになります。また、外国人材の受け入れは単なる人員補充にとどまらず、文化や価値観の多様性が現場にもたらす新しい視点が、利用者との関係や職場の雰囲気にも良い影響を与える可能性があります。

特定技能「介護」の技能試験の概要

介護現場で即戦力として働くには、特定の技能と、日本語能力を証明する試験に合格する必要があります。その試験内容や難易度、受験者の傾向を正しく把握することが、企業にとっても採用戦略を立てるうえで重要です。

ここでは、試験の受験状況や合格率、実施スケジュール、申し込み方法、必要書類、費用の目安など、受験に関する実務情報を体系的に解説します。採用を検討する企業や、支援機関としての準備を進めたい方にとって、押さえておくべきポイントを具体的に整理します。

受験者と合格率の傾向

2019年の制度開始以来、試験は国内外で継続的に実施されており、特にフィリピン、ベトナム、インドネシアなどのアジア諸国から多くの志望者が受験しています。合格率は年度や開催地によって異なりますが、技能試験・日本語試験ともに50~70%前後で推移しています。

この数値は、受験対策をしっかり行えば比較的合格しやすい水準であることを示しています。企業としては、候補者が受験前に十分な準備を行えるようサポート体制を整えることが採用成功の鍵となります。

試験会場と年間スケジュール

介護技能測定試験および介護日本語評価試験は、日本国内のほか、ベトナム・フィリピン・インドネシアなど海外でも実施されています。

原則として毎月または隔月ごとに各地で開催されており、試験実施団体であるプロメトリック社のウェブサイトで最新の開催地・日程が公表されています。企業側は採用計画に応じて、候補者の現地受験か来日後の受験かを選択できます。

 申込方法と必要書類

試験の申込は、試験運営団体の公式サイトからオンラインで行います。必要な書類には次のものがあります。

  • 顔写真付きの身分証明書(パスポート等)
  • 受験料の支払い証明
  • 受験申込フォーム(オンライン入力)

受験票(確認書)はオンラインでダウンロードできるため、印刷して当日持参します。入力ミスがあると受験できない可能性があるため、丁寧に確認しながら申込を進める必要があります。

参照元:介護技能評価試験、介護日本語評価試験(プロメトリック)

受験料と費用の目安

特定技能「介護」に必要な2つの試験(介護技能測定試験・介護日本語評価試験)には、それぞれ受験料が設定されています。基本的には自己負担ですが、企業が受験費用を補助または全額負担するケースも増えており、採用計画においては費用面のサポート体制を含めた検討が求められます。

受験料の金額は試験を受ける国・地域や試験機関によって若干の差があります。たとえば、日本国内での受験と、ベトナム・フィリピン・インドネシアといった海外の受験会場では手数料や為替レートの影響により異なる場合があります。そのため、事前に公式サイトや現地の試験運営団体の情報を確認し、最新の費用情報を取得することが大切です。

また、受験には交通費や必要書類の取得費(パスポート発行・証明写真代など)もかかることがあります。企業として支援制度を整えておくことで、優秀な人材が安心して受験に臨める環境を整えることにもつながります。受験料の目安とされる金額は下の表のとおりです。

試験種別受験料(目安)
介護技能測定試験約3,000~4,000円
介護日本語評価試験約3,000~4,000円

したがって、2つの試験を合わせた合計で6,000〜8,000円程度の費用が想定されます。受験者の経済的負担を軽減するためにも、企業側で事前に予算に組み込んでおくことをおすすめします。

特定技能「介護」の技能試験の内容

特定技能「介護」の在留資格を取得するには、次の2つの試験に合格する必要があります。

  • 介護技能測定試験:介護現場で求められる実務知識や支援技術を問う
  • 介護日本語評価試験:利用者との円滑なコミュニケーションに不可欠な日本語能力を評価する

ここでは、それぞれの試験がどのような形式で実施され、どのような知識・能力が問われるのか具体的に解説します。

介護技能測定試験では、身体介助や生活支援、感染対策や高齢者理解といった実践的な知識が出題されます。一方、日本語評価試験では、現場対応に必要な声かけや記録作成、会話の理解力などが評価されます。

介護技能測定試験と介護日本語評価試験は、どちらも単なる知識テストではなく、現場での即戦力を見極める実践的な試験です。企業としても、候補者がどの程度のスキルを有しているのかを正しく評価し、適切な職場配置や研修設計につなげることが、受け入れ後のミスマッチ防止や定着率の向上に直結します。また、これらの試験内容を理解することで、受け入れ後の教育やサポート体制の設計にも役立つでしょう。

介護技能測定試験の出題範囲

介護技能測定試験は、介護職に必要な基礎的知識と実務スキルの理解度を筆記形式で確認するための試験です。選択肢から正答を選ぶマークシート式で構成され、日本語による出題が原則ですが、英語・ベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語・カンボジア語などの言語にも対応しており、母語での受験が可能です。

出題範囲は大きく分けて次の4つの分野に分かれており、いずれも介護現場での実践に直結するテーマが中心となっています。

  1. 介護の基本的理解
  2. 身体介助や生活支援に関する問題
  3. 感染対策や高齢者理解の内容
  4. 緊急時の対応と安全管理

1. 介護の基本的理解

「介護の基本的理解」分野では、介護業務の目的や介護職員としての基本姿勢、利用者との関わり方など、職業倫理を含む「介護の基本」が問われます。

主な出題内容:

  • 介護保険制度の概要と仕組み
  • 自立支援の考え方とQOL(生活の質)の尊重
  • 利用者との信頼関係構築(傾聴・共感)
  • プライバシーの保護と個人情報の取り扱い
  • 多職種連携の重要性(医師・看護師・リハビリ職との協働)

この領域では、単に知識を知っているかではなく、「なぜそのような対応が必要なのか」「どのような姿勢で接するべきか」といった根本的理解が問われることが特徴です。

2. 身体介助や生活支援に関する問題

「身体介助や生活支援に関する問題」分野では、介護職が日常的に行う直接的な支援行為に関する知識や判断力が問われます。

主な出題内容:

  • 移乗・体位変換・歩行介助の正しい手順
  • 食事介助における誤嚥防止の配慮
  • 入浴・更衣・排泄の介助と尊厳保持
  • 清掃・洗濯・調理補助など生活支援業務の基本

出題には図解や写真が用いられる場合もあり、「どの動作が安全か」「どう声をかけるべきか」といった現場を想定した実践的な問題が多く見られます。身体的負担を軽減するためのボディメカニクスや転倒防止の知識なども含まれます。

3. 感染対策や高齢者理解の内容

「感染対策や高齢者理解の内容」分野は、感染症予防や高齢者の身体的・精神的な変化に関する正しい理解が問われる領域です。

主な出題内容:

  • 感染経路(接触・飛沫・空気感染)と対策
  • 手指衛生・マスク着用・防護具(PPE)の正しい使い方
  • 認知症の行動・心理症状(BPSD)と対応法
  • 加齢による身体機能の変化(視力・筋力・記憶力など)
  • パーソン・センタード・ケアの概念と実践

この領域では、単なる知識にとどまらず、倫理観や利用者への思いやりが反映されるような判断問題も出題されます。たとえば、「認知症の方が大声を出しているとき、どのように対応するか」など、選択肢の中から最も適切な対応を選ぶ問題もあります。

4. 緊急時の対応と安全管理

「緊急時の対応と安全管理」分野では、事故や急変時における初期対応や、安全確保に関する基礎知識も問われます。介護職は、常に「安全」に配慮しながら利用者を支援する責任があるため、出題内容は次のような内容です。

主な出題内容:

  • 転倒・誤嚥・火傷などの事故発生時の対応
  • バイタルサイン(体温・脈拍・呼吸・血圧)の基礎と異常の早期発見
  • 救急車を呼ぶべき状況判断
  • AED(自動体外式除細動器)の設置場所と使用知識
  • 非常時の通報・連絡体制

これらの知識は、日々の介護業務のなかでも即時的な判断を求められる重要な領域です。事故を未然に防ぐための視点を持っているかどうかも問われるポイントです。

介護日本語評価試験の出題傾向

日本語能力試験(JLPT)とは異なり、介護日本語評価試験は介護現場での「実践的な言語運用能力」を評価することを目的としています。試験は選択式問題が中心で、「リスニング」「リーディング」「語彙理解」の3つのセクションに分かれて実施されます。

特定技能「介護」の合格要件として、基本的な日本語能力を確認しつつ、職場での業務遂行に必要な表現・読解・聴解の能力が備わっているかを測定します。

実務日本語の理解力と表現力の測定

介護日本語評価試験では、介護職が日常的に行う業務上のやりとりに必要な日本語が出題されます。主なテーマは次のようなものです。

  • 利用者への声かけ:「今からお風呂に入りましょう」「トイレに行きましょうか?」などの簡単な誘導表現
  • 状態確認の質問:「どこか痛いところはありませんか?」「寒くないですか?」など、利用者の体調や気持ちを確認する表現
  • スタッフ間の報告:「田中さんは今朝から食欲がありません」「転倒しそうになっていたので注意してください」などの伝達内容

これらの問題では、単語の意味だけでなく、文脈に応じた適切な表現選択が求められます。また、「敬語」や「やさしい日本語(外国人に配慮した簡潔な表現)」も出題範囲に含まれるため、日本人介護職との連携を想定した実務力が問われます。

記録・会話・聴き取りの評価ポイント

介護業務で使用される記録文書や指示の読解・理解についても評価のポイントになります。具体的には、次のような力が試されます。

  • 業務記録の読解:バイタルチェックの数値記録、経過報告の要約、食事摂取量の記録文などを正しく読み取れるか
  • 会話の聴き取り:同僚や看護師の指示を理解し、適切に対応できるか
  • 掲示文や業務連絡の解釈:「消毒液の補充をお願いします」「18時からの会議に参加してください」などの掲示物に対する行動理解

正確な読み取り・聴き取りの力は、事故防止やサービス品質の維持に直結するため、実務上の信頼性を高める重要な指標とされています。受験者は、単なる語学力ではなく「職場内で通じ合える能力」が求められると認識することが大切です。

特定技能人材の採用なら「外国人材採用ラボ」をご活用ください

特定技能制度による外国人材の採用には、ビザ申請や生活支援、定着フォローなど、多くの実務と専門知識が求められます。特に初めて外国人材を受け入れる企業にとっては、「何から始めれば良いのかわからない」「制度の運用に不安がある」と感じることも少なくありません。

こうした課題を解決するために、当社株式会社クレイプラスが運営するのが、外国人材の採用と定着支援をトータルにサポートする「外国人材採用ラボ」です。介護・建設・製造など幅広い分野に対応し、豊富な経験と実績を活かして、企業の採用活動をしっかりと支援します。最後に、「外国人材採用ラボ」の概要とその強みを紹介します。

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外国人材採用ラボでは、採用活動の初期段階から入社後の定着支援まで、煩雑な業務を一括して支援しています。次のようなステップを包括的にサポートすることで、企業の実務負担を大幅に軽減し、安心かつスムーズな採用を実現します。

  • 人材募集・書類選考・面談調整
  • 雇用契約書や翻訳資料の整備
  • 在留資格申請書類の作成・提出
  • 入国後の生活支援(空港送迎・市役所手続きなど)
  • 業務オリエンテーション・定期面談・通訳支援

また、入社後のトラブル対応や、職場環境に関するフォローアップも継続的に行っており、「紹介して終わり」ではなく、「長く安心して働ける体制づくり」まで支援しています。

サービスの特徴

外国人材採用ラボでは、単なる紹介にとどまらず、「早期採用」「定着支援」「コストの明確化」など、企業の実務負担を軽減しながら質の高い採用を実現するための独自の仕組みを整えています。次のようなサポート体制により、企業の人材戦略を強力にバックアップします。

  • スピード採用:試験合格者のリストを常時保有、緊急の人員確保にも対応
  • 明確な料金体系:紹介料・支援料ともに定額制で、費用の透明性を確保
  • 返金制度あり:万が一の早期退職にも備えた保証制度を完備
  • 継続支援:採用後も定期面談や生活状況の確認を継続

これにより、外国人材の採用を「一時的な対応」ではなく「長期的な人材戦略」として位置づけられる環境を整えることができます。外国人材の受け入れが初めての企業でも安心して導入できるように設計しており、実際に多くの企業様で導入実績があります。

まとめ

特定技能「介護」制度の概要や取得に必要な試験の内容、採用までの手続き、企業が果たすべき役割、支援体制の整備、そして信頼できる外部支援サービスについて実務に役立つ視点で幅広く解説しました。

深刻な人手不足が続く日本の介護現場において、特定技能制度は、単なる人員補充にとどまらず、多様な価値観や文化を持つ人材を受け入れ、現場を活性化させる可能性を持った有効な制度です。

ただし、導入には試験合格や在留資格の申請、法定支援の実行といった、企業側の責任ある対応が求められます。法的な条件を満たすことはもちろん、外国人材が安心して長く働けるよう、生活支援や文化的配慮を含む「受け入れの質」が採用成功の鍵となります。

株式会社クレイプラスが運営する「外国人材採用ラボ」では、人材紹介から在留資格の届出・手続き、義務的支援の実行まで、ワンストップでサポートが可能です。特定技能介護人材の受け入れを検討している方は、ぜひ「外国人材採用ラボ」までお気軽にお問い合わせください。

「外国人材採用ラボ」の支援を活用し、外国人材採用の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?特定技能制度を正しく理解し実践的に活用することで、外国人材の力を最大限に引き出し、持続可能な介護現場の実現へとつなげていきましょう。

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