
「特定技能の介護人材を採用する場合、給料はいくら支払えば良いのだろう?」「相場より低すぎては採用できないのでは?」と悩む採用担当者の方は多いのではないでしょうか?結論からお伝えすると、特定技能介護人材の給料は日本人と同等以上の水準を確保する必要があり、地域や施設の条件によって相場が決まります。
今回は、特定技能介護人材の給料水準やその根拠となる制度的な位置づけを整理し、実際の相場や給与設定のポイントを具体的に解説します。また、外国人材を採用する際に注意すべき実務対応や、長期定着につなげるための工夫についても紹介します。採用を検討する企業担当者の方が、安心して給与条件を設定できるようになるための実務的な指針をお伝えします。
目次
特定技能「介護」外国人材の給料の制度的な位置づけ
特定技能で働く介護人材の給与を考えるときに、まず確認しておきたいのが「どの水準で支払うべきか」という制度上の決まりです。ここでは、特定技能制度の基本となる「同等以上の報酬の原則」と、他の在留資格との違いについて解説します。
日本人と同等以上とされる給料の根拠
特定技能制度は、外国人材が安心して働けるよう待遇を適正に保つことを目的としています。そのため、特定技能の在留資格を持つ人には「日本人と同等以上の報酬」を支払うことが法律で義務づけられています。
これは、日本で働く外国人材が不当に低い賃金で雇用されないようにする大切なルールです。対象となるのは基本給だけではなく、昇給、賞与、各種手当といった待遇面も含まれます。日本人の従業員と同じ、あるいはそれ以上の条件が求められるのです。
この原則は出入国在留管理庁の「特定技能外国人受入れに関する運用要領」に明記されており、在留資格を申請・更新する際には、要件を満たしているかどうかがしっかり確認されます。基準を守れていないと判断されると、資格の取得や更新が認められない可能性もあります。
参照元:特定技能外国人受入れに関する運用要領(出入国在留管理庁)
特定技能介護と技能実習・EPAとの違い
一口に「外国人介護人材」といっても、在留資格の種類によって給与や就労ルールは異なります。外国人材が介護に携わることができる在留資格は、大きく分けて次の4種類です。
- 特定技能
- 技能実習
- EPA(経済連携協定)
- 在留資格「介護」
そして、それぞれ位置づけや条件が異なります。給与を適切に設定するためには、その違いを理解しておくことが欠かせません。
在留資格 | 特定技能(介護) | 技能実習 | EPA(経済連携協定) | 在留資格「介護」 |
---|---|---|---|---|
主な目的 | 即戦力として人手不足を補う | 開発途上国への技能移転 | 介護福祉士の養成 | 専門的な介護業務に従事するため |
報酬要件 | 日本人と同等以上 | 最低賃金以上(実習生のため同等以上ではない) | 日本人と同等以上 | 日本人と同等以上 |
就労年限 | 原則5年 | 原則3年(最長5年) | 最長4年 | 制限なし |
この表からもわかるように、特定技能、EPA、在留資格「介護」はいずれも「日本人と同等以上の報酬」が基本ルールです。一方で、技能実習は「技能習得」が目的のため、この原則は適用されず、最低賃金以上であれば良いとされています。
特定技能人材を採用する際は、ほかの在留資格と混同せず、「日本人と同等以上」という大切な原則をしっかりと守ることが重要です。
介護職全体の平均給料
特定技能の介護人材に支払う給与を考えるうえで、まず知っておきたいのが日本全体の介護職の平均給与です。全体の水準を把握することで、自社の給与が適切かどうか判断しやすくなり、外国人材にとっても安心できる条件を提示できます。ここでは、厚生労働省の最新データをもとに介護職の平均給与について解説します。
厚生労働省の統計に基づく介護職員の平均給与
厚生労働省が公表している「介護従事者処遇状況等調査」は、介護職員の給与を確認するうえで最も信頼できるデータです。この調査では、基本給に加えて手当や賞与(一時金)を含めた平均額が算出されています。
たとえば、令和6年度(2024年度)の調査によると、介護職員全体の平均給与は常勤で月額約34万円となっています。これは基本給に各種手当や一時金を含めた金額です。こうしたデータを参考にすれば、自社の給与が全国的な相場と比べてどの位置にあるのかを客観的に判断することができます。
参照元:令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省)
常勤・非常勤による給料の違い
同じ介護職員でも、常勤(正社員)と非常勤(パート・アルバイト)では給与の構成や水準に違いがあります。
雇用形態 | 給料の構成 | 注意点 |
---|---|---|
常勤 | 基本給+各種手当+賞与 | ・給与水準は安定している ・処遇改善加算が全額反映されることが多い |
非常勤 | 時給+一部の手当 | ・時給制が一般的 ・賞与や処遇改善加算が反映されない場合がある |
非常勤職員の場合、月給ではなく時給で給与が支払われることが多く、賞与や夜勤手当、住宅手当などの各種手当が支給されないケースもあります。特定技能の人材は原則として常勤雇用となりますが、給与を検討する際には、雇用形態による違いも考慮に入れる必要があります。
処遇改善加算が給与に与える影響
介護業界の給与は、一般的な給与体系に加えて「介護職員処遇改善加算」があることが特徴です。これは介護職員の処遇を改善するために国が設けた制度で、事業所が条件を満たして申請することで給与に反映されます。
現在では「介護職員処遇改善加算」に「特定処遇改善加算」や「ベースアップ等支援加算」が統合され、新しい仕組みとして運用されています。これにより、事業所は加算を給与に取り入れやすくなりました。
給与を設計する際には、こうした加算をどう反映させるかが重要であり、外国人材にとっても魅力的な待遇を提示するための大きなポイントになります。
特定技能「介護」外国人材の給料相場
ここからは、特定技能の介護人材にどのくらいの給料を支払うのが一般的なのか具体的に解説します。初任給のおおよその水準や、手当や賞与の扱い方、さらには夜勤や残業を含めた場合の給与のイメージまで、実際のケースを交えながらわかりやすく整理します。こういったポイントを押さえておけば、採用する側にとっても安心であり、外国人材にとっても納得できる給与体系を整えやすくなります。
月給・時給の一般的な水準
特定技能の介護人材の給料は、前述の「日本人と同等以上」という原則と、地域別最低賃金を基準に決めることが基本です。
まず、最低賃金が給与の最低ラインとなります。日本の最低賃金は地域によって異なるため、事業所がある地域の最低賃金を必ず確認しましょう。
その上で、地域の介護職の給与相場や、処遇改善加算などを考慮して、給与額を決定します。一般的に、給料の目安は月給で20万円〜30万円、時給で1,000円〜1,500円が全国的な相場といえるでしょう。ただし、大都市圏では給与水準が高くなる傾向にあります。
賞与や各種手当の取り扱い
給与の総額を考える上で、基本給だけでなく、賞与や各種手当も重要な要素です。特定技能の人材に対しても、日本人の従業員と同様に、賞与や各種手当を明確に設定する必要があります。
特に、介護業界特有の処遇改善加算は、給与設計において欠かせない要素です。加算は、賞与としてまとめて支給したり、毎月の給与に手当として上乗せしたりする方法があります。
就業規則には、これらの加算の考え方や支給方法を明確に記載しておくことが求められます。
参照元:介護職員の処遇加算(厚生労働省)
夜勤や残業を含めたモデルケース
介護の現場では夜勤や残業が発生しやすいため、基本給に加えて法定の割増賃金をどう計算するか示した給与モデルがあると、外国人材にも安心してもらえます。割増賃金の計算は、労働基準法のルールに従い、重なった場合はそれぞれの割増率を加算して扱うことが原則です。
夜勤手当の加算額の目安
深夜の時間帯(午後10時~翌朝5時)の労働には、深夜割増25%以上が必要です。これは「通常の時給の1.25倍で払う」ことと同じ意味で、時間単価×深夜時間×0.25が割増部分になります。
施設ごとに設ける夜勤手当(就業規則上の手当)はこの法定の深夜割増とは別枠で、金額・計算方法・支給条件を就業規則に明確に書いておくと誤解を避けられます。
【給与モデルの例】
- 基本給:200,000円
- 深夜割増:200,000円÷所定労働時間×深夜労働時間×0.25
- 夜勤手当:1回あたり5,000円
このように、法定の深夜割増と、施設独自の夜勤手当を分けて考えることで、給与計算を明確にできます。
残業代や休日出勤手当の水準
労働基準法では、残業や休日出勤に対して、次のとおり割増率が定められています。
- 時間外労働:25%以上
- 法定休日の労働:35%以上
- 深夜労働:25%以上
さらに、月60時間を超える時間外の部分は50%以上となります。深夜と時間外が重なれば25%+25%=50%、月60時間超の時間外と深夜が重なれば50%+25%=75%という扱いです。
就業規則や36協定にこれらのルールを丁寧に反映し、実際の計算と整合させて運用することが、未払いの防止につながります。
給料水準に影響する要因
特定技能「介護」の人材の給与には「日本人と同等以上」という原則があるものの、さまざまな要因によって水準が変わります。ここでは、給料に影響を与える主な要因として、「地域」「施設形態」「日本人介護士の給料水準」について解説します。
地域の給料水準
日本では地域ごとに最低賃金が定められており、この差が介護職員の給与にも大きく反映されます。
厚生労働省が公表している「地域別最低賃金の全国一覧」によると、東京都や神奈川県といった大都市圏は最低賃金が高く、それに合わせて介護職員の給与相場も高い傾向にあります。都市部の生活費や物価の高さだけでなく、人材をめぐる競争が激しいことも関係しています。
採用を検討する際には、その地域の最低賃金や近隣施設の給与相場を事前に調べておくことが、適切な給与設定につながります。
施設形態による給与体系
同じ介護の仕事でも、働く場所の種類によって給与体系や手当の付き方は少しずつ異なります。
たとえば、特別養護老人ホームや老人保健施設といった公的色の強い施設では、給与が比較的安定しており、処遇改善加算などの制度が給料に反映されやすいという特徴があります。一方、有料老人ホームの場合は運営する会社によって給与水準に幅があり、夜勤手当や役職手当が手厚い場合も少なくありません。
訪問介護では時給制が中心で、訪問件数や仕事内容(身体介護か生活援助かなど)によって収入が変わることが一般的です。
このように施設ごとに仕組みや特色があるため、外国人材が「安定した収入を得たい」のか「手当をしっかり受けたい」のかといった希望に合わせて給与条件を工夫することが、長く働いてもらうための大きなポイントになります。
日本人介護士の給料
特定技能制度における「日本人と同等以上の報酬」という考え方は、同一労働同一賃金のルールに基づいています。厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」では、仕事内容や責任の重さ、配置転換の範囲、成果や能力が同じであれば、国籍や人種を理由に給与に差をつけるのは不合理とされています。
そのため、外国人材の給与を決める際には、同じ事業所で働く日本人介護士の給与水準をきちんと参考にし、給与規程や賃金台帳を使って「日本人と同じ、またはそれ以上の待遇」であることを明確に示す必要があります。
特定技能「介護」外国人材の給与設計における法的留意点
特定技能の介護人材を受け入れるときには、採用して終わりではなく、その後の給与設計や支払いの仕組みまで法律に沿って整える必要があります。ここでは、必ず守るべき基本的なルールと、在留資格の申請や更新で必要となる書類について解説します。
- 労働基準法・最低賃金法の遵守
- 「同等以上の報酬」原則の確認
- 社会保険・税金・年金など控除項目の説明
労働基準法・最低賃金法の遵守
給与を決めるうえでまず大切なのは、労働基準法と最低賃金法をきちんと守ることです。これはすべての介護事業所に共通する大前提になります。
給与は必ず事業所のある地域の最低賃金を下回らないように設定しなければならず、残業や休日出勤、夜勤があった場合には法律で決められた割増賃金を支払うことが求められます。さらに、深夜労働と残業が重なったときには、それぞれの割増率を合算して計算する必要があります。
こうしたルールを守ることは、外国人材が安心して働ける環境をつくるだけでなく、在留資格の更新をスムーズに進めるうえでも欠かせません。結果的に、事業所と外国人材との信頼関係を築くことにもつながります。
「同等以上の報酬」原則の確認
特定技能の在留資格を申請したり更新したりするときには、日本人と同等以上の報酬を受けられていることを証明する必要があります。そのために、いくつかの書類をきちんと用意しておくことが重要です。
たとえば、賃金規程や就業規則には給与の仕組みや手当、賞与のルールが日本人と外国人材で変わらないことを明記しておきます。実際の支払いについては、賃金台帳で日本人と同じ水準で給与が支払われていることを示せます。また、採用時の求人票も「条件に差がない」という証拠として役立ちます。
これらの資料をあらかじめ揃えておくことで、申請や更新の手続きをスムーズに進められるだけでなく、外国人材自身にとっても安心できる環境を整えることができます。
社会保険・税金・年金など控除項目の説明
特定技能で働く介護人材も、日本人と同じように社会保険や税金、年金に加入することが義務付けられています。そのため、給与からは一定の控除が行われます。
健康保険や厚生年金は会社が加入の手続きを行い、保険料は会社と本人が半分ずつ負担します。雇用保険についても条件を満たせば加入が必要で、所得税は給与から源泉徴収され、住民税は翌年度に支払う仕組みです。
こうした仕組みは日本で働くうえで欠かせないものですが、外国人材にとってはわかりにくい場合があります。そのため、控除の内容や金額を丁寧に説明することが大切です。必要に応じて母国語で書かれた資料を用意したり、通訳を通して説明したりすると、安心して働き続けられる環境を整えることにつながります。
特定技能「介護」外国人材の定着率向上に必要な給与設計の工夫
特定技能の介護人材をただ採用するだけでなく、長く働き続けてもらうためには、「採用できる水準」に加え、「続けてもらえる仕組み」を給与設計に組み込むことが重要です。ここでは、外国人材が安心して働けるよう、給与面での工夫について解説します。
- 段階的な昇給制度を導入する
- 賞与や評価制度の透明性を高める
- 生活コストや仕送りを考慮した給与設計を行う
段階的な昇給制度を導入する
外国人材に長く働いてもらうには、「努力がきちんと評価され、給与に反映される仕組み」がとても大切です。その一つの方法が、段階的な昇給制度を取り入れることです。
たとえば、入社からの一定期間ごとに業務の習熟度を確認し、その成長を給与に反映させる仕組みがあります。また、日本語能力試験(JLPT)などの資格取得を評価項目に加えることで、日本語力の向上を後押しできます。さらに、介護福祉士といった国家資格を昇給の条件に設定すれば、専門性の高いスキル習得にもつながります。
このように、評価の基準や昇給の仕組みをあらかじめ明確にしておくことで、外国人材は将来のキャリアを思い描きやすくなり、安心して働き続けることができます。
賞与や評価制度の透明性を高める
賞与や評価の仕組みがあいまいだと、不安や不信感を生む原因になってしまいます。そのため、賞与の配分ルール(勤続年数や貢献度、成果など)や評価制度の基準は、あらかじめ文書化してわかりやすく示しておくことが大切です。
また、定期的な面談を通じて目標を共有し、評価の結果をきちんとフィードバックすることで、外国人材も自分の努力が正当に認められていると実感できます。
生活コストや仕送りを考慮した給与設計を行う
外国人材の中には、本国の家族に仕送りをしている人も少なくありません。そのため、給与の手取り額が生活費や仕送りに十分かどうか考えて設計することが求められます。
加えて、住宅手当や通勤手当、食事補助といった福利厚生を整えることで、実際に手元に残るお金(可処分所得)を増やすことができます。こうした工夫は、日本での暮らしを安定させるだけでなく、仕事への満足度や定着率の向上にもつながります。
特定技能「介護」外国人材の支援サポートは外国人材採用ラボをご活用ください
特定技能介護人材を安心して採用・定着させるためには、制度理解から現場での支援まで幅広い対応が欠かせません。ここでは、株式会社クレイプラスが運営する「外国人材採用ラボ」の概要と、提供するサービス内容を紹介します。
外国人材採用ラボとは
「外国人材採用ラボ」は、有料職業紹介と登録支援機関の両方の機能を持ち合わせています。そのため、制度に基づいた採用からその後の支援までをワンストップで提供しており、人手不足に悩む企業を中心に多数の導入実績があります。
外国人材採用ラボが提供する充実したサービス
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書類作成支援や日本語教育、行政手続きの代行など、企業の負担を大幅に軽減するサービスが充実しています。
採用から定着までのワンストップ支援
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これにより、受け入れ企業が安心して外国人材を迎え入れることができ、彼らがスムーズに日本での生活や仕事に順応できるようになります。
安心して特定技能人材を導入できる仕組み
企業が特定技能人材を安心して導入できるよう、「外国人材採用ラボ」は複数の仕組みを提供しています。
たとえば、万が一の事態に備えた返金制度を設けているほか、月次支援費など契約内容の透明性を確保しています。さらに、高い教育レベルとモチベーションを持つ候補者を厳選して紹介することで、企業は質の高い人材を確保できます。
夜勤対応が可能な人材や地方での勤務を希望する人材を優先的に紹介するなど、企業の具体的なニーズに合わせたサポートも行っています。
まとめ
特定技能介護人材の給与について、制度的な位置づけから介護職全体の相場、給与設計のポイント、そして定着につなげる工夫までを幅広く解説しました。特定技能人材を採用する際には、「日本人と同等以上の報酬」を守ることが大前提であり、あわせて労務管理やサポート体制を整えることが、採用の成功と定着につながります。
「外国人材採用ラボ」では、採用から定着までをワンストップでサポートし、企業と外国人材の双方にとって安心できる環境づくりをお手伝いしています。特定技能介護人材の給与設計や定着に不安を感じている企業の方は、「外国人材採用ラボ」のサービスを活用し、信頼できる人材の受け入れを実現してください。少しでもご興味をお持ちの場合は、お気軽にお問い合わせください。