公開日: 2025.06.17
【2025】特定技能介護は「夜勤」可能?制度の仕組みと注意点をわかりやすく解説
特定技能介護は「夜勤」可能?制度の仕組みと注意点をわかりやすく解説

外国人材を雇用している企業の担当者の中には、「在留資格の外国人に夜勤を任せても問題ない?」「制度違反にならないか不安」と感じる方も少なくありません。特に介護施設では夜勤対応が避けられないため、採用段階から勤務形態や契約内容を正確に把握しておく必要があります。

そこで今回は、在留資格特定技能1号「介護」で働く外国人が夜勤勤務に従事できるのか、その制度的根拠と労働基準法上の取扱い、さらに実際に夜勤勤務を導入する際の契約・労務管理や日本語対応の実務ポイントについて詳しく解説します。また、夜勤シフトの導入に伴う企業側のリスクとその解決策も紹介します。

特定技能「介護」における夜勤勤務の基本ルール

日本は超高齢社会の進展により、介護分野での人手不足が深刻な課題です。このような状況の中、特定技能1号の在留資格を持つ外国人介護人材が、現場の大きな支えとなっている施設が増えています。

特に夜勤対応が必要な現場では、外国人材に夜勤シフトを担ってもらうケースも少なくありません。そのため、採用前に「夜勤勤務が制度上どのように位置づけられているのか」「どのような法的ルールに基づいて働けるのか」といった基本事項をしっかり理解しておくことが重要です。ここでは、特定技能「介護」における夜勤勤務の基本ルールについて解説します。

夜勤勤務に関する制度と労働基準法の基本

夜勤勤務とは、一般的に22時から翌5時までの深夜帯に行われる労働を指します。この時間帯は労働基準法において「深夜労働」と定義され、割増賃金(通常の25%以上)が義務付けられています。

特定技能の在留資格を持つ外国人材も、日本人と同様に労働基準法の適用を受けるため、深夜勤務を行うこと自体に法的な制限はありません。つまり、深夜帯であっても、日本人と同様の勤務条件で働いてもらうことが可能です。

ただし、実務上は留意すべきことがあります。

  • 雇用契約書や労働条件通知書に夜勤に関する記載を行う
  • 6ヶ月に1回以上の定期健康診断を実施する

こうした対応を怠ると、労働基準監督署の是正指導や、入管からの在留資格更新時の審査で不利益を被るリスクがあります。夜勤対応を前提とした外国人材採用では、労基法と入管制度の両面をふまえた契約・管理体制の構築が欠かせません。

雇用契約書や労働条件通知書に夜勤に関する記載を行う

雇用契約書や労働条件通知書に夜勤の有無、時間帯、割増賃金の記載を必ず含める必要があります。

外国人材本人にもその内容を母国語等でわかりやすく説明し、署名を得る必要があります。誤解やトラブルを未然に防ぐため、採用時の説明会でシフト制度と手当について明示するとより確実です。

6ヶ月に1回以上の定期健康診断を実施する

労働安全衛生法により、深夜労働に従事する労働者には6ヶ月に1回以上の定期健康診断が義務付けられており、外国人材も当然その対象です。健康診断の実施記録は監査対象にもなるため、定期実施と記録の保管が重要です。企業側には、法令に基づいた健康管理体制を維持する責任があります。

特定技能1号「介護」は日本人と同じ夜勤を含む勤務が可能

特定技能1号「介護」の制度では、在留資格に基づいて就労する外国人材は、日本人介護職員と同様に夜勤シフトで働くことができます。介護職における夜勤は、制度上の業務範囲(身体介護・生活援助)に含まれており、夜間帯の勤務も問題ありません。

ただし、契約内容や実際の業務内容が適切に制度の範囲内に収まっていることの確認は重要です。たとえば、緊急搬送対応など制度外の業務を任せることは避けるべきです。

特定技能「介護」人材に関して夜勤体制を導入する際の契約・労務管理のポイント

介護施設では24時間体制の勤務が求められるため、夜勤スタッフの確保が重要です。常時人手不足に悩まされている施設も多く、特定技能人材が夜間対応を担うケースも増えています。

介護スタッフとして夜勤に従事してもらうためには、契約・労務・現場体制などの整備が必要です。ここでは、夜勤勤務に従事させる際の契約・労務管理のポイントを解説します。

  • 雇用契約書に夜勤の有無を明記し本人に説明する
  • 深夜割増賃金の支払いと勤務時間管理を徹底する
  • 体調管理や生活リズムへの配慮を行う

雇用契約書に夜勤の有無を明記し本人に説明する

夜勤を想定した勤務を行う場合は、雇用契約書にその内容を明確に記載し、本人にも事前にわかりやすく説明することが重要です。夜勤の頻度や時間帯、手当の有無なども具体的に伝えることで、トラブルの防止につながります。具体的には、次のような内容になります。

項目内容例
夜勤の有無月に⚪︎回、⚪︎時間制など
夜勤手当1回につき⚪︎円、あるいは深夜割増率25%
夜勤シフトの通知方法1ヶ月前に提示、週ごとの調整制など

契約時点での説明が不十分だとトラブルの原因となるため、日本語と母国語併記の契約書を用意し、誤解がないようにしておくなどの工夫が必要です。

深夜割増賃金の支払いと勤務時間管理を徹底する

労働基準法により、22時から翌5時にかかる労働には25%以上の深夜割増賃金を支払う義務があります。また、週40時間・1日8時間を超える労働には残業手当も必要です。適正な勤怠管理を行うことで、制度違反のリスクを回避できます。

また、シフト表の保存やタイムカードの導入も推奨されます。打刻システムは多言語対応のアプリを導入するなど、外国人材が操作しやすい設計が望ましいです。

体調管理や生活リズムへの配慮を行う

日本人スタッフと同様に、夜勤は外国人材にとっても生活リズムや健康面に大きな影響を与える可能性があります。そのため、シフトの連続性に注意したり、休憩の確保や仮眠室を整備したりするなど、働きやすい環境を提供することが長期定着につながります。

夜勤後の翌日を休養日とするルールを設けたり、週内の勤務バランスを意識したりすることで、過労や体調不良を予防する工夫も有効です。

夜勤対応で特定技能「介護」人材に求められる日本語能力と伝達スキル

夜勤帯はスタッフが少ないため、緊急時の判断や情報伝達が特に重要になります。一定の日本語能力を持つ特定技能「介護」の外国人材にとっても、夜勤で働くにはより高い日本語能力と正確な情報共有スキルが不可欠です。ここでは、制度上の日本語能力と実際の業務で求められる能力のギャップ、そしてそのギャップを埋めるための支援策について解説します。

  • 夜勤対応の介護職に必要な日本語能力
  • 夜間の申し送りや報告業務で求められる伝達スキル
  • 夜勤対応を支えるために必要な支援と教育体制

夜勤対応の介護職に必要な日本語能力

特定技能「介護」の在留資格取得には、日本語能力試験(JLPT)N4以上またはJFT-Basicの合格が求められます。しかし、夜勤で働くとなると、これ以上の実践的な日本語能力が必要です。

たとえば、利用者の体調に異変があった場合には、その変化を正確に報告する能力が求められます。また、夜間でも介護記録や申し送りのために医療用語を含む文書を記入する場面があるため、専門的な語彙の理解も欠かせません。さらに、緊急時には電話で状況を簡潔かつ正確に伝える対応力も求められます。

これらの理由から、特定技能「介護」の外国人材には、採用後も継続的に日本語能力を高めるための教育支援が重要です。多くの施設では、OJT形式での実地研修や、職場内でのフィードバック体制を整え、日本語力の定着を図っています。外部の日本語教育事業者やオンライン日本語教育サービスを導入する施設も増加傾向にあります。

夜間の申し送りや報告業務で求められる伝達スキル

申し送りは、次の勤務者への重要な業務引き継ぎとなるため、正確かつ簡潔に伝える能力が求められます。このスキルを向上させるには、定型フレーズや頻出表現を習得する学習が有効です。

また、実際の現場を想定したショートスピーチ形式のロールプレイ練習を通じて、状況に応じた適切な伝達方法を身につけることが重要です。加えて、申し送り内容を正確に記録するためのメモの取り方や、介護記録の作成方法についての演習も有効です。

特定技能「介護」の外国人材がこれらのスキルをスムーズに身につけられるように、採用時から段階的に指導するマニュアルの整備や、経験豊富な先輩職員による指導体制の構築が求められます。

夜勤対応を支えるために必要な支援と教育体制

言語面での不安を軽減するには、現場でのサポート体制が欠かせません。

たとえば、よく使う会話例を視覚的に示した指さし会話シートを用意しておくことで、言葉に詰まったときにも対応しやすくなります。また、翻訳機能付きの通訳アプリを導入することで、緊急時や不測の事態にも柔軟に対応することができます。さらに、夜勤前に事前の研修を実施したり、定期的にヒアリングを行ったりすることによって、外国人材の不安や課題を早期に把握し、継続的な改善につなげることができます。

そして、心理的サポートも含めた相談体制の整備も不可欠です。夜勤中の孤独感や不安感を軽減するため、夜勤明けに上司がフォロー面談を行ったり、グループチャットなどでの定期的な声かけを行ったりする工夫も効果的です。

加えて、定期的に業務内容をレビューし、外国人職員の勤務実態と負担状況を把握する取り組みも重要です。言語的な課題だけでなく、精神的・身体的な健康にも配慮する体制を整備することで、夜勤勤務に対する不安を軽減し、長期的な定着を実現しやすくなります。

企業がこうした教育・支援体制を整えることで、安心して夜勤を任せられる環境が整います。

夜勤内容が制度上問題とならないための確認事項

ここまで解説したように、特定技能1号「介護」では、日本人介護職と同様の業務を行うことが制度上認められています。ただし、制度上の「介護業務」から逸脱するような業務内容を夜勤中に任せることは避ける必要があります。現場ごとの業務内容をあらかじめ精査し、実際に任せる作業が制度の範囲内にあるかを明文化することで、トラブルの予防につながります。

たとえば、身体介護(排泄や体位変換)や生活支援(食事や入浴の介助)といった業務は、特定技能「介護」の活動内容として適切です。しかし、夜勤中に施設の見回りだけを行ったり、清掃や警備が主な業務となったりしている場合は、問題となる可能性があります。さらに、緊急時の医療判断や記録業務を超えた範囲の事務対応などが恒常的に割り当てられている場合には、制度違反と判断されるおそれもあるため注意が必要です。

あくまで「介護業務」が中心である必要があるため、特定技能の制度に沿った業務内容を設計し、文書化・周知・指導体制を整備することが不可欠です。特に夜勤勤務では監督者が少ない場合もあるため、業務逸脱が起きにくい管理体制の構築が重要です。

外国人材の支援サポートは「外国人材採用ラボ」をご活用ください

夜勤を含む特定技能「介護」人材を受け入れる際には、制度を理解するだけでなく、採用後の定着支援まで見据えた対応が不可欠です。当社クレイプラスが運営する「外国人材採用ラボ」は、特定技能人材の導入を包括的に支援してきた実績豊富な機関です。最後に、外国人材採用ラボの概要と提供するサービスを紹介します。

外国人材採用ラボとは

「外国人材採用ラボ」は、有料職業紹介と登録支援機関の両方の機能を持ち合わせています。そのため、制度に基づいた採用からその後の支援までをワンストップで提供しており、人手不足に悩む企業を中心に多数の導入実績があります。

外国人材採用ラボが提供する充実したサービス

外国人材採用ラボは、採用から定着までを一貫してサポートする充実したサービスを提供しています。

たとえば、面接から内定まで迅速に対応し、入国手続きや住居紹介、空港送迎を代行するサービスなどがあります。また、入国後の生活オリエンテーションも実施しており、紹介する人材は日本語能力試験(JLPT)N4以上の有資格者のみを厳選しています。

書類作成支援や日本語教育、行政手続きの代行など、企業の負担を大幅に軽減するサービスが充実しています。

採用から定着までのワンストップ支援

外国人材の採用から日本での生活が安定するまで、一連のプロセスを「外国人材採用ラボ」が一括でサポートします。面接の設定から必要書類の作成支援、来日後の住居確保、さらには生活オリエンテーションの実施まで、多岐にわたる支援体制を整えています。

これにより、受け入れ企業が安心して外国人材を迎え入れることができ、彼らがスムーズに日本での生活や仕事に順応できるようになります。

安心して特定技能人材を導入できる仕組み

企業が特定技能人材を安心して導入できるよう、「外国人材採用ラボ」は複数の仕組みを提供しています。

たとえば、万が一の事態に備えた返金制度を設けているほか、月次支援費など契約内容の透明性を確保しています。さらに、高い教育レベルとモチベーションを持つ候補者を厳選して紹介することで、企業は質の高い人材を確保できます。

夜勤対応が可能な人材や地方での勤務を希望する人材を優先的に紹介するなど、企業の具体的なニーズに合わせたサポートも行っています。

まとめ

特定技能「介護」の外国人材は、夜勤を含むシフトで勤務することが制度上可能です。

ただし、制度の適用範囲や労働基準法の遵守、そして現場で求められる日本語能力と支援体制の整備を怠ると、トラブルの原因となります。夜勤勤務を前提に採用を進める際は、雇用契約書や勤務体制の明文化、深夜割増や健康管理など、制度に準拠した運用が欠かせません。

また、夜間における適切な申し送りや緊急対応を可能にするためには、実践的な日本語能力と伝達スキルの向上が不可欠であり、これを支える教育・支援体制の構築も重要です。現場での定着を目指すうえでは、制度理解と実務対応を両立する姿勢が求められます。

夜勤対応を含む外国人材の採用に不安がある企業様は、制度に精通した専門チームが導入から定着まで一貫して支援する「外国人材採用ラボ」の活用をご検討ください。制度要件の説明から雇用契約書の整備、生活支援、日本語教育、定着サポートまで、現場に寄り添った支援をワンストップでご提供します。

夜勤ができる外国人材の採用をお考えだったり、少しでもご興味をお持ちだったりする場合は、お気軽に「外国人材採用ラボ」にお問い合わせください。