
少子高齢化により、訪問介護業界は深刻な人手不足に直面しています。その対策として、特定技能「介護」外国人材の訪問介護解禁が決定されました。人手不足に悩まされている多くの企業から大きな期待を集めていますが、利用するためには企業が果たすべき要件があります。
今回は、特定技能「介護」の外国人材が訪問介護に従事する際に満たすべき要件、受け入れ企業の体制整備要件を解説します。また、特定技能「介護」外国人材を採用の際、当社株式会社クレイプラスが運営し、受け入れ企業の負担軽減に利用できる「外国人材採用ラボ」を紹介します。
目次
介護業界は深刻な人手不足

画像引用元:第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について(厚生労働省)
少子高齢化により、介護業界は深刻な人手不足に直面しています。厚生労働省の発表によると、2022年度に必要な介護職員数は約215万人でしたが、2026年度は約240万人にのぼり、わずか4年で約25万人も必要介護職員数が増加すると推定されています。

画像引用元:有効求人倍率(介護関係職種)の推移(厚生労働省)
介護業界の人手不足は、有効求人倍率にも表れています。平成17年(2005年)から介護関係職種の有効求人倍率は増加傾向にあり、令和元年(2019年)には4.20に達しています。全期間を通して全職種の有効求人倍率を大きく上回っていることから、介護業界が深刻な人手不足に直面していることがわかります。
介護業界における外国人材の雇用拡大

画像引用元:介護分野における外国人の受け入れ実績等(厚生労働省)
介護分野の多くの企業は、深刻な人手不足を解消するために、特定技能「介護」外国人材の受け入れを増加させています。
厚生労働省によると、介護分野における特定技能外国人材の受け入れ数は、2021年3月には約1,700人でしたが、2023年3月には約17,000人と約10倍になっています。このことから介護業界では、特定技能「介護」外国人材の雇用が急速に拡大していることがわかります。
訪問介護における人手不足
公益財団法人介護労働安定センターが、2023年に介護従業員の過不足状況の調査を行った結果によると、訪問介護職員が不足していると感じている割合は81.4%でした。
人手が不足していると感じている人が、2番目に多かった介護職員の65.9%と比べると、15%以上も差があることから、訪問介護職員が介護業界の中でも深刻な人手不足の状況にあることがわかります。
訪問介護職員の人材確保が急務であることから、特定技能「介護」の訪問介護への従事が解禁される流れとなりました。
参照元:令和5年度介護労働実態調査結果の概要について(公益財団法人介護労働安定センター)
訪問介護に従事できる在留資格
ここでは、訪問介護に従事できる外国人材を受け入れる際、利用できる4つの在留資格を解説します。
- EPA介護福祉士
- 在留資格「介護」
- 技能実習「介護」
- 特定技能「介護」
EPA介護福祉士
EPA介護福祉士は、EPA介護福祉士候補者が国家資格である介護福祉士を取得した外国人材です。EPA介護福祉士は、介護福祉士と認められたため、訪問介護を含むすべての介護業務に従事することが可能です(※EPA介護福祉士候補者は訪問介護不可)。
在留資格「介護」
在留資格「介護」は、外国人が日本国内の介護施設で介護業務に従事することを目的として創設された制度です。
この在留資格を取得するためには、介護福祉士の国家資格に合格する必要があります。そのため、在留資格「介護」を取得している外国人材は、介護福祉士に認められている訪問介護にも従事可能です。
特定技能「介護」
特定技能「介護」は、深刻な人手不足に直面している介護分野において、即戦力として活躍できる外国人材を受け入れる目的で創設された在留資格です。日本人の雇用確保に努めたうえで、それでもなお人手不足が解消されない場合に限り、一定の専門的な知識と技能を持った外国人の受け入れが認められています。
特定技能「介護」は、これまで訪問介護に従事することが認められていませんでしたが、訪問介護に従事することが認められました。
特定技能「介護」の外国人材が訪問介護に従事するために求められる要件は次の3点です。
- 介護職員初任者研修以上の修了
- 1年以上の施設での介護経験
- 訪問介護向け追加研修
介護職員初任者研修以上の修了
介護職員初任者研修は、介護の初歩スキルや知識を習得するための研修です。具体的な内容は、高齢者の身体機能や心理の理解、食事・排泄・入浴・移動などの介助方法、感染症予防や安全な介護技術などです。
1年以上の施設での介護経験
日本の特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなどで介護職として1年以上の就労経験を積むことが求められます。
訪問介護向け追加研修の修了
訪問介護向け追加研修は、訪問介護に必要な対応能力を学ぶための研修です。具体的な内容は、訪問介護におけるマナー、緊急対応時の判断力、記録業務や報告・連絡・相談の方法、一人での安全確認とトラブル防止策などです
技能実習「介護」
技能実習「介護」は、日本から他国への技能移転による国際貢献を目的に制定された制度です。
これまで技能実習「介護」が、訪問介護に従事することは認められていませんでしたが、2025年4月1日から技能実習生が訪問介護に従事することが認められるようになりました。
技能実習「介護」の外国人材が、訪問介護に従事する際に求められる要件は特定技能「介護」と同じです。
特定技能「介護」の「訪問介護」が解禁
特定技能「介護」が訪問介護業務に従事することが解禁されました。ここでは、これまでの就労範囲や解禁される時期と要件、訪問介護以外に新たに受入対象となるサービスについて詳しく解説します。
特定技能「介護」のこれまでの就労範囲
特定技能「介護」は、これまで特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護施設でしか就労できませんでした。介護施設では、食事、入浴、排泄の介助や移乗・移動のサポート、衣服の着脱補助などの身体介護および生活支援の業務を行うことが認められています。
訪問介護は、利用者のプライベート空間に入り込む業務であり、日本語能力と文化的理解が不十分だとトラブルに発展するリスクがあるため、認められていませんでした。
特定技能「介護」の訪問介護が解禁される時期と要件
2025年4月21日から、特定技能「介護」がある一定の要件を満たす場合に限り、訪問介護に従事することが解禁されました。
訪問介護以外に新たに受入対象となるサービス
今回の制度改正により、訪問介護以外に新たに受入対象となったサービスは、次の5つです。
- 訪問入浴介護
- 介護予防訪問入浴介護
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 訪問型サービス(総合事業)
特定技能の訪問介護における受け入れ企業の体制整備の要件
特定技能「介護」を取得している外国人材を訪問介護に従事させるには、受け入れ企業が取り組まなければならない体制整備があります。
- 外国人材に対し、訪問介護等の業務の基本事項等に関する研修を行うこと
- 外国人材が訪問介護等の業務に従事する際、一定期間、責任者等が同行する等により必要な訓練を行うこと
- 外国人材に対し、訪問介護等における業務の内容等について丁寧に説明を行いその意向等を確認しつつ、キャリアアップ計画を作成すること
- ハラスメント防止のために相談窓口の設置等の必要な措置を講ずること
- 外国人材が訪問介護等の業務に従事する現場において不測の事態が発生した場合等に適切な対応を行うことができるよう、 情報通信技術の活用を含めた必要な環境整備を行うこと
参照元:外国人材の訪問系サービスへの従事について(厚生労働省)
研修の実施
外国人材が訪問介護業務を始める前に、業務内容や基本マナー、ルールなどについての研修を実施しなければなりません。研修の実施は、適切な訪問介護サービスの提供やトラブル防止につながります。
責任者の同行と訓練の実施
外国人材が訪問介護業務に従事するとき、初めのうちは責任者が同行して、実際の業務を通じて、訪問介護に必要な対応法や利用者とのコミュニケ―ション、緊急時の対応訓練などの訓練をしなければなりません。実際の業務を通じた訓練は、外国人材の訪問介護サービスへの理解を深め、自信を持って業務に取り組めるようになります。
業務内容の説明とキャリアアップ計画の作成
外国人材に訪問介護の業務内容を丁寧に説明し、本人の希望や目標などを確認して、習得ステップの明示や資格取得支援などのキャリアアップ計画を作成しなければなりません。このような取り組みは、外国人材の訪問介護サービスへの理解を深まるとともに、将来への展望を持ちながら意欲的に業務に従事することが期待されます。
ハラスメント防止の体制整備
外国人材が快適に働けるようハラスメント防止のために、相談窓口の設置などの環境を整えなければなりません。外国人材が快適に働ける環境を整備することで定着率が向上し、安定した訪問介護サービス提供につながります。
不測の事態に対応するための環境整備/h3>
外国人材が業務中に不測の事態が発生した場合、適切な対応をとるために責任者などに連絡が取れるよう、スマートフォンや通話アプリなどICTを活用した環境作りをしなければなりません。不測の事態が発生したときに、適切な指示を求められる環境ならば、外国人材は安心して業務に取り組めます。
特定技能「介護」外国人材雇用後に実施すべきサポート
特定技能「介護」を取得した外国人材を雇用する企業は、受け入れ後に適切な支援を行うために、事前に支援計画の作成が義務付けられています。また、分野別協議会への入会義務もあります。ここでは、特定技能「介護」外国人材を雇用した後に、企業が行うべきサポートについて解説します。
- 支援計画の作成する
- 分野別協議会への入会する
支援計画を作成する
特定技能「介護」を取得した外国人材を受け入れた企業は、次の10項目の実施内容や方法を記載した支援計画書の作成が義務付けられています。
- 事前ガイダンスの実施
- 出入国の際の送迎
- 適切な住居の確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーションの実施
- 公的手続等へのサポート
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情対応体制の整備
- 日本人との交流支援
- 転職支援(人員整理の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
企業が支援計画の作成や実施を自社だけで対応するのが難しい場合は、外部の登録支援機関に委託することが認められています。
参照元:外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組(出入国在留管理庁)
分野別協議会へ入会する
特定技能「介護」を取得している外国人材を受け入れた企業は、分野ごとに設置されている協議会への参加が義務付けられています。
協議会は、分野所轄省庁、受入れ機関、業界団体、登録支援機関、有識者等、法務省や警察庁などの関係省庁で構成されています。制度や情報の周知、法令遵守の啓発、地域ごとの人手不足の把握およびその対応などを行っています。
特定技能「介護」の訪問介護解禁で考えられる課題
特定技能「介護」の訪問介護が解禁されたことで、人手不足の解消へ向けた期待が高まる一方で、介護現場からは不安の声もあがっています。ここでは、特定技能「介護」の訪問介護解禁で考えられる課題について解説します。
- 雇用側の外国人をサポートする体制を整備する
- 利用者への対応スキルを高める
雇用側の外国人をサポートする体制を整備する
雇用する企業や事業所は、外国人材をサポートする体制の整備が不可欠です。具体的には、訪問介護に必要なスキルや日本語能力を向上させるための研修の実施、免許を所持していない外国人の送迎などの必要なサポート体制を整える必要があります。
しかし、人手不足に悩む訪問介護業界では、サポート体制の整備が難しい企業は少なくありません。その場合は、登録支援機関に依頼して体制整備をサポートしてもらうことが推奨されます。
利用者への対応スキルを高める
訪問介護は、施設での介護に比べて利用者との距離が近く、日本語能力や文化的理解が不十分な場合、トラブルに発展するリスクが高まります。加えて、介護現場では状況に応じた柔軟な対応力も求められます。
そのため、訪問介護の現場で安心して業務を任せられる外国人材の育成と確保が重要な課題となっています。
特定技能人材の採用なら「外国人材採用ラボ」にお任せください
特定技能「介護」の導入により、外国人材の受け入れが現実的な選択肢として広がる中、企業側には制度理解や雇用管理、生活支援体制の整備など、多くの課題と対応が求められています。
特定技能「介護」外国人材を訪問介護業務に従事させるため、受け入れ企業が対応しなければならない課題が多くあります。こうした課題を解決し、採用から定着までをスムーズに進めるには、専門性の高いパートナーの存在が欠かせません。
ここでは、外国人の紹介から生活支援までを一括して提供し、高い定着率と採用成功実績を誇る「外国人材採用ラボ」の特徴と、提供サービスの内容を紹介します。制度の複雑さに不安を抱える企業にとって、心強い支援となるはずです。
外国人材採用ラボとは
外国人採用ラボは、株式会社クレイプラスが運営する外国人材紹介サービスです。企業と外国人材の双方にとって最長のマッチングを実現し、特定技能外国人材の事前教育から定着サポートまで提供しています。主な特徴は次の3点です。
- 人材会社として企業の人手不足解消に向き合い続けた歴史を持つ
- マーケティングの力により、幅広く人材を探し出す
- 一人ひとりと丁寧に面談を実施している
人材会社として企業の人手不足解消にむきあい続けた歴史を持つ
株式会社クレイプラスは、地方の企業の人手不足解消に長年向き合い続けてきた実績があります。そのため、単に外国人材を送り付けて終わりのような乱暴な紹介はしておらず、事業拡大や組織風土にマッチするような、企業DNA、価値観にあう人材を厳選するよう心がけています。
マーケティングの力により、幅広く人材を探し出す
外国人材採用ラボは、独自に構築したマーケティング戦略を活用し、国内外から優秀な特定技能外国人材候補者を幅広く確保しています。安定した人材獲得ルートを持ちながらも、あえて固定化せずに、常に質の高い人材の確保と拡大に努め続けています。その結果、企業のニーズに最適な人材の紹介を可能にし、企業の採用成功率を向上させています。
一人ひとりと丁寧に面談を実施している
豊富なルートで質の高い特定技能外国人材候補者を確保しているため、多様な人材の中から企業のニーズに最良な外国人材を厳選できます。加えて、一人ひとりと丁寧に面談を繰り返し、人間性やスキル、経験、就労意欲などを徹底して確認します。「事前確認もなくいきなり紹介」というようなことは決してしていません。
また、企業とのミスマッチを未然に防ぐために、徹底した面談を通じて、候補者の資質や適性を丁寧に見極めています。喫煙や宗教、食事、集団生活といったトラブルの種になりそうな情報は、事前に詳細にヒアリングを実施し、必要な情報とともに紹介することで、採用後のトラブルを未然に防ぎます。
このような丁寧な面談を行うことが、採用後のギャップを最小限に抑えることにつながり、定着率の向上を実現しています。
外国人材の紹介サービス
外国人採用ラボでは、特定技能外国人材の紹介や一括支援サービスを提供しています。それぞれの概要を紹介します。
特定技能外国人材の紹介
外国人材採用ラボが紹介する特定技能外国人材は、勤務地不問の10〜20代の若い外国人材が中心で、日本語能力試験N4以上を取得し、即戦力として雇用できる特定技能の有資格者のみです。そのため、日本語による日常会話に問題なく、簡単な言葉を使って業務内容の説明も問題ありません。
深刻な人手不足に直面している介護や建設分野を含む、特定技能16分野に対応できる外国人材の紹介が可能です。お客様のニーズを丁寧に伺い、最適な特定技能外国人材を紹介しています。
一括支援
特定技能外国人材の紹介以外にも、受け入れ前の準備から雇用後の支援まで一括して代行するサービスを提供しています。一括支援の主なサポート内容は次のとおりです。
サポート内容 | 内容 |
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各種手続き代行 | ビザの申請など複雑な手続きを代行 |
空港送迎代行 | 入出国の際に空港までの送迎を代行 |
生活オリエンテーションの実施 | 日本での生活や就労がスムーズに行うために必要な情報を提供 |
日本語教育の提供 | 日本での生活や就労に困らないように実践的な日本語指導を実施 |
これらのサポートを行うことで、企業の負担を軽減し、本来の業務に集中できる環境を提供します。
サービスの特徴
外国人材採用ラボでは、単なる人材紹介にとどまらず、企業が安心して外国人材を受け入れられるよう、採用から定着支援までを見据えた包括的なサポートを提供しています。サービスの主な特徴は次のとおりです。
- 短期採用(内定後3~6ヶ月で就労が可能)
- 低離職率(長期的な定着を見越した人材提案)
- 1名あたり初期費用は50~80万円(紹介料40万円含む)
短期採用(内定後3~6ヶ月で就労が可能)
ビザ申請や渡航準備などを迅速にサポートすることで、採用決定から現場配属までのリードタイムを大幅に短縮できます。人手不足が深刻な現場にも即対応できることが強みです。
低離職率(長期的な定着を見越した人材提案)
特定技能から他の在留資格への移行も見据えており、短期雇用ではなく5年以上の安定就労を前提としたマッチングを行っています。結果として、高い定着率を実現しています。
コスト例:1名あたり初期費用は50~80万円(紹介料40万円含む)
採用にかかるコストが明確で、事前に予算計画を立てやすいことも、企業にとって導入しやすいポイントの一つです。費用対効果の高い採用支援が可能です。
まとめ
特定技能「介護」は、2025年4月21日より、一定の条件を満たせば訪問介護に従事できるようになりました。訪問介護解禁は、訪問介護業界が直面している深刻な人手不足を解消する手段として注目されています。
しかし、介護現場からは不安の声もあがっており、まだクリアすべき課題があるため、介護現場や関係各所との対話を重ねながら、制度の見直しや支援策の充実を図り、一つずつ課題をクリアしていくことが求められています。
株式会社クレイプラスが運営する「外国人材採用ラボ」では、特定技能制度に精通した専門機関として、採用から定着支援まで一貫したサポートを提供しており、多くの企業において高い採用成功率と定着率を誇ります。
特に、特定技能「介護」の分野では豊富な実績があり、現場に即した人材マッチングが可能です。採用に不慣れな企業でも、入国手続きや生活支援、日本語教育などを含む支援体制を整えているため、安心して導入できます。
外国人材の戦力化を本気で考えるなら、煩雑なプロセスを一手に担う「外国人材採用ラボ」の活用は、有力な選択肢となるでしょう。少しでも外国人材の採用をお考えの場合は、お気軽にお問い合わせください。