公開日: 2025.06.09
【2025】外国人労働者の住居問題の解決方法は?企業がとるべき支援・対策を解説
外国人労働者の住居問題の解決方法は?企業がとるべき支援・対策を解説

外国人労働者の採用と定着を成功させるためには、安定した住環境の整備が欠かせません。実際、多くの外国人材が日本での住居探しに大きな壁を感じており、それが離職や不安定な生活の要因となっています。

そこで今回は、外国人労働者が直面する代表的な4つの「住居の壁」の実態を明らかにしたうえで、企業が取り組むべき3つの住宅支援策「直接支援」「間接支援」「経済的支援」について解説します。さらに、特定技能制度における住居支援の法的義務についても詳しく紹介します。

外国人材の雇用を進める中で、住居支援に課題を感じている企業のご担当者様にとって、実践的なヒントが得られる内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。

外国人労働者が直面する住居確保の4つの壁

日本で新たな生活をスタートさせる外国人は、「住まい探し」で多くの現実に直面します。言語や文化、制度の違いから生じる住居確保の問題は、外国人にとって大きなストレスとなるでしょう。

安定した生活基盤を築くためにも、企業側が課題を正しく把握し、適切なサポートを行うことが重要です。ここからは、外国人労働者が直面する代表的な4つの壁について、具体的に見ていきます。

  • 外国人というだけで部屋を貸したがらないケース
  • 高額な初期費用と馴染みのない保証人制度
  • 収入や雇用形態による審査の厳しさ
  • 日本語能力不足による契約手続きの難しさ

参照元:外国人入居者の実態調査(日本賃貸住宅管理協会)

外国人というだけで部屋を貸したがらないケース

日本では「外国人」というだけで、入居を断られてしまうケースがあります。外国人が日本のルールを理解しようと努めても、オーナー側の不安や先入観により、住まい探しのスタートラインにさえ立てないのが現実です。

「外国人入居者の実態調査(日本賃貸住宅管理協会)」によると、外国人が入居を断られた理由として、次のようなものがあります。

理由回答数%
外国人という理由で断られた4669.7%
理由を教えてもらえなかった1015.2%
日本語を話せなかったため34.5%
契約書を理解できなかったため23.0%
収入や財産が足りなかったため23.0%
その他34.5%

約7割の外国人については、理由さえ教えてもらえず、「他に申し込みが入った」などと曖昧に断られることも多いようです。このような努力のしようがない「見えない壁」こそ、外国人労働者が直面する住居問題の根深さを表しています。

高額な初期費用と馴染みのない保証人制度

日本の賃貸契約では、敷金・礼金・仲介手数料など初期費用が高額で、外国人にとって大きな負担です。来日直後でまとまった資金の用意が難しい外国人にとって、費用の負担は重く、契約を断念する大きな原因となっています。

外国人の負担となる費用は次のとおりです。

  • 高額な初期費用:敷金、礼金、仲介手数料など、家賃の数ヶ月分に相当する費用が契約時に必要となり、大きな経済的負担となっている。
  • 馴染みのない保証人制度:他国にあまり見られない制度で、日本に身寄りのない外国人が保証人を見つけることは難しい。
  • 保証会社の利用と追加費用:保証人の代わりとして保証会社の利用が必須な場合が多く、保証料がさらに費用負担につながってしまう。

たとえ、希望する物件が見つかったとしても、日本独自のルールが契約の大きな妨げになってしまうでしょう。

収入や雇用形態による審査の厳しさ

入居審査における「信用の壁」も、外国人を悩ませる大きな課題です。日本の賃貸審査では、貸主側が家賃滞納リスクを避けるため、入居者の支払い能力だけでなく「継続的な安定性」も重視しています。特に、次のような点が審査で不利に働きます。

  • 雇用形態:非正規雇用や有期契約は、「収入が不安定」と見なされやすい傾向にあり、契約更新が保証されていないため、将来的な家賃支払いに不安があると判断される。
  • 勤続年数:来日直後で勤続年数が短いと、「すぐに仕事をやめてしまうのでは」という懸念から、信用度が低いと判断されてしまう。
  • 在留期間:残りの在留期間が賃貸契約の期間より短い場合、契約期間を満了せずに退去する可能性が高いと見なされ、敬遠されることがある。

このように、本人の支払い能力が十分にあるにもかかわらず、形式的な審査基準を満たせないという理由だけで、入居を断られてしまうケースが多いです。こうした「信用の壁」は、外国人労働者が日本で安定した生活を送る上で、大きな障害となっています。

日本語能力不足による契約手続きの難しさ

契約時の「言語の壁」は、入居後の深刻なトラブルにつながる可能性もあります。専門用語が並ぶ賃貸借契約書や重要事項説明書は、日本語能力が十分でない外国人にとって、内容を正しく理解することは非常に困難です。日本語能力が不足していることによって、次のような問題を引き起こします。

  • 契約内容の誤解:専門用語の多い契約書の内容を十分に理解できず、禁止事項(ペット飼育など)を見落としてしまう。
  • 退去時のトラブル:契約内容を把握していないため、高額な原状回復費用を請求されるなど、金銭トラブルに発展するリスクがある。
  • オーナー側の不安:「外国語対応」に不安を感じているオーナーが多く、コミュニケーション不足を懸念している。

コミュニケーションが上手くいかないことでの不安が、入居拒否につながっているようです。

企業が行う外国人労働者への住宅支援

外国人労働者が直面する住居の壁を乗り越えるには、受け入れ企業による積極的なサポートが欠かせません。企業の支援は、労働者が安心して日本での生活をスタートさせ、仕事に集中できる環境を整える上で重要になります。

手厚い住宅支援は企業の魅力となり、優秀な人材の獲得や定着にもつながります。ここでは、企業が実践できる住宅支援の方法を3つ解説します。

  • 【直接支援】社宅・寮の提供や物件の借り上げ
  • 【間接支援】物件探しへの同行や契約手続きのサポート
  • 【経済的支援】住宅手当や初期費用の一部負担

【直接支援】社宅・寮の提供や物件の借り上げ

外国人労働者が直面する「入居拒否」や「保証人問題」といった壁を企業が直接解決できる最も効果的な支援が、住居の直接提供です。企業が自社で所有する社宅や寮を外国人労働者に提供する方法や、賃貸物件を借り上げ、外国人労働者に住居として提供するケースもあります。

社宅・寮の提供や物件の借り上げの主なメリットは次のとおりです。

  • 住居費の抑制と手取り額が増える:相場より安価な家賃設定が可能となり、労働者の所得が増え、生活の安定と満足度向上につながる。
  • 初期費用が大幅に軽減される:敷金・礼金、生活に必要な家具・家電などを備え付けておくことで、来日直後の大きな経済的負担を抑えられる。
  • 複雑な手続きを代行してくれる:ライフライン(電気・ガス・水道)の契約を企業がまとめて行ってくれる。
  • 保証人を用意する必要がない:企業が契約者となるため、外国人であることや保証人がいないことを理由に入居を断られる心配がない。
  • 生活基盤の安定と定着率向上につながる:住まいの心配がなくなることで精神的な安心感が生まれ、仕事への集中力が高まり、早期離職の防止にもつながる。

企業が契約者となることで、外国人労働者が抱える多くの不安を解消できるため、有効な支援策とされています。

【間接支援】物件探しへの同行や契約手続きのサポート

外国人労働者本人が住居を契約する場合でも、企業が仲介役としてサポートすることで、多くの問題を未然に防げます。専門知識や日本語での対応が求められる場面で、企業がサポートしてくれると、外国人労働者の不安を軽減できるでしょう。

物件探しへの同行や契約手続きのサポートによる主なメリットは次のとおりです。

  • ミスマッチの防止につながる:不動産会社への同行や内見の付き添い、希望条件を正確に伝えるなど、理想に近い物件を見つけやすくなる。
  • 契約手続きがスムーズに進む:専門用語が多く複雑な契約書の内容を分かりやすく説明してくれるので、不利益な契約を結ぶリスクを減らせる。
  • 企業が保証人になってくれる:保証人が見つからない場合に、企業が連帯保証人になってくれる。
  • 精神的な負担が軽減される:企業がサポートしてくれるため、住まい探しにおける労働者の不安やストレスを大幅に和らげられる。

こうした間接的な支援は、外国人労働者が抱える契約への不安やストレスを和らげ、スムーズな入居を後押しする上で重要です。

【経済的支援】住宅手当や初期費用の一部負担

住居を借りる際に発生する敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用を、企業が全額または一部負担することで、外国人労働者の負担を減らします

企業が住宅手当や初期費用負担することによる主なメリットは次のとおりです。

  • 経済的負担の大幅な軽減につながる:家賃の数ヶ月分にもなる高額な初期費用を企業がサポートすることで、労働者は金銭的な不安なく新生活をスタートできる
  • 生活基盤が安定する:毎月の家賃の一部を住宅手当として支給すれば、外国人本人の所得が増え、生活に余裕が生まれる。
  • 企業の魅力向上と人材定着につながる:手厚い経済的支援は、他社との大きな差別化要因となり、求人応募の増加や優秀な人材の獲得につながる。

経済的支援は単なるコストではなく、優秀な人材を確保・定着させるための重要な「投資」といえるでしょう。

【特定技能】企業に義務付けられる住居支援のルール

これまで解説した住宅支援は企業の任意によるものが多いですが、「特定技能」外国人材を雇用する場合、住居の確保に関する支援は、法律で定められた企業の「義務」になります。ここでは、企業に義務付けられる住居支援のルールについて詳しく解説します。

  • 住居確保は企業の「義務的支援」の一つ
  • 部屋の広さは「一人7.5㎡以上」が原則
  • 家賃設定のルールと企業が負担すべき費用
  • 支援業務は「登録支援機関」への委託も可能

住居確保は企業の「義務的支援」の一つ

特定技能1号外国人を受け入れる企業は、住居確保の支援を行うことが法律で義務付けられています。このルールは、外国人材が安定して生活・就労するための基盤となる10項目の「義務的支援」の一つです。具体的には、次のような直接的・間接的な支援が求められます。

  • 住居を確保する:社宅や寮の提供、または企業が連帯保証人となり賃貸物件を確保する。
  • 契約を補助する:物件探しへの同行、契約内容の説明、ライフライン(電気・ガス・水道)契約のサポートなどを行う。

受け入れ企業は、外国人材の住む場所を見つけるだけでなく、スムーズに生活を始められる状態までサポートすることが求められています。

参照元:1号特定技能外国人支援・登録支援機関について(出入国在留管理庁)

部屋の広さは「一人7.5㎡以上」が原則

提供する住居には、広さに関する明確な基準があります。これは、外国人労働者の健康的で文化的な最低限度の生活を保障するための重要なルールです。遵守すべき主なポイントは、次のとおりです。

  • 1人あたりの面積:居室面積が「7.5㎡以上」(約4.5畳)確保されていること
  • 対象となる部屋:寝室やリビングなど、継続的に使用する「居室」が対象
    ※収納(押入れ、クローゼット)やロフトは面積に含まれない
  • ルームシェアの場合:部屋全体の居室面積を居住人数で割った際に、一人当たり7.5㎡以上を確保する必要がある

例外的に、技能実習からの移行者には緩和措置もありますが、原則として広さの基準を満たした住環境の提供が求められています。

参照元:1号特定技能外国人支援に関する運用要領(法務省)

家賃設定のルールと企業が負担すべき費用

企業は、特定技能外国人に住居を提供する際、家賃などで不当な利益を得ることは固く禁じられています。なぜなら、住居提供を悪用した搾取を防ぎ、労働者の生活を守るために重要だからです。企業が遵守すべき主な費用についてのルールには、次のようなものがあります。

  • 家賃設定:企業が借り上げた物件の場合、実際に支払う家賃や管理費、共益費を人数で割った額以上の家賃を徴収してはならない。
  • 初期費用の負担:敷金、礼金、仲介手数料、保証料といった契約時の初期費用は、原則として企業が負担する必要がある
    ※費用を外国人労働者に負担させることは認められていない

適正な費用負担と透明性のある家賃設定は、法令遵守や企業と外国人労働者の信頼関係を築く上で、重要なポイントと言えるでしょう。

支援業務は「登録支援機関」への委託も可能

住居確保を含む10項目の義務的支援は、専門知識や多言語対応が求められ、すべてを自社で行うのは大きな負担です。その場合、支援業務自体を出入国在留管理庁に登録している「登録支援機関」へ委託することが認められています。登録支援機関を活用する主なメリットは次のとおりです。

  • 業務負担を軽減できる:煩雑な支援計画の作成や実施を専門家に任せられる。
  • 法令遵守と支援の質を担保してくれる:外国人支援のノウハウを持つため、法令を遵守した質の高いサポートが期待できる。
  • 専門的なサポートが期待できる:住居確保だけでなく、生活オリエンテーションや各種手続きの補助など、多岐にわたる支援をワンストップで依頼できる。

自社に支援体制を作る余力がない企業にとって、専門機関への委託は大きな力となるでしょう。もし、信頼できる登録支援機関のサポートが必要な場合は、豊富な実績を持つ「外国人材採用ラボ」への相談をおすすめします。次の章では、株式会社クレイプラスが運営する「外国人材採用ラボ」についてご紹介します。

特定技能外国人材の住居確保でお悩みなら「外国人材採用ラボ」がおすすめ

株式会社クレイプラスが運営する「外国人材採用ラボ」では、住居確保のサポートをはじめ、外国人材の採用から定着までをトータルでサポートしています。最後に、「外国人材採用ラボ」のサービスや強みを紹介します。

外国人材採用ラボとは

外国人材採用ラボは、株式会社クレイプラスが運営する、特定技能をはじめとした外国人材の紹介・支援に特化したサービスです。ただ人材を紹介するだけでなく、企業の文化やニーズに合致し、長期的に活躍できる人材とのマッチングを重視しています。

人材会社として中小企業の人手不足解消にむきあい続けた歴史を持つ

株式会社クレイプラスは、長年にわたり、特に地方の中小企業が抱える深刻な人手不足問題に真摯に向き合ってきました。その豊富な経験から、単に労働力を補充するだけでなく、企業の未来を共に築くパートナーとして、長期的に活躍できる人材の採用を支援します。

各企業の固有の状況や求める人物像を丁寧にヒアリングし、最適な人材を的確に選定・紹介できる点が強みです。

マーケティングの力により、幅広く人材を探し出す

独自のネットワークと最新のマーケティング戦略を駆使し、国内外から優秀な特定技能候補者の情報を幅広く収集できる点も、外国人材採用ラボの特徴です。

特定の国や地域に偏ることなく、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まるため、企業の細かな要望や専門的なニーズに柔軟に対応できます。常に変化する市場動向を的確に捉え、質の高い人材を安定的にご紹介できるよう努めています。

一人ひとりと丁寧に面談を実施している

外国人材採用ラボでは、候補者一人ひとりと時間をかけて向き合う面談プロセスを何よりも重視しています。スキルや経験はもちろん、人柄や価値観、日本での就労意欲などを、複数回の面談を通じて徹底的に把握します。

また、外国人材と複数回の面談を実施しているため、外国人材と受け入れ企業双方の、「こんなはずではなかった」というミスマッチを最小限に抑えられることも私たちの強みです。

外国人材の紹介サービス

特定技能人材の採用と定着を成功させるため、外国人材採用ラボでは総合的なサービスを提供しています。即戦力となる人材の紹介や受け入れに伴う煩雑な手続き、法律で定められた支援業務の代行まで、ワンストップでサポートします。

特定技能外国人材の紹介

外国人材採用ラボでは、特定技能制度の公的な要件をクリアした、即戦力として活躍が期待できる人材をご紹介しています。紹介する人材は、基礎的な専門スキルとコミュニケーション能力を備えており、介護、建設、製造、外食など、人手不足が課題となっている様々な産業分野をカバーしています。

企業の求めるスキルレベルや日本語能力などを詳細にヒアリングし、最適な候補者をご提案することで、採用後のミスマッチを防ぎます。

一括支援

特定技能外国人材の受け入れには、住居確保をはじめ、法律で定められた10項目の義務的支援が必要です。「外国人材採用ラボ」では、これらの複雑な手続きや支援業務をまとめて代行する「一括支援」サービスもご用意しています

専門知識が必要な支援業務を一括で担うことにより、企業のご担当者様は複雑な事務作業から解放され、現場での指導やコア業務に集中していただけます。住居確保に関するルールや手続きなど、お困りの点がございましたら、ぜひ「外国人材採用ラボ」までお気軽にご相談ください。

まとめ

外国人労働者が日本で住まいを探す際には、「外国人という理由での入居拒否」や「高額な初期費用と保証人制度」といった複数の壁が立ちはだかります。これらの住居問題は外国人労働者の大きな負担となり、早期離職の原因にもなりかねません。

企業の定着率を上げるには、社宅の提供といった「直接支援」や、契約を補助する「間接支援」、費用を負担する「経済的支援」を合わせて検討することも必要です。また、特定技能外国人材を雇用する場合は、住居支援が法律で定められた企業の義務になります。

自社での支援体制の構築や、複雑な手続きにお悩みの場合は、専門的なノウハウを持つ支援機関の活用が効果的です。住居確保のサポートを含め、外国人材の採用と定着にお困りの際は、「外国人材採用ラボ」までお気軽にご相談ください。