公開日: 2025.09.04
【2025】特定技能「介護」の「日本語レベル」は?求められる基準と日本語力向上方法
特定技能「介護」の「日本語レベル」は?求められる基準と日本語力向上方法

少子高齢化が進む日本では、介護現場の人材不足が深刻化しています。その状況を補うため、外国人介護士の受け入れが増えてきました。特に「特定技能介護制度」を活用することで、即戦力として現場で働ける外国人介護士を受け入れる企業も増えています。

しかし、採用担当者からは「日本語力は十分か」「本当に現場で通じるのか」といった不安の声が少なくありません。試験に合格しているだけでは、実際の介護業務や利用者との会話に必要な日本語力が保証されるわけではありません。

そこで今回は、外国人介護士の日本語力に関する懸念点や、教育・研修で押さえておくべきポイントについて詳しく解説します。特定技能介護の受け入れを検討している施設や病院の採用担当者にとって、実務に役立つ情報をお伝えします。

目次

特定技能介護とは?

外国人介護士を採用するにあたって、まず押さえておきたいのが「特定技能介護制度」の基本です。この制度の背景や目的の理解が、日本語レベルの目安や教育方針を判断するための材料になります。また、特定技能制度を正しく把握しておけば、採用担当者は現場でのミスマッチを防ぎ、よりスムーズに外国人材を受け入れる準備が整えられます。

特定技能制度の背景

日本では少子高齢化が急速に進み、介護職の需要が供給を大きく上回っています。特に地方では高齢者人口の増加に対して介護人材が不足しており、その傾向は年々顕著になっています。厚生労働省の試算によると、2025年には約32万人の介護人材が不足すると見込まれ、現場では人手不足が介護サービスの質に影響しかねない深刻な課題です。

このような状況を背景に、2019年4月に「特定技能制度」が導入されました。この制度は、一定の技能や日本語力を持つ外国人を労働者として受け入れる仕組みであり、介護分野では人材不足の解決策として大きな期待を集めています。外国人を活用することで、介護施設や病院は急速に高まる介護需要に対応することが可能になります。

さらに、特定技能制度は外国人にとっても、従来の技能実習制度より長期的なキャリア形成を見据えやすい制度です。単に日本の介護人材不足を補うだけでなく、外国人が働きながらスキルを磨き、将来につながる経験を積める仕組みとして位置づけられています。

参照元:介護人材の処遇改善等(介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)(厚生労働省)

特定技能制度の概要

特定技能制度の対象分野は16分野あり、その中でも介護は特に注目されています。介護分野で就労できるのは「特定技能1号」に分類される外国人で、在留期間は最長5年間です。制度の特徴として、同一分野内での転職が認められているため、介護施設や病院にとっては柔軟な人材活用が可能です。

また、「労働」として位置づけられるため、外国人材は働きながらキャリアを築くことができます。現場経験を積むことで、日本国内での介護資格取得やさらなるスキルアップにつなげることも可能です。

さらに、介護現場の人手不足を補うだけでなく、多様な文化背景を持つ人材が加わることで、利用者へのサービスに新しい視点や柔軟な対応をもたらすというメリットもあります。制度を正しく理解し、現場に合わせた採用計画を立てることが重要です。

参照元:

特定技能介護の受け入れ目的

特定技能介護の導入目的は、人手不足を補うことだけにとどまりません。介護サービスの質を維持・向上させることや、外国人介護士のキャリア形成を支援することも大きな狙いの一つです。ここでは、受け入れの主な目的を整理します。

  • 介護現場の人手不足解消
  • 介護サービスの質の維持・向上
  • 外国人材のキャリア形成支援

介護現場の人手不足解消

日本人だけでは担いきれない介護業務を補うため、即戦力として外国人介護士を活用することが求められています。

介護施設では入浴介助や排泄介助、食事のサポートなど、利用者の生活に直結する業務が日々発生します。現場経験が浅いスタッフだけでは業務が滞り、サービスが十分に行き届かない可能性があります。そのため、特定技能制度を利用して即戦力の外国人介護士を受け入れることで、日常業務の円滑化や安全性の確保につながります。

さらに、日本人職員の負担軽減にも寄与します。業務が適切に分担されることで職場全体の環境が改善され、結果的にサービスの質の向上にも結びつきます。

介護サービスの質の維持・向上

人材不足が続くと、介護サービスの質が低下する心配があります。スタッフの数が足りないと、一人ひとりに十分なケアが行き届かず、事故やトラブルのリスクも高まってしまいます。

外国人介護士を受け入れることで、人員を安定して確保でき、利用者に対して安心して質の高いケアを続けていくことができます。

外国人材のキャリア形成支援

従来の技能実習制度は「研修」を主目的としており、長期的な就労やキャリア形成にはあまり適していませんでした。

一方、特定技能制度では「労働」として位置づけられているため、外国人も日本でキャリアを積むことが可能になります。この仕組みを活用すれば、外国人介護士は働きながら専門知識や技術を磨くことができ、施設側も長期的に人材を確保しやすくなります。

採用後の教育投資が有効に活かされ、結果的に組織全体の人材育成やサービスの質の向上にもつながります。

特定技能介護で求められる日本語レベルの基準とは?

外国人介護士を採用する際、必ず確認すべきポイントの一つが「日本語力」です。特定技能制度では一定水準の日本語力が求められており、試験合格の有無が大前提となります。採用担当者にとっては、これらの基準を理解しておくことが、候補者を見極めるための重要な判断材料となります。

公式に必要とされる日本語試験

特定技能介護で働く外国人には、次のいずれかの日本語試験合格が必須条件とされています。

  • JLPT(日本語能力試験)N4以上:日常生活に必要な日本語を理解できるレベルで、基本的な会話や短い文章の読解が可能です。JLPTは国際的にも認知度が高く、基礎日本語力の証明として広く活用されています。
  • JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト):生活に直結する日本語力を測定する試験で、会話形式の設問が中心です。役所での手続きや病院受診、施設での簡単な説明や指示の理解など、介護現場にも関わりの深い能力を確認できます。

これらの試験はあくまで「基礎的な日本語力」を証明するものであり、実際の介護業務で必要となる応用力までは保証されません。そのため、採用担当者は合格証だけで判断せず、現場での実務対応力も併せて評価する必要があります。

介護分野特有の日本語評価試験

介護業務では、日常会話だけでは十分とはいえません。利用者とのやり取り、ケア記録の作成、マニュアル理解、専門用語の使用など、現場特有の日本語力が必要です。

そのために設けられているのが、介護日本語評価試験です。この試験では、利用者の体調や要望を聞き取り適切に対応できるか、介護記録やマニュアルを正しく理解できるか、また「誤嚥」「褥瘡(じょくそう)」「バイタル」などの専門用語を正しく使えるかが評価されます。

この試験の結果は「現場で即戦力となり得るか」を見極める上で重要な指標となり、採用担当者にとっては実務レベルを判断するための有効な材料となります。

採用基準としての目安

企業が採用基準を設ける際には、試験合格の有無だけでなく「実務でどの程度通用するか」を見極めることが大切です。

たとえば、面接時にロールプレイを行い、食事介助や排泄サポートなどを想定した会話を試すことで、利用者との意思疎通力を確認できます。また、マニュアル文書を読ませて理解度を確かめたり、介護記録用紙に実際に書かせたりすることで、情報共有や安全管理に支障がないかを判断できます。

このように「試験合格+実務対応力」を総合的に評価することで、入職後のミスマッチを防ぎ、現場のトラブルリスクを軽減できます。結果として、施設運営の安定化や介護サービスの質向上につながります。

介護現場で必要とされる日本語スキル

外国人介護士に必要とされるのは、単なる日常会話の能力にとどまりません。利用者との意思疎通はもちろん、業務指示の理解や記録の作成、チーム内での報告や連携など、あらゆる場面で正確かつ適切な日本語運用が求められます。ここでは、介護現場で特に重要となる日本語スキルを解説します。

  • 利用者とのコミュニケーション
  • 業務マニュアルや記録の読み書き
  • 医療・介護用語の理解
  • チーム内コミュニケーションの課題

利用者とのコミュニケーション

介護の基本は、利用者との信頼関係づくりです。あいさつや日常会話に加えて、感情をくみ取り適切に対応する力が、安心感とサービスの質に直結します。

あいさつ・日常会話・感情理解の重要性

「おはようございます」「今日は体調はいかがですか?」といったあいさつや声かけは、介護現場では欠かせません。日々のちょっとしたやり取りの積み重ねが、利用者の安心感や信頼感につながるためです。

また、表情や声の調子、しぐさから感情を読み取る力も大切です。利用者が不安そうなときには、言葉だけでなく非言語的なサインを察知し、適切に声をかけたり手助けをしたりする姿勢が求められます。

方言や高齢者特有の表現への対応

高齢者は、地域の方言や昔の言い回しを使うことが少なくありません。たとえば、「しんどい」「ごはんはもうええよ」といった表現は、標準語に慣れた外国人介護士にとって理解が難しいことがあります。

そのため、方言や古い表現を柔軟に理解する力や、わかりやすく丁寧な日本語で返答できるスキルが重要です。

業務マニュアルや記録の読み書き

介護現場では、口頭でのやり取りに加え、文書による情報共有も欠かせません。マニュアルや記録を正しく読み取り、的確に記入する能力は、安全で質の高い介護サービスを提供するための必須条件です。

ケアプランや業務指示の理解

利用者ごとに作成されるケアプランには、食事・入浴・排泄・服薬などの指示が詳細に記載されています。読み違いや誤解は事故やクレームにつながる恐れがあるため、専門的な文書を正しく理解できる力が必要です。

介護記録の記入・報告

利用者の食事量や排泄状況、体調の変化などを「介護記録」として残すことも大切な業務です。たとえば、「食事:完食」「排泄:2回」といった、短く正確な表現を使いこなせることが求められます。

文法の誤りや曖昧な表現があると、チーム内での情報共有に支障をきたします。そのため、日常的に記録作成の練習を行い、正確な情報伝達力と表現力を高めることが重要です。

医療・介護用語の理解

介護現場では医療・介護の専門用語を正しく理解し、使いこなす力が欠かせません。誤解は業務の妨げになるだけでなく、利用者の安全に直結します。

「バイタル」「誤嚥」など専門用語の習得

「バイタル」「誤嚥」「褥瘡(じょくそう)」などの専門用語は、現場で日常的に使用されます。これらを正確に理解し、状況に応じて適切に使えることが必要です。

たとえば、「バイタル測定後に異常があればすぐ報告する」という指示を理解し、実行できることは基本的なスキルです。専門用語を使いこなすことで、チーム内の情報共有も円滑になります。

チーム内での報告・連携での日本語活用

介護はチームで行う仕事です。看護師やリハビリ職員、他の介護スタッフとやり取りする際には、正確な日本語で報告・相談できる力が求められます。

専門用語を交えつつ、簡潔で正確な報告ができれば、チーム全体の業務効率や安全性の向上につながります。

チーム内コミュニケーションの課題

介護は、チームで行う仕事です。報告・連絡・相談を丁寧かつ正確に行えるか、敬語や確認表現を正しく使えるかが、チームの円滑な連携に直結します。

上司・同僚への報告・相談・連絡の言い回し

「ご報告します」「ご相談があります」「ご連絡いたします」といった場面ごとの敬語を正しく使い分ける力が必要です。敬語は外国人にとって難易度が高いため、日常的な練習が欠かせません。

さらに、報告の際には簡潔で正確に伝えることが大切です。情報が曖昧だと、判断ミスや業務の遅れにつながります。

ミス防止のための確認スキル

「もう一度確認させていただけますか?」といった聞き返しの表現を身につけることは、安全な業務遂行に直結します。

確認を習慣化することで、誤解や記録ミスを防ぎ、ヒューマンエラーを減らすことができます。特に医療・介護に関わる場面では、確認スキルが質の高いサービス提供の基盤となります。

外国人介護士の日本語力に関するよくある懸念点

外国人材を介護現場に受け入れる際、多くの採用担当者が共通して抱くのが「日本語力」に関する不安です。日本語試験の合格は一定の基準になりますが、実際の現場では利用者との会話、専門用語の理解、記録の作成、チーム内の報告・連携など、幅広い日本語力が求められます。そのため「試験では測れない実務力に不安がある」という声は少なくありません。

ここでは、介護現場からよく挙がる主な懸念点を紹介し、それぞれに対してどのように見極め、どのように補うべきかを具体的に解説します。

日本語試験に合格しても現場で通じないのでは?

JLPTやJFT-Basicは、学習者の基礎的な日本語力を測るうえで参考になります。しかし、問題文を読んで正解を選ぶ力と、目の前の利用者の言葉を聞き取り、適切な表現で即座に応じる力は似ているようで異なります。

たとえば、食事介助中に利用者が「もうええわ」と呟いたとき、それが満腹の合図なのか、味付けの不満なのか、体調変化のサインなのかは、文脈や非言語の情報を組み合わせて判断する必要があります。

このギャップを採用段階で見極めるには、面接にロールプレイを取り入れる方法が効果的です。「起床介助の声かけ」「トイレ誘導の断りへの対応」「痛みの訴えの聞き取り」など、短い場面を設定し、受け答えの自然さ、言い換えの柔軟さ、確認の仕方を観察します。また、聞き返しが必要なときに「申し訳ありません。もう一度ゆっくりお願いできますか?」といった丁寧な再確認表現が使えるかどうかも、実務適性を判断するポイントです。

入職後は、現場で頻出する言い回しをまとめたミニフレーズ集を用意し、短時間で繰り返し練習できる形にしておくと定着が早まります。朝礼や申し送りの数分を活用し、「今日の一言」を全員で声に出すだけでも、現場での通じやすさは着実に向上します。

専門用語が覚えられず業務に支障が出るのでは?

介護・医療の現場では、「誤嚥」「褥瘡」「バイタル」などの専門用語が頻出します。単語を丸暗記するだけでは実際の場面で正しく使えず、意味の取り違えがケアの質や安全性に直結することもあります。

大切なのは、用語を「定義」「観察ポイント」「行動」と結びつけて覚えることです。たとえば、「誤嚥」であれば、定義として「飲食物が誤って気道に入ること」を押さえたうえで、観察ポイントとして「むせ込み」「湿った咳」「声のかすれ」「食後の発熱」などに注意します。そして、行動としては「姿勢調整」「一口量の調整」「看護師への即時報告」と関連づけて覚えます。この3点セットで学習すると、用語が実践につながり、現場で安定して使えるようになります。

教育設計としては、採用後の研修やOJT(現場研修)で「用語→場面→言葉」の順に練習し、最後にミニケースでアウトプットする循環をつくると定着が進みます。たとえば、短い事例文を読み、「状況を一文で記録する」「上司への口頭報告を二文で行う」といった用途別の練習を繰り返す方法が有効です。用語は「覚える」だけでなく「使ってみる」ことで、初めて現場での強みになります。

利用者との会話はスムーズにできる?

高齢者特有の言い回しや地域の方言は、日本語学習者にとって大きな壁となります。「しんどい」「さぶい」「よう寝れんかった」といった表現は、辞書的な意味以上にニュアンスが重要で、体調や気分の微妙な変化を含んでいることがあります。さらに、敬語やクッション言葉の使い方が不十分だと、意図せずぶっきらぼうな印象を与え、関係構築に時間がかかることもあります。

この不安に対応するには、日常業務に「短い声かけの型」を取り入れるのが効果的です。朝の訪室時は「おはようございます。昨夜はよく眠れましたか」、移乗前は「今から立ち上がります。痛いところはありませんか」、ケア後は「ありがとうございます。楽になりましたか」といった具合に、場面ごとの定型文を準備して繰り返します。定型から始め、利用者の反応に合わせて少しずつ言い換えを増やすことで、自然な会話の幅が広がります。

また、方言については施設内で「よく使われる表現メモ」を共有し、意味と対応例を蓄積していくと、チーム全体の理解が進みます。日々のあいさつや雑談の積み重ねが、会話の滑らかさを確実に高め、誤解や不快感の予防にもつながります。

記録業務の日本語が外国人材にとっては難しいのでは?

介護記録は、ケアの連続性と安全性を支える基盤です。短い文で正確に事実を残すスキルが求められ、「食事:完食」「排泄:2回」「歩行:見守りで実施」など、簡潔で一貫した表現が重視されます。主観を混ぜず、時刻・行為・結果を淡々と記録する「事実の日本語」は、学習者にとって慣れるまで時間がかかる分野です。

訓練の第一歩は、フォーマットに沿った「型」の反復です。既存の記録様式を使ってサンプル記録を読み込み、表現パターンを抽出します。

次に模擬シーンを設定し、「時刻→ケア内容→対象→結果→所見」の順で一文ずつ埋めていきます。最終的には監督者がフィードバックを行い、誤りや曖昧な表現を具体的な修正例に置き換えて返すサイクルをつくります。

文法ミスを減らすには、よくあるエラーをチェックリスト化するのが有効です。たとえば、「助詞の混同(は・が・を・に)」「主語の省略で実施者が不明」「過去・現在の時制のずれ」など、現場で頻出するミスを可視化し、記録前の自己点検に組み込みます。数週間の集中練習で、記録の正確さと速度は目に見えて向上します。

最後に、実際の記録用紙や電子記録システムを使ったトレーニングを行い、入力手順や項目名の日本語に慣れておくことが重要です。運用環境そのものに触れながら学ぶことで、現場移行時の戸惑いを最小限に抑えることができます。

特定技能介護を目指す外国人のための日本語学習方法

外国人介護士が長く安心して働くには、日本語の学習を次の3つに分けて支援するのが効果的です。

  • 試験対策
  • 介護現場で使う日本語
  • 日常生活の日本語

企業側としては、資格取得に必要な学習をサポートするだけでなく、実際の職場や生活で困らないように学びを広げていく仕組みを整えることを意識しましょう。ここでは、それぞれの分野での支援方法について解説します。

「試験対策」に効果的な勉強法

JLPT N4やJFT-Basicへの合格は在留資格の取得に直結するため、企業としてもしっかり準備させる必要があります。特に効果的なのは、過去問を繰り返し解く学習法です。

1周目は時間を気にせず丁寧に、2周目はやや短めの制限時間で、3周目は本番と同じ条件で取り組ませると、弱点が明確になりやすくなります。

語彙の定着には、「場面ごと」にまとめて学ぶ方法が有効です。たとえば、「交通」であれば「乗る」「降りる」「乗り換える」を助詞と一緒に覚えるように指導します。単語アプリは短時間を高頻度で使えるため、日々の自習課題として指定すると効果が高まります。

聴解力については、「聞く→書く→まねる→速くする」という流れで段階的に負荷を上げると伸びやすくなります。学習計画は、平日は基礎演習、土曜は模試、日曜は弱点補強やノート整理、といった形で週ごとにスケジュールを組んであげると効率的です。直前期には模試を本番同様に行い、受験時のルーティンも含めて練習させましょう。

「介護現場で使う日本語」に効果的な勉強法

介護現場で必要な日本語は、単なる専門用語の暗記にとどまらず、観察・行動・報告とセットで覚えることが重要です。たとえば、「誤嚥」であれば、兆候の観察、体位の調整、そして報告までを一連の流れとして学習させます。企業としては、テキスト学習に加えて短い報告文の作成や記録演習を研修に取り入れると実践力につながります。

現場でよく使う声かけは定型的なものが多いため、ロールプレイを通して練習させるのが効果的です。起床や移乗、食事、排泄といった場面ごとに役割を交代し、声かけからお礼までを実際の流れに沿って体験させます。その後、簡単な記録文を3行程度で書かせると、会話と記録の結びつきが自然に身につきます。

口頭報告は「対象・時刻・事象・対応・要望」の順で簡潔に伝える練習を重ねることが大切です。たとえば、「A様、9時、朝食時にむせ込み2回。姿勢を整えました。看護師の確認をお願いします。」といった形です。

教材としては、公式テキストや実際の記録様式を使い、語彙表に母語訳や写真を添えると理解が早まります。最終的には「声に出す・書く・伝える」を繰り返し、現場で使える日本語へと定着させましょう。

「日常生活の日本語」に効果的な勉強法

職場外での生活が安定していることも、就労継続には欠かせません。買い物や病院、役所などでの会話を想定し、まずは最初のやり取りが確実にできるように準備させると安心です。続く質問には「ゆっくりお願いします」「もう一度お願いします」といったクッション表現を活用できるようにしておくと対応力が上がります。

会話を円滑にするには、相づちや丁寧な表現も重要です。「はい、承知しました」「確認させてください」といったフレーズを日常で練習させることで誤解や摩擦を防げます。文化やマナーを合わせて学ばせることも円滑な人間関係づくりに役立ちます。

また、日常生活の中に学習を組み込む工夫も効果的です。たとえば、「天気予報を1行でまとめる」「通勤中にアナウンスを復唱する」「帰宅後に3行日記を書く」といった小さな課題を与えると習慣化につながります。週末には実際のやり取りを振り返り、改善点を翌週の練習に反映させると定着が早まります。

三本柱に共通する学習のコツは、「短時間・高頻度・声に出すこと」です。企業としては、試験合格だけをゴールにするのではなく、現場で信頼を得られる伝わる日本語を身につけられるよう、継続的に支援していくことが求められます。

特定技能介護を目指す外国人のための日本語教育・研修におけるポイント

採用のミスマッチを防ぎ、入職後の立ち上がりを早めるには、学習設計を「採用前」「採用後」「外部活用」の3段階に分け、評価基準と言語の「型」を一貫させることが重要です。ここでは、現場で使える確認観点と運用例を示しながら、教育・研修を進めるポイントを解説します。

採用前教育のポイント

採用前は、候補者がどの程度「通じる日本語」を身につけているかを見える化する段階です。海外送り出し機関での教育内容については、学習期間や到達度に加えて、会話・読み書き・介護用語の比率、使用教材や評価方法まで確認すると状況を把握しやすくなります。たとえば、会話中心の教育であれば記録業務で苦労する可能性があり、文法中心であれば利用者対応に不安が残ることもあります。

面接時には、資格やスコアの確認に加えて、短時間のロールプレイを取り入れる方法もあります。たとえば、「声かけ→確認→説明→同意→実施→お礼」といった流れを自然にできるかを確認することで、実際の場面での対応力を把握できます。

評価の仕方としては、起床介助・移乗・食事・排泄といった基本的な場面を設定し、それぞれ1分程度で確認する方法も有効です。その際、聞き返しが必要なときに「恐れ入ります。もう一度ゆっくりお願いします」といった表現が出せるか、簡単なケアプランを読んで要点をまとめられるか、模擬記録を短く書けるかなどを見ておくと、入職後の立ち上がりに差が出やすいでしょう。

併せて、介護日本語評価試験の受験状況やJLPT・JFT-Basicのスコア推移を確認し、研修計画に反映させる方法もあります。

採用後研修のポイント

入職後は、OJTに日本語研修を組み合わせることで現場で通じる言葉を早期に習得させやすくなります。たとえば、初月は「定型フレーズの反復」「記録の型づくり」「報告の順序化」に重点を置き、毎日15分程度の音読や短時間の記録演習を習慣化する方法があります。朝礼で前日のヒヤリ・ハットを題材に、結論から報告する練習を行うのも効果的です。

学習テーマは、施設の特性に合わせると効率的です。食事介助が多い施設では誤嚥予防に関する表現を、認知症フロアでは安心感を与える声かけを、医療依存度の高いユニットではバイタルや服薬関連の語彙を重点的に扱うと良いでしょう。週次でミニテストを行い、文法や用語の誤りをチェックリスト化してフィードバックする方法もあります。

また、指導体制としてはメンター方式を取り入れ、先輩職員が1日数分の「ことばコーチング」を行うことで学習継続を後押しできます。

電子記録システムを導入している場合は、項目名と表現の標準化を早めに進めることも有効です。「主観を避ける」「時刻と結果を明記する」「曖昧な言葉を具体化する」といったルールをテンプレート化し、実例をもとに添削することで、短期間で記録の精度が安定することがあります。

外部サービスの活用

教育の質を短期間で安定させるには、外部サービスの活用も効果的です。教材や講師の質が一定で、最新の指導法を取り入れやすく、効果測定も客観的にできます。社内担当者の負担を軽減しつつ、採用の波がある施設でも学習を継続できます。

導入にあたっては、現場のKPIと結びつけて成果を測定すると効果が見えやすくなります。たとえば、「入職1ヶ月での単独シフト率」「申し送り訂正件数」「記録誤り率」「ヒヤリ・ハットの言語化率」などを指標に設定する方法があります。

研修スタイルとしては、オンデマンド教材とライブ演習を組み合わせる形も有効です。動画で予習→現場ロールプレイ→講師フィードバック→テンプレ修正といったサイクルを1週間単位で回すことで定着を高めやすくなります。

外部講師を活用する場合は、事前に施設のマニュアルや頻出場面を共有し、自施設に即した語彙や表現を取り入れてもらうことが効果的です。

外国人介護士の日本語力を高めるコツ

日本語力の向上には「継続」「関与」「運用」が欠かせません。個人任せにせず、職場全体で支える仕組みを整えることで、安全とサービスの質を高められます。

学習継続には、勤務表に学習時間を組み込み、音読や記録演習を短時間でも毎日行うことが有効です。教材は施設の記録様式や会話台本を使い、メンター面談で課題を早期に解消します。進捗を上長が定期確認すると継続率が上がります。

同僚や利用者を巻き込む工夫も役立ちます。朝礼で短いフレーズを練習したり、方言メモを共有したり、利用者からのフィードバックを反映することで、学習が職場文化として定着します。

「使える日本語」を伸ばすには、型の反復練習が欠かせません。挨拶や報告、記録の定型パターンを日々繰り返し使うことで、自然に言葉が出るようになります。

最終目標は試験合格ではなく、利用者の安心とチームの信頼を生む通じる日本語。学習を日常業務に小さく組み込むことが、定着と品質向上の最短ルートです。

外国人介護士の採用なら「外国人材採用ラボ」をご活用ください

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外国人材採用ラボでは、特定技能の在留資格に必要な要件を満たした、即戦力となる外国人材を紹介しています。特定技能外国人材紹介の概要は次のとおりです。

項目内容
紹介人材の要件・各分野で定められた「技能試験」に合格している
・日本語能力試験(JLPT)N4以上を取得している
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期待できる効果・即戦力としての活躍が期待できる
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対応分野・介護、建設、製造業、外食業など、人手不足が深刻化している多くの産業分野に対応できる

企業の皆様が求めるスキル、経験、日本語レベルなどを丁寧にお伺いし、最適な特定技能外国人材をご提案します。

まとめ

外国人介護士の日本語力に関しては、「試験に合格しても現場で通じるのか」「専門用語や記録業務は大丈夫か」といった不安の声が少なくありません。しかし、試験対策・介護日本語・生活日本語をバランスよく学習することで、段階的に克服していくことができます。

採用前に教育内容や日本語能力を把握し、採用後もOJTや研修で実践力を補うことで、現場で安心して働ける環境づくりにつながります。また、外部サービスを組み合わせることで教育の効率や質を安定させ、職場全体で学習を支える仕組みを整えやすくなります。

特定技能外国人材の採用を検討される場合は、株式会社クレイプラスが運営する「外国人材採用ラボ」の活用がおすすめです。採用前後のトラブルを防ぐための丁寧な支援と、高品質なマッチングを提供しています。現場に適した人材を安心して採用できる体制を整えたい企業様にとって、有効な選択肢の一つとなるでしょう。外国人材の支援にお困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。

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