公開日: 2025.05.22
【2025】特定技能の「義務的支援」とは?受入企業が実施すべき10個の支援内容を解説
特定技能の「義務的支援」とは?受入企業が実施すべき10個の支援内容を解説

特定技能1号の外国人材を受け入れる際、企業は法律で定められた「義務的支援」を実施しなければなりません。「義務的支援」は外国人材が日本の職場や生活にスムーズに適応し、能力を十分に発揮するために設けられた重要な制度であり、受け入れ企業にとっての責務となります。

今回は、企業が具体的に取り組むべき10項目の義務的支援の内容、支援業務の負担を軽減するための「登録支援機関」への委託について解説します。特定技能人材の受け入れを検討中、または既に実施している企業担当者様は、ぜひご一読ください。

特定技能1号を受け入れる際は義務的支援が必須

特定技能1号の外国人材を雇用する際に、企業による「義務的支援」の実施が法律で定められています。「義務的支援」は、外国人材が安心して働き、生活するための重要なサポートです。

義務的支援に関する主なポイントは次のとおりです。

法的義務出入国管理及び難民認定法に基づき、企業は1号特定技能外国人に対し、職業生活・日常生活・社会生活上の支援を行う義務がある
目的外国人材が日本の社会や職場環境に円滑に適応し、能力を発揮できるよう支援すること
支援内容事前ガイダンス、住居確保の補助、日本語学習機会の提供など、10項目にわたる支援計画の作成と実施
対象「特定技能1号」の外国人材(特定技能2号は対象外)
外部委託自社での支援実施が難しい場合、専門機関である「登録支援機関」に支援業務の全部または一部を委託することが可能

企業はこれらの支援を確実に実施することで、外国人材の定着と活躍を促進し、共に成長していくことができます。

※参照元:1号特定技能外国人支援に関する運用要領(法務省)

企業が取り組むべき10項目の義務的支援

特定技能1号の外国人材を受け入れる企業には、日本で安定して働き、安心して生活できるよう、法律で定められた10項目の支援を行う義務があります。一つひとつの支援内容を怠ると、受け入れができなくなる可能性もあるため注意が必要です。ここでは、各義務的支援について詳しく解説します。

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国する際の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続等への同行
  6. 日本語学習の機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(人員整理等の場合)
  10. 定期的な面談・行政機関への通報

※参照元:1号特定技能外国人支援に関する運用要領(法務省)

1.事前ガイダンス

特定技能外国人材が日本での仕事や生活をスムーズに始められるよう、入国前に必要な情報を伝えるのが「事前ガイダンス」です。入国後のミスマッチや生活上のトラブルを防ぐことを目的としています。事前ガイダンスで伝える主な内容は、次のとおりです。

  • 雇用契約について:給与、労働時間、休日などの雇用契約の内容や、担当する業務内容を説明する
  • 活動内容について:特定技能1号の在留資格で行うことが認められる業務の範囲、禁止行為などを説明する
  • 手続きについて:入国や在留資格に関する手続き、保証金の徴収がないことなどを伝える

実施タイミングは、必ず在留資格申請の前に行わなければならず、労働条件など外国人本人が事前に把握すべき情報が含まれていることから、できるだけ雇用契約の締結前に行うことが望ましいとされています。対面だけでなく、Web会議システムなどを活用したオンラインでの実施も認められています。

なお、本人がしっかり理解できる言語(母国語など)で説明しなければなりません。

2.出入国する際の送迎

特定技能外国人材が、慣れない日本で迷わず安全に移動できるよう、空港などへの送迎は受け入れ企業の義務となっています。具体的には、次のようなタイミングで送迎が必要になります。

  • 日本に入国する時:到着した空港から、職場や住まい(会社が用意した寮やアパートなど)まで責任を持って送り届ける
  • 母国へ帰国する時:
    ・在留期間満了などで帰国する場合、住まいなどから出発する空港や港湾まで同行する
    ・空港の保安検査場に入るところまで、しっかり見送る

ただし、一時的に母国に帰国する場合は、送迎の義務はありません。また、送迎に必要な交通費(電車代、バス代など)は、原則として会社(受け入れ企業)が負担することになっています。

3.住居確保・生活に必要な契約支援

日本で安心して生活を始めるためには、住む場所の確保と生活に必要な契約手続きを支援しなければなりません。以下の項目が、受け入れ企業が行う支援です。

  • 住居確保のサポートを行う
    ・会社が寮や社宅を提供する
    ・アパートなどの賃貸物件探しを手伝う
    ・賃貸契約時に必要な連帯保証人になる、または保証会社の利用を支援する
  • 生活に必要な契約のサポートを行う
    ・銀行口座の開設手続きを手伝う
    ・電気・ガス・水道といったライフラインの契約手続きを手伝う
    ・携帯電話の契約手続きを手伝う

支援する際は、必要に応じて銀行や役所、不動産会社などの窓口へ一緒に同行します。また、契約する時に必要になる書類の作成を手伝う場合もあります。

4.生活オリエンテーション

外国人材が日本のルールや習慣を理解するために、「生活オリエンテーション」の実施も義務付けられています。日本での生活の疑問や不安を解消し、トラブルを未然に防止するためです。生活オリエンテーションの際に伝える内容は次のとおりです。

  1. 金融機関の利用方法
  2. 医療機関の利用方法など
  3. 交通ルール
  4. 交通機関の利用方法など
  5. 生活ルール・マナー
  6. 生活必需品などの購入方法
  7. 気象情報や災害時に行政などから提供される災害情報の入手方法
  8. 日本で違法となる行為の具体例
  9. 出産・子育てに関する制度

なお、生活オリエンテーションは、外国人材本人が十分に理解できる言語(母国語など)で行ってください。また、内容がしっかり伝わるように、少なくとも合計8時間以上の実施が目安とされています。

5.公的手続等への同行

受け入れ企業は必要に応じて、役所などでの手続きに同行し、サポートする義務があります。なぜなら、来日直後は日本語や手続きそのものに慣れていないため、一人で行うのは大変だからです。

対象となる主な手続きやサポート内容には、次のようなものがあります。

対象となる主な手続き

  • 市区町村役場での住民登録
  • マイナンバーカードの申請
  • 国民健康保険や国民年金への加入手続き

具体的なサポート内容

  • 公的な制度や手続きについての情報提供
  • 役所の窓口へ一緒に行く(同行)
  • 窓口での説明を分かりやすく伝えたり、代わりに質問したりする
  • 申請書類の書き方を教える、記入を手伝う

これらのサポートを通じて、外国人材が大切な手続きをスムーズに終えられるようになります。

6.日本語学習の機会の提供

外国人材が仕事や生活で困らないように、日本語を学ぶ機会を提供することも受け入れ企業の義務です。職場でのコミュニケーションを円滑にし、地域に馴染む手助けとなります。日本語学習のサポート内容は次のとおりです。

  • 学習情報を提供する:
    ・近くの日本語教室や、ボランティア団体が開催する日本語講座の情報を教える
    ・オンラインで受けられる日本語レッスンや、学習に役立つ教材(本、スマホアプリなど)の情報を教える
  • 手続きの補助を行う:
    本人が希望する場合、日本語学校への入学申し込みなどを手伝う

重要なポイントは、外国人材が「日本語をもっと学びたい」と思ったときに、情報や手段を見つけられるようにサポートすることです。

7.相談・苦情への対応

外国人材が仕事や生活で困ったとき、気軽に相談できて、適切に対応してもらえる体制を作ることが受け入れ企業の義務とされています。言語・文化の違いから生じる誤解やストレス、労働条件に関する疑問など、外国人材はさまざまな問題に直面する可能性があるからです。

企業が行うべき相談・苦情への対応には、次のようなものがあります。

  • 外国人材が話しやすいように、母国語などで相談できる窓口を用意する
  • 相談内容をしっかり聞き、状況に応じた適切なアドバイスや指導を行う
  • 内容によっては、労働基準監督署、ハローワーク、人権を守る機関などの専門機関を紹介する
  • 必要に応じて、専門機関への手続きに同行する

相談しやすい環境を整え、問題を早期に把握し解決することが、外国人材が安心して長く活躍するために重要です

8.日本人との交流促進

日本社会にスムーズに溶け込めるよう、外国人材と日本人との交流を促す支援も義務とされています。異国での生活は不安も多く、交流不足が早期離職の原因にもなりかねません。企業が行う支援例は次のとおりです。

  • 地域イベントの情報を提供する:住んでいる地域の祭りや交流イベント、スポーツ大会などの情報を積極的に教える
  • 参加しやすいように配慮する:本人がイベントに参加したい場合、仕事のシフトを調整するなど、参加しやすいように協力する
  • 社内交流の機会を設ける:会社内での歓迎会や懇親会、レクリエーションなどを企画・実施し、社員同士が自然に交流できる場を作る

交流を通じて日本文化や習慣への理解を深めてもらい、「地域の一員として受け入れられている」と感じてもらうことで、長期的な定着を促します。

9.転職支援(人員整理等の場合)

会社の都合(人員整理など)で特定技能外国人材との雇用契約を続けられなくなった場合、本人が引き続き日本で働くことを希望する場合、転職活動の支援は企業の義務です。本人の責任ではない理由で離職する外国人材のキャリアをサポートするための措置であるためです。

具体的な転職支援には、次のようなものがあります。

  • 仕事探しのサポートを行う:新しい受け入れ先企業(特定技能所属機関)を探す手伝いをする
    例:ハローワークへの同行、求人情報の提供など
  • 推薦状を作成する:必要に応じて、次の就職活動に有利になるような推薦状を作成する
  • 求職活動のための有給休暇を与える:新しい仕事を探すための活動に必要な有給休暇を与える
  • 行政手続きの情報を提供する:会社を辞める際に必要となる社会保険や税金の手続きについて、情報を提供する

このように、受け入れ側の都合で離職する場合でも、外国人材が安心して次の就職先に努められるよう、誠実な対応が求められます。

10.定期的な面談・行政機関への通報

特定技能外国人材の労働状況や生活状況を継続的に把握し、問題があれば早期に対応するため、定期的な面談の実施が義務付けられています。支援責任者または支援担当者は、少なくとも3ヶ月に1回以上の頻度で、外国人材本人およびその直属の上司などから話を聞く必要があります。

面談を通じて、労働基準法やその他関係法令に違反する事実や、支援計画が適切に実施されていない状況を把握した場合は、関係行政機関へ速やかに通報する義務があります。この措置は、外国人材の権利を守るための重要な責務です。

義務的支援は登録支援機関への委託も可能

特定技能外国人材への10項目の義務的支援を、企業だけで行うには負担が大きいです。しかし、支援業務のすべて、または一部を「登録支援機関」に委託することが法律で認められています。

自社で支援体制を整えるのが難しい場合や、より専門的なサポートを受けたい場合におすすめですが、委託にはメリットとデメリットがあります。ここでは、それぞれの特徴について詳しく解説します。

登録支援機関へ委託するメリット

義務的支援を専門の登録支援機関に委託することで、受け入れ企業にとっては次のようなメリットがあります。

  1. 受け入れ企業は本来の業務や外国人への業務指導に集中できる
  2. 社員・担当者の負担を軽減できる
  3. 外国人材への支援の質が向上する(専門知識を持っている経験者からの指導)
  4. 外国人材が悩みや問題を相談しやすい
  5. 法令違反のリスクを低減できる(手続きの不備を心配する必要が少ない)
  6. 客観的な助言をもらえる

これらのメリットにより、企業は安心して外国人材を受け入れ、彼らが能力を発揮できる環境を整えやすくなります。

登録支援機関へ委託するデメリット

義務的支援を登録支援機関へ委託する主なデメリットは次のとおりです。

  • コストが増加する:
    ・支援を委託するには、毎月または年間で費用が発生する
    ・外国人材の雇用期間が長くなるほど、総額のコスト負担は大きくなる
  • 外国人材とのコミュニケーションが減る:支援業務を外部に任せることで、企業の担当者と外国人材が直接話す機会が減る
  • 委託先を選ぶことが難しい:全国に10,000社以上の登録機関があり、自社に合うサービスを見つけるのが難しい

これらのデメリットを理解した上で、委託するかどうか、またどの機関に委託するかを慎重に検討することが重要です。

自社での義務的支援の実施が難しい場合や、信頼できる委託先を探す手間を省きたい企業担当者様は、当社クレイプラスが運営する「外国人材採用ラボ」のような専門サービスの活用がおすすめです。

特定技能外国人材の採用なら「外国人材採用ラボ」をご活用ください

特定技能外国人材の受け入れは、人手不足解消の有効な手段ですが、義務的支援の実施や複雑な手続きなど、企業側の負担も少なくありません。専門的な知識やノウハウを持つサービスを活用することで、これらの課題を解決し、スムーズな受け入れを実現できます。

最後に、特定技能人材の採用と支援に強みを持つ「外国人材採用ラボ」のサービスを紹介します。

外国人材採用ラボとは

外国人材採用ラボは、株式会社クレイプラスが運営する、特定技能外国人材の紹介に特化したサービスです。外国人材を紹介するだけでなく、企業文化との適合性や長期的な活躍を見据えたマッチングを重視しています。

採用活動から受け入れ後の定着支援まで、一貫したサポートを提供することで、企業と外国人材双方にとって最良の結果を目指しています。ここでは、さらに詳しく外国人材採用ラボの特徴を解説します。

人材会社として中小企業の人手不足解消にむきあい続けた歴史を持つ

外国人材採用ラボの運営母体である株式会社クレイプラスは、長年にわたり、地方の中小企業が直面する深刻な人手不足問題の解決に取り組んできました。この経験から、単なる労働力の穴埋めではなく、企業の風土や価値観にマッチする人材を見つけ出すことの重要性を熟知しています。

各企業の状況や求める人物像を深く理解し、長期的に活躍できる人材を丁寧に選定・紹介できるサポートが強みです。

マーケティングの力により、幅広く人材を探し出す

独自のネットワークとマーケティング戦略を駆使し、国内外から優秀な特定技能の候補者情報を幅広く収集できることも、外国人材採用ラボの特徴です。

特定の国や地域に偏ることなく、多様なスキルや経験を持つ人材を抱えており、企業の細かな要望や専門的なニーズに対しても、最適な候補者を提案できます。常に最新の市場動向を把握し、質の高い人材を安定的に確保することで、企業の採用成功率を高める努力を続けています。

一人ひとりと丁寧に面談を実施している

外国人材採用ラボでは、一人ひとりの候補者とじっくり向き合う面談を重視しています。

幅広い候補者の中から、スキルや経験だけを聞き取るのではなく、個性や仕事に対する考え方、日本で働きたいという意欲までを深く理解します。そのため、書類だけの選考は行っていません。

複数回にわたる対話を通じて候補者の適性を多面的に評価し、入社後のミスマッチを最小限に抑えています。特に、文化や生活習慣の違いについては、事前に詳しく話を伺い、企業様へ正確な情報をお伝えしています。

このように、紹介前の入念な情報共有と相互理解が、結果として採用後の高い定着率につながっています。

外国人材の紹介サービス

外国人材採用ラボでは、特定技能人材の採用を成功させるための包括的なサービスを提供しています。企業のニーズに合わせて、即戦力人材の紹介から、受け入れに伴う煩雑な手続き・支援業務の代行まで幅広くサポートします。それぞれのサービスを詳しく紹介します。

特定技能外国人材の紹介

外国人材採用ラボでは、特定技能制度の要件(技能試験・日本語試験の合格)を満たした、即戦力として活躍が期待できる外国人材を紹介しています。介護、建設、製造、外食など、人手不足が課題となっている幅広い産業分野に対応可能です。

企業の求めるスキルレベル、経験、日本語能力などを詳細にヒアリングした上で、最適な候補者を厳選して提案します。採用後のミスマッチを防ぎ、スムーズな現場への適応をサポートしています。

一括支援

特定技能外国人材の紹介に加えて、受け入れに伴う複雑な手続きや義務的支援をまとめて代行する「一括支援」サービスも提供しています。具体的には、在留資格関連の申請書類作成サポート、住居の確保支援(紹介料不要)、入国時の空港送迎、生活オリエンテーションの実施など、多岐にわたる業務をカバーします。

企業の担当者は煩雑な事務作業や支援業務から解放され、外国人材の受け入れ準備や現場での指導に専念できる体制を整えられるため、おすすめのサポートです。

まとめ

特定技能1号の外国人材を受け入れる際に、企業が必ず実施しなければならない「義務的支援」の具体的な内容について解説しました。

事前ガイダンスから定期的な面談まで、10項目にわたる義務的支援は、外国人材が日本での就労・生活にスムーズに適応し、能力を十分に発揮するために欠かせません。企業は支援計画を作成し、確実に実行する責任を負っています。

一方で、義務的支援をすべて自社で行うには相応の負担がかかることも事実です。そのため、専門知識を持つ「登録支援機関」への外部委託も有効な選択肢といえるでしょう。

義務的支援について、自社での対応に不安がある、または支援の質を高めたいとお考えの企業担当者様は、豊富な実績とノウハウを持つ「外国人材採用ラボ」にご相談ください。貴社の状況に合わせた最適なサポートをご提案いたします。