公開日: 2025.05.22
【2025】特定技能の「定期面談」の進め方・内容は?実施は義務?
特定技能の「定期面談」の進め方・内容は?実施は義務?

外国人材を採用する中で、「特定技能人材との定期面談では、何を話せば良い?」「どう進めれば良い?」とお悩みではないでしょうか?

技能実習とは異なり、特定技能の人材は即戦力として期待される存在です。それでも、初めは環境の変化にとまどっている特定技能外国人も多いはずです。定期面談の運用方法が曖昧なままだと、トラブルや定着率の低下につながることもあります。

結論からお伝えすると、特定技能の定期面談は、5つのステップを押さえることで、誰でもスムーズに進めることが可能です。実施目的の明確化から、面談内容の共有、通訳やサポート体制の整備まで、押さえるべきポイントを理解することで、面談が「義務」から「企業成長の機会」に変わります。

今回は、特定技能の定期面談を効率的かつ効果的に進めるための5ステップを、初めて外国人材を迎える企業にもわかりやすく解説します。面談の準備、進行、記録方法はもちろん、よくある課題とその対策も具体的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。

特定技能の定期面談とは?目的と重要性

まずは、特定技能制度における定期面談の役割と目的、企業側・外国人材側の双方にとっての重要性について解説し、適切に実施することの意義を整理します。制度上の要請であると同時に企業の成長戦略にも深く関わる仕組みとして理解しましょう。

特定技能制度における面談の位置づけ

特定技能制度は、日本国内の人材不足を補うために創設された制度であり、外国人材が一定の技能を活かして働くことを前提としています。この制度において、定期面談は雇用主と特定技能外国人材の間で円滑なコミュニケーションを保つために設けられた重要な仕組みです。

定期面談で労働環境の確認や生活面のサポート状況を把握し、外国人材が安心して働き続けられるようにすることが目的です。つまり、定期面談は「外国人材の適切な受け入れ」と「企業の健全な運営」の両方を支える仕組みなのです。

定期面談の目的

定期面談は、次のような目的を持って行われなければなりません。

  • 労働環境や労働条件が適正に守られているか確認する
  • 外国人材の就労状況や生活状況を把握する
  • 早期に問題を発見し、改善措置につなげる
  • 外国人材が安心して働き続けられる支援体制を整える

定期面談が企業と外国人材にとって必要な理由

特定技能で外国人材を採用した企業にとって、定期面談は単なる制度対応ではなく、外国人材の定着率向上や職場トラブルの予防に直結します。

また、外国人材にとっても、自分の悩みや意見を伝える機会が確保されていることで、職場への安心感と信頼を得られます。お互いの認識のズレを早期に解消し、職場全体の生産性向上にもつながるのです。特に、言葉や文化の違いから誤解が生じやすい状況では、定期的に対話の機会を持つことで、トラブルを避けることにつながります。

このように、企業にとっては次のようなメリットが考えられます。

  • 離職率低下
  • 職場トラブルの未然防止
  • 業務効率と生産性向上

また、外国人材の側にも大きなメリットが考えられます。

  • 悩みを共有できる安心感
  • 職場への帰属意識向上
  • 就業意欲・成長意欲の向上

定期面談は、企業と外国人材の双方にとって「信頼関係構築のチャンス」なのです。

定期面談を怠ることで起こりうるリスク

定期面談を簡単に済ませる、あるいは実施しないままでいると、外国人材が抱える不安や不満が蓄積し、突然の退職や問題発生のリスクが高まります。さらに、定期面談を適切に行っていなかったり、監督機関への報告義務を怠ったりした場合には、監督機関からの指導対象または罰則の対象になる可能性もあるため注意が必要です。

このように在留資格の特定技能制度に沿った運用を怠ることは企業にとって大きなマイナスです。​​せっかく採用した外国人材を失うだけでなく、企業の信頼にも関わることになるため、面談は確実に、かつ効果的に行うことが大切です。

特定技能外国人との定期面談をスムーズに進めるための5つのステップ

続いて、特定技能外国人との定期面談をより実効的に、そしてスムーズに進めるために企業が押さえるべき5つの具体的なステップを解説します。面談を計画的に進めることは、企業の成長と外国人材の活躍の両方にとって重要な土台となります。実施前の準備から、面談中の進行、アフターフォローまで網羅的に解説します。

  • ステップ1:定期面談の目的とゴールを明確にしておく
  • ステップ2:話すべき内容を整理しておく
  • ステップ3:日常的な話題から徐々に業務や悩みに関する質問に移行する
  • ステップ4:通訳や第三者の同席体制を整える
  • ステップ5:面談結果の記録とフォローアップを実施する

ステップ1:定期面談の目的とゴールを明確にしておく

まずは、事前の計画と準備を徹底することが、定期面談をスムーズに進める土台となります。

「なぜこの面談を行うのか」「どんな成果を得たいのか」を明確に設定し、確認すべきポイント(労働環境、困りごとの有無、キャリア希望など)を整理しておくことが重要です。目的が共有されていれば、外国人材も安心して意見を伝えやすくなり、信頼関係の構築にもつながります。

定期面談の日程は余裕を持って調整し、事前に通知を行いましょう。繁忙期を避け、リラックスして話せる時間帯を選ぶことがポイントです。また、議題や質問項目もあらかじめ伝え、不安感を軽減しておきます。


面談時には、通訳や多言語資料を準備して、言語面でのサポートも忘れないようにしてください。さらに、外国人材の勤務態度や過去の面談記録を確認し、今回の面談で重点的に話すべきテーマを明確にしておきましょう。しっかり準備を整えれば、当日の面談も落ち着いて進められ、より深い対話へつなげることができます。

ステップ2:話すべき内容を整理しておく

面談に臨む前に、外国人材の就労状況や勤務成績、過去の面談内容を見直し、話すべきテーマを整理しておくことが大切です。また、出身国の文化背景や価値観についても理解を深めておくと、スムーズなコミュニケーションが可能になります。限られた面談時間を有効に使うためにも、準備を怠らないことが信頼関係の第一歩です。

面談本番では、堅苦しい雰囲気にならないように注意しましょう。笑顔で挨拶し、仕事や生活に関する軽い話題からスタートすることで、相手の緊張を和らげることができます。話を聞く際は遮らず最後まで耳を傾け、共感を示すことで「受け止めてもらえた」という安心感を与えることができます。

さらに、異文化への配慮も忘れないようにしましょう。「困りごとは何でも話して良い」という姿勢を伝え、場合によっては同国出身の先輩や支援機関の担当者に同席してもらうことも有効です。こうした配慮が、面談をより有意義なものにしてくれます。

ステップ3:日常的な話題から徐々に業務や悩みに関する質問に移行する

面談では、最初に日常的な話題から入り、徐々に業務や悩みに関する質問へと進めるのが自然な流れです。

オープンな質問形式を心がけ、「仕事内容で困っていることはありますか?」「相談できる相手はいますか?」など、自由に話しやすい問いかけを行いましょう。生活面についても質問することで、より総合的な支援が可能になります。

定期面談では、労働条件や職場環境の確認をしっかり行うことが求められます。

  • 給与は契約通りか
  • 残業や休日取得に問題はないか
  • ハラスメントや差別的扱いがないか

さらに、生活の適応状況やキャリアの希望もヒアリングし、本人の将来のビジョンを引き出しましょう。ただし、形式的な質問にならないよう、会話のキャッチボールを意識し、共感やねぎらいの言葉を挟みながら進めることが大切です。

面談の最後には、担当者から見た所感を共有し、次に向けた支援の方向性を確認する流れを作りましょう。

ステップ4:通訳や第三者の同席体制を整える

ある程度の日本語能力がある特定技能外国人とはいえ、通訳者や第三者の同席は不可欠です。

特に日本語があまり得意でない外国人材に対しては、通訳を介することで誤解や不安を減らし、本音を引き出す手助けができます。また、第三者が同席することで、面談の公正性や客観性が担保され、企業側の対応に対する信頼性も高まります。

特に通訳者には、文化的なニュアンスも含めて正確に伝える能力が求められるため、社内外の信頼できる人材を選定することが重要です。通訳者が手配できない場合は、母国語の説明書類を用意したり、翻訳アプリを使ったり、専門家の支援を要請したりするなど、工夫が必要でしょう。

ステップ5:面談結果の記録とフォローアップを実施する

定期面談で明らかになった課題や要望には、迅速かつ丁寧な対応が欠かせません。面談で出た問題を放置してしまうと、信頼を失うだけでなく、職場全体に悪影響を及ぼす恐れがあります。

面談後は、話し合った内容をもとに具体的な対応策を検討し、必要な支援を確実に実施しましょう。勤務時間の見直しや日本語研修の導入、交流の機会づくりなど、状況に応じた対応が求められます。ハラスメントの兆候がある場合は、直ちに社内の担当部門へ報告し、適切な対処を行う必要があります。

面談での約束は必ず守り、対応状況を本人にフィードバックすることが信頼関係を築く鍵です。たとえば、「住居の件は管理会社に連絡済みで、近日中に対応予定です」と伝えることで、安心感を与えられます。

フォローアップは、継続が重要です。次回の面談を待たず、1ヶ月後に非公式に様子を確認するなど、こまめなケアがモチベーションの維持にもつながります。

また、面談内容は記録し、関係者と共有しましょう。アクションプランを明確にし、次回の面談で進捗を確認することで、PDCAサイクルを機能させることができます。

なお、行政庁への支援状況報告にも記録が必要です。正確な記録の蓄積は、組織全体の改善活動にも大きく貢献します。

参照元:特定技能制度 定期届出書の記載方法と留意点 (出入国管理局)

特定技能外国人との定期面談でよくある課題とその解決策

続いて、企業が特定技能外国人との面談で直面しがちな課題をピックアップし、それに対して実務的かつ効果的に対処する方法を解説します。よくある課題を挙げるので、面談を計画する際の参考にしてください。

  • 外国人材が本音を話せない
  • 面談が形式的になってしまい成果が出ない
  • 人事部門と現場スタッフの間で情報共有が不足する

外国人材が本音を話せない

面談で本音が出にくい理由として、日本文化への遠慮や上下関係を意識しすぎてしまうことが挙げられます。上司との面談であればなおさら、ネガティブな意見は言いづらくなります。

そこで、あらかじめ「何を話しても大丈夫」という安心感を伝えることが効果的です。また、日常業務での継続的なコミュニケーションを通じて、信頼関係を築いておくことも大切です。

面談が形式的になってしまい成果が出ない

チェックリストをただ埋めるだけの面談では成果は見込めません。事前に個別の課題を洗い出し、面談を通じて具体的な解決の糸口を探る姿勢が必要です。

また、面談後のアクションが曖昧だと、結局は形だけで終わってしまいます。面談の質を高めるには、担当者自身の「傾聴力」と「問題解決力」も重要な要素となります。

人事部門と現場スタッフの間で情報共有が不足する

人事部門と現場スタッフの間で情報共有が不足していると、面談内容が現場に反映されず、改善が進まないことがあります。定期面談の内容を関係部署にフィードバックし、対応方針を共有する体制を整えることで、現場での受け入れやフォローが円滑になります。特に、外国人材が現場で孤立しないようにするためには、現場全体の協力が欠かせません。

外国人材の支援サポートは「外国人材採用ラボ」をご活用ください

外国人材の受け入れにあたっては、採用手続き、面談、定着支援など多岐にわたる準備と対応が求められます。最後に、定期面談を含むこれらの外国人材の受け入れ体制づくりを総合的に外部の専門サービスに支援してもらう選択肢として、「外国人材採用ラボ」のサポート内容を紹介します。

「外国人材採用ラボ」とは

外国人材採用ラボは、株式会社クレイプラスが運営する外国人材採用支援サービスです。特定技能外国人の紹介、有料職業紹介、登録支援機関としての活動を行い、地域企業の人手不足解消と組織活性化に貢献しています。単なる外国人材紹介業務にとどまらず、採用から定着までを一貫して支援する姿勢が、企業から高い評価を得ています。

「外国人材採用ラボ」が提供するサポート業務

「外国人材採用ラボ」が提供するサポートは、単なる外国人材のマッチングサービスだけにとどまりません。特に特定技能外国人材の受け入れに必要なプロセス全体をカバーし、受け入れ企業が安心して外国人材と共に働ける環境づくりを後押しします。

面談支援や通訳手配

外国人材との定期面談を実施する際、「言葉の壁」を心配する企業も多いことでしょう。「外国人材採用ラボ」では、企業が行う定期面談における通訳者の派遣や、面談マニュアルの提供、実践的なトレーニング支援などを行っています。企業が初めて特定技能外国人を迎える場合でも、制度の説明から面談実施まで一貫してサポートすることが特徴です。

外国人材の定着支援

定期面談のサポートだけでなく生活面のサポートや相談体制の整備も行っており、外国人材の不安や孤独感を軽減し、長期的な就業を後押しします。相談窓口の多言語対応や、文化交流イベントの提案など、定着率向上に向けた実践的なアプローチが強みです。外国人材が職場や地域社会で居場所があると感じることができれば、就業の継続意欲が大きく高まるでしょう。

「外国人材採用ラボ」のサービスの特徴

「外国人材採用ラボ」では、外国人材の採用サポートだけでなく、特定技能制度の運用や登録支援機関業務に精通した専門スタッフによるサポートを提供しており、企業側の業務負担を大幅に軽減します。制度変更への迅速な対応や、行政との調整サポートも行っているため、安心してお任せいただくことができます。

さらに、企業側の負担軽減にも配慮しており、面談・支援記録のデジタル管理や面談後のフィードバックシート作成代行、定期支援費での継続支援等といった形で企業の特定外国人材受け入れから継続就業への大きな力になっています。

まとめ

特定技能外国人との定期面談を円滑に行うための5つのステップについて解説しました。それぞれのステップを丁寧に実践することで、単なる義務としての面談に留まらず、外国人材の定着促進や職場環境の改善に大いに役立てることができます。今回紹介したステップを踏まえて質の高いコミュニケーションの場にしてください。

定期面談の実施は、記録と報告をしっかり行って、内容を組織としてきちんと活かすことが大切です。後日トラブルが生じた場合でも、「いつ何を確認しどう対応したか」を示す記録があれば、迅速かつ適切な対処に役立ちます。また、報告業務を確実にこなすことで、入国管理局や監督官庁からの信頼を得ることにもつながります。

自社での実施が難しい場合は、外国人材の採用サポートだけでなく、定期面談をはじめとした特定技能制度の運用や登録支援機関業務に精通した専門スタッフによるワンストップサポートサービスを提供する「外国人材採用ラボ」をご活用ください。少しでもご興味をお持ちの場合は、お気軽にお問い合わせください。