
深刻化する人手不足を背景に、外国人労働者の採用は多くの企業にとって重要な戦略となっています。しかし、せっかく採用しても離職されると、企業の人員計画に大きな支障をきたします。
今回は、公的なデータを基に外国人労働者の離職率の現状から、離職につながる「6つの背景」を徹底分析します。また、採用後の定着率を高めるための具体的な対策を詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
外国人労働者の離職率の現状
少子高齢化が進む日本において、外国人労働者は企業の採用手段の一つになっています。しかし、多くの企業が採用後の離職に悩んでいる現状があります。ここでは、最新の離職率データや「産業別」「在留資格別」の離職率について詳しく解説します。
参照元:
離職率の最新データ
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果」によると、日本人を含む常用労働者全体の離職率は15.4%でした。一方で、特定技能在留外国人数(令和4年(2022年)11月末時点)における離職率は、平成31年(2019年)4月の制度施行から令和4年(2022年)11月までの延べ人数をもとに算出した数字で16.1%となっており、年単位の離職率は日本人を含む全体の数字よりもさらに低いと考えられます。。

画像引用元:特定技能外国人の自己都合による離職状況(出入国在留管理庁)
特定技能制度では、原則として同じ業務区分内での転職しか認められておらず、日本人労働者に比べて転職のハードルが高いのが実情です。
産業別の外国人労働者数に占める離職者の推移
産業別の外国人労働者数に占める離職者の月別推移を見ると、突出してサービス業の離職者の割合(4.7%)が多いです。サービス業は、もともと雇用の流動性が高く、短期契約の労働者も多いことから、他産業と比較して離職者の割合が高くなると考えられます。
※月間離職者数の合計を1月の外国人労働者で除したもの

画像引用元:外国人の労働移動の分析(厚生労働省)
この結果から、外国人労働者の離職傾向は、就労している産業が持つ特性にも大きく左右されることがわかります。自社が属する産業全体の離職傾向を把握した上で、労働環境や受け入れ体制を客観的に見直すことが、離職率の改善につながるでしょう。
在留資格別の外国人労働者数に占める離職者の推移
外国人労働者の離職率は、保有する「在留資格」によって傾向が大きく異なります。月別の数字で見ると、資格外活動・特定活動などが3.0%と高く、次いで身分に基づく在留資格(永住者・定住者など)が2.6%、専門的・技術的が1.9%と続いています。

※月間離職者数の合計を1月の外国人労働者で除したもの
画像引用元:外国人の労働移動の分析(厚生労働省)
「資格外活動」は留学生の卒業や帰国が主な要因であり、「身分に基づく在留資格」は日本人と同様に転職の自由があるため、より良い条件を求めて離職する傾向があります。
外国人労働者が離職してしまう主な背景
外国人労働者が離職してしまう背景には、日本特有の労働環境や文化など、多くの要因が絡み合っています。「仕事が合わなかった」という一言では片付けられない、外国人労働者が抱える課題を理解することが、離職防止につながるでしょう。ここでは、外国人労働者が離職を決断する6つの背景について解説します。
- 事前に説明された業務内容とミスマッチがある
- 待遇(給与や休暇など)面への不満がある
- キャリアアップが望めないことにストレスがある
- 日本語でのコミュニケーションにストレスがある
- 日本の企業文化が合わない
- 受入れ側のサポート不足により孤立感がある
事前に説明された業務内容とミスマッチがある
外国人労働者が離職する原因の一つが、採用時の説明と実際の業務との「ミスマッチ」です。単なる認識の違いではなく、働くモチベーションや会社への信頼を根本から揺るがす深刻な問題といえます。
特に、次のようなケースでは、外国人労働者の不満や不信感が生まれやすくなります。
- スキルのミスマッチ:身につけたスキルを活かせると聞いていたのに、実際は単純作業ばかりやらされる。
- 業務範囲のミスマッチ:求人票には「企画業務」とあったが、実際は現場作業や補助業務が中心だった。
- キャリアのミスマッチ:将来的なキャリアパスが示されたが、昇進の機会がまったくない。
このような状況が続くと、「騙された」という強い不信感を抱かせる要因になってしまいます。特に、明確な目的意識を持って来日した優秀な人材ほど、期待を裏切られたと感じ、早期に離職を決断する傾向があります。
待遇(給与や休暇など)面への不満がある
給与や休暇などの「待遇面」への不満も、外国人労働者が離職する原因になっています。生活の基盤となる収入や心身の休息は、働く上での満足度に直結するため、企業側が意識すべきポイントです。
具体的には、次のような不満が離職につながりやすくなります。
- 給与・昇給:日本人従業員との間に賃金差があったり、昇給の基準が不明確だったりする。
- 各種手当:約束されていた手当が出なかったり、残業代が正しく支払われなかったりする。
- 休暇:有給休暇を取得しにくかったり、一時帰国に必要な長期休暇が認められなかったりする。
特に、母国の家族へ仕送りをしている外国人労働者にとって、給与水準は死活問題です。また、約束された待遇が実現しないと、モチベーションの低下にもつながり、より良い条件を求めて他社へ転職するきっかけになってしまうことも考えられます。
キャリアアップが望めないことにストレスがある
外国人労働者の多くは、日本でスキルを磨き「キャリアアップ」したいという強い意欲を持っています。しかし、日本企業特有の文化が外国人労働者の意欲を削ぎ、離職の原因となる現状があります。
特に、次のような状況は大きなストレスとなります。
- 年功序列による弊害:成果よりも勤続年数が評価される。
- 曖昧な評価基準による弊害:どうすれば昇進・昇給できるのかがわかりにくい。
- 成長機会が不足している:重要な仕事を任せてもらえず、スキルが向上しない。
実力主義の文化で育った外国人材にとって、努力しても報われない環境は不公平に感じられます。将来のキャリアパスが見えなければ、優秀な人材ほど早い段階で見切りをつけてしまうでしょう。
日本語でのコミュニケーションにストレスがある
職場における「言語の壁」は、外国人労働者にとって大きなストレスになり、業務効率の低下や周囲から孤立することにもつながります。具体的には、次のような状況が発生します。
- 業務に支障が出る:指示が正確に伝わらないことで、ミスやトラブルが増えたり、報告や相談がうまくできなかったりするため、仕事が滞ってしまう。
- 周囲から孤立する:職場の雑談の輪に入れず、孤独を感じたり、困ったことがあっても質問できなかったりするため、悩みを一人で抱え込んでしまう。
このような状況は、本人の自信を失わせるだけでなく、周囲から「仕事ができない」という誤った評価を受ける原因にもなります。
日本の企業文化が合わない
日本独自の企業文化や慣習になじめないことも、外国人労働者の離職につながる根深い問題です。日本文化が良い悪いというわけではなく、そもそもの「価値観の違い」が大きなストレスにつながっています。
外国人労働者が感じる主な価値観の違いには、次のものが挙げられます。
- 暗黙のルールがある:「空気を読む」「言わなくても察する」など、明確な言葉にしない指示が多い。
- 上下関係がある:年齢や役職による厳格な人間関係が形成されている。
- 働き方の文化が異なる:長時間労働を美徳とする風潮や、会議で積極的に発言しにくい雰囲気がある。
自国の文化では当たり前だったことが通用せず、自分の意見や価値観を敢えて抑えなければならない環境は、大きなストレスになります。
受入れ側のサポート不足により孤立感がある
異国の地で生活しながら働く外国人労働者にとって、職場からの「サポート」がないと、孤立感を感じてしまうことがあります。特に、次のようなサポート不足は孤立感を生みやすいです。
- 業務上の孤立
・入社後に放置され、仕事の進め方がわからない
・困ったことがあっても、誰に相談すれば良いかわからない
- 生活上の孤立
・役所の手続き、銀行口座の開設、携帯電話の契約などのサポートがない
・ゴミ出しのルールや地域の慣習など、日本での暮らしに関する情報提供がない
頼れる存在がいないと、日本で働き続ける意欲そのものを失ってしまう可能性もあります。
外国人労働者の離職を防ぐための対策
外国人労働者の離職には、業務、待遇、文化、言語など多岐にわたる課題があります。これらの課題を一つひとつ解決し、外国人労働者が安心して長く働ける環境を整えることが、定着率向上につながります。ここでは、離職防止に効果的な6つの対策について解説します。
- 就労条件や業務内容をわかりやすく説明する
- 労働環境や待遇を整備する
- キャリア形成・スキルアップ支援を充実させる
- 言語の壁を乗り超えられるサポートを行う
- 生活面のサポートを充実させる
- 専門家に相談する
就労条件や業務内容をわかりやすく説明する
採用時のミスマッチを防ぐには、就労条件や業務内容を正確かつわかりやすく伝えることが重要です。言葉や文化の壁があるため、「言わなくてもわかるだろう」という考えは通用しません。
特に契約書などの専門用語は理解が難しいため、次のような工夫がおすすめです。
- 母国語での説明: 労働契約書や就業規則を母国語に翻訳したものを用意する。
- 通訳の同席: 通訳ができる従業員に立ち会ってもらう。
- 視覚的な工夫: 図や写真を使って仕事内容を具体的にイメージしやすくする。
採用段階で丁寧な情報提供を徹底し、入社後の「こんなはずではなかった」というギャップをなくすことが、信頼関係の構築に欠かせません。
労働環境や待遇を整備する
外国人労働者を定着させるには、魅力的な労働環境と公正な待遇の整備が欠かせません。生活基盤となる給与や福利厚生は、働く上で重要な要素の一つです。
次の点で、日本人従業員と同等以上の待遇を保証しましょう。
- 給与・手当:公平な給与水準と昇給制度を設ける。
- 休暇・労働時間:有給休暇の取得を促し、残業を適切に管理する。
- 福利厚生:住宅手当や社員寮の提供など、生活を支える制度を充実させる。
外国人労働者が「会社から大切にされている」と感じてもらえる環境を提供することが、長期的な人材の定着につながるでしょう。
キャリア形成・スキルアップ支援を充実させる
外国人労働者の多くは、日本でのキャリアアップやスキル習得に高い意欲を持っているため、成長できる環境さえ用意できれば長期的な定着につながります。キャリア形成において、次のような支援は効果的です。
- キャリアパスを明示する:将来のビジョンを共有する。
- スキルアップの機会を提供する:資格取得支援やOJTによる丁寧な指導を行う。
- 言語学習をサポートする:業務に必要な日本語能力の向上を支援する。
外国人労働者本人の成長が企業の成長につながれば、結果的に安定した雇用を実現できます。
言語の壁を乗り超えられるサポートを行う
職場でのコミュニケーションは、外国人労働者の定着に欠かせません。言語の壁によるストレスや孤立を防ぐため、企業側には積極的なサポートが求められます。具体的には、次のような両面からのアプローチが有効です。
- 外国人労働者向けのサポート:日本語学習の機会を提供する(社内教室、eラーニング、受講費用補助など)。
- 日本人従業員向けのサポート:異文化理解研修を実施し、お互いの文化や価値観を尊重し合える風土を作る。
こうしたサポートは一度きりで終わらせず、入社後も定期的に実施することが重要です。職場全体で継続的に取り組む姿勢が、良好な人間関係を築きます。
生活面のサポートを充実させる
仕事以外の「生活面」でのサポートは、外国人労働者の精神的な安定と職場への定着に直結します。企業が相談相手となって、日本での暮らしの不安を和らげることが重要です。特に、次のようなサポートは効果的です。
- 住居・契約支援:住居探しや賃貸契約の保証、銀行口座の開設、役所での手続きなどを手伝う。
- 相談体制の構築:定期的な面談で仕事や生活の悩みを聞く機会を設ける。
- 交流の促進:社内イベントや地域の交流会への参加を促し、孤立を防ぐ。
安心して暮らせる生活基盤を整えることが、結果的に仕事のパフォーマンス向上と定着率アップにつながります。
専門家に相談する
これまでに説明した対策をすべて自社で賄おうとすると、時間・労力・金銭的に対応できないケースもあるでしょう。そのような場合は、無理に自社で抱え込まず、外部の専門家に相談するのもおすすめです。
次のように、専門家の活用を検討しましょう。
- 行政書士・社会保険労務士:在留資格の申請や労務管理など、複雑な法的手続きについて相談・代行を依頼できる。
- 登録支援機関:在留資格「特定技能」の場合、法律で定められた支援計画の作成や生活サポートの実施を委託できる。
専門家の知見を借りることで、担当者の負担を大幅に軽減し、法令を遵守した質の高いサポート体制を効率よく構築できるでしょう。
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■義務的支援代行サービスの特徴
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- 各種手続きに同行する:役所での手続きや、その他必要な公的手続きに同行する。
- 定期的なコミュニケーションを実施する:定期的な面談を実施し、仕事や生活の悩みをヒアリングし、孤立を防ぐ。
- その他のサポートが充実している:日本語学習の機会提供、地域住民との交流促進などの支援を実施する。
専門知識が必要な業務や時間のかかる作業をプロに任せることで、担当者は本来のコア業務に集中できます。法令も守りつつ、外国人材を迎え入れる体制をスムーズに構築できるでしょう。
まとめ
外国人労働者の離職率の現状や離職に至る6つの原因、具体的な離職防止策について詳しく解説しました。
外国人労働者は今や日本の産業に欠かせない存在ですが、離職を防ぐことは多くの企業にとって大きな課題になっています。その背景には、業務内容のミスマッチや待遇への不満、言語・文化の壁など、複合的な要因が絡み合っています。
外国人労働者に長く活躍してもらうには、採用段階での丁寧な説明、公正な待遇の整備、仕事と生活の両面にわたる親身なサポート体制が欠かせません。しかし、多岐にわたる対策を自社だけで完璧に行うことは、容易ではありません。
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